<コラム>「中国・電子商取引法」全文日本語訳―2019年1月1日施行、越境ECにも大きな影響か

如月隼人    2018年11月1日(木) 21時20分

拡大

中国では2019年1月1日に「中華人民共和国電子商務法(電子商取引法)」が施行される。同法は個人・法人・非法人組織にかかわらず、電子商取引業者に対して登記の義務を定めている。

電子商取引プラットフォーム経営者が、前項目に違反するプラットフォープ内経営者に必要な措置を取っていない場合、市場監督管理部門は期限を設けて是正を命じる。かつ、市場監督管理部門は2万元以上10万元以下の罰金を科すことができる。

第77条 電子商取引経営者が本法第18条第1項目の定める検索結果の提供に違反した場合、または第19条の定めに違反して電子商取引経営者が抱き合わせの商品販売やサービスを行った場合、市場監督管理部門は期限を設けて是正を命じ、違法な所得を没収する。併せて、市場監督管理部門は5万元以上20万元以下の罰金を科すことができる。悪質な場合には、併せて20万元以上50万元以下の罰金を科す。

第78条 電子商取引経営者が本法第21条の定めに違反し、消費者に保証金の返金方式や手続きを明示しなかった場合、返金について不合理な条件を設けていた場合、または速やかに保証金を返却しなかった場合に、市場監督管理部門は期限を設けて是正を命じる。併せて、市場監督管理部門は5万元以上20万元以下の罰金を科すことができる。悪質な場合には、20万元以上50万元以下の罰金を科す。

第79条 電子商取引経営者が法律と行政規則による個人情報保護の定めに違反し、または本法第30条と関連法律・行政規則が定めるインターネット安全保障義務に違反していた場合、「中華人民共和国インターネット安全法」などの法律・行政規則にもとづいて処罰する。

第80条 電子商取引プラットフォーム経営者に下記の行為のうちのいずれかがあれば、当局主管部門が期限を設けて是正を命ずる。期限を過ぎても是正しなかった場合には、2万元以上10万元以下の罰金を科す。悪質な場合には業務停止を命じ、併せて10万元以上50万元以下の罰金を科す。

(1) 本法第27条が定める、確認と登記の義務を履行しなかった場合。

(2) 本法第28条が定める、市場監督管理部門と税務部門への関連情報の報告をしなかった場合。

(3) 本法第29条が定める、違反状況に対して必要な処置と措置を行わなかった、または関係主管部門への報告をしなかった場合。

(4) 本法第31条が定める、商品やサービスの情報や取引情報の保存義務を履行しなかった場合。

法律・行政法規が前項目で定める違法行為に対する処罰について別の定めを設けている場合には、そちらにもとづく。

第81条 電子商取引プラットフォーム経営者が本法の定めに違反し、下記の行為のうちのいずれかがあれば、市場監督管理部門は期限を設けて改善を命じる。市場監督管理部門は2万元以上10万元以下の罰金を科すことができる。悪質な場合には10万元以上50万元以下の罰金を科す。

(1) トップページの目立つ場所にプラットフォームのサービス協定、取り引き情報、または前記の情報へのリンクの表示を掲載しつづけなかった場合。

(2) 取り引き規則の改定について、トップページの目立つ場所で公開して意見募集を行わなかったり定められた期間をさかのぼって改訂内容を公表しなかった、またはプラットフォーム内経営者の撤退を阻止した場合。

(3) 自営業務かプラットフォーム内経営者が展開する業務か明らかに分かるように区別をしなかった場合。

(4) プラットフォーム内で販売する商品または提供するサービスについて、消費者に評価する手段を提供しない、または自ら勝手に消費者の評価を削除した場合。

電子商取引プラットフォーム経営者が本法第40条に違反し、商品やサービスの価格をランキングをしながら「広告」と明記していなかった場合は、「中華人民共和国広告法」の定めにもとづき処罰する。

第82条 電子商取引プラットフォーム経営者が本法第35条の定めに違反し、プラットフォーム内経営者のプラットフォーム内取り引き、取り引き価格、または他の経営者との取り引きなどに不合理な制限または不合理な条件を付け加えた場合、またはプラットフォーム内経営者から不合理な費用を徴収した場合、市場監督管理部門は期限を設けて改善を命じる。市場監督管理部門5万元以上50万元以下の罰金を科すことができる。悪質な場合には50万元以上200万元以下の罰金を科す。

第83条 電子商取引プラットフォーム経営者が本法第38条の定めに違反し、プラットフォーム内経営者による消費者の合法的権益を侵害する行為に対して必要な措置を取らなかった場合、またはプラットフォーム内経営者の経営の資質資格の確認義務を十分に行わなかった場合、または消費者に対して安全保障義務を十分に行わなかった場合には、市場監督管理部門は期限を求めて改善を命じる。市場監督管理部門は5万元以上50万元以下の罰金を科すことができる。悪質な場合には業務を停止させ、併せて50万元以上200万元以下の罰金を科す。

第84条 電子商取引プラットフォーム経営者が本法第42条、第45条の定めに違反し、プラットフォーム内経営者の知的財産権を侵害する行為に対して法にもとづく必要な措置をしていなかった場合、知的財産権行政部門は期限を設けて是正を命じる。期限を過ぎても改善しなかった場合には、5万元以上50万元以下の罰金を科す。悪質な場合には50万元以上200万元以下の罰金を科す。

第85条 電子商取引経営者が本法に違反して、人身の保障や財産の安全の要求に合致しない商品の販売やサービスの提供を行った場合、虚偽または誤解を招く商業宣伝など不当競争行為を行った場合、市場における支配的な地位を乱用した場合、または知的財産権を侵害したり消費者の権益を侵害するなどの行為があった場合、関連する法律の定めによって処罰する。

第86条 電子商取引経営者に本法の定め対する違法行為があった場合、関連する法律と行政法規の定めに従い、信用[木當]案(注)に記入し、公開する。

注:日本語訳は「信用ファイル」。中国人民銀行は2006年に、全国規模の個人及び企業の「信用信息基礎数拠庫(個人信用方法基礎データバンク、通称は『信用[木當]案』)」の運用を開始。同データバンクに記入されるのは、貸借やクレジットカード関連、住宅ローン、社会保険、電話・水道・電気・ガスなどの公共料金の支払い状況、民事裁判での判決、税金滞納など。ただし2018年9月には、対策不備のため粉塵を発生させた工事関係会社や責任者の記入を開始するなど、経済金融関連だけでなく広い範囲の問題行為について、当事者に対し長期に渡り制裁を加える手段としての性格を強めつつある。

第87条 法にもとづき電子商取引を管理監督する職責を担う職員に、職務怠慢・職権乱用・個人利益の不正取得を行い、または職務遂行を通じて知った個人情報やプライバシー、企業秘密を他者に対して不法に漏洩・売却した場合には、法にもとづいて責任を追及する。

第88条 本法の定めに違反して、治安管理に反する行為を構成した場合には、法にもとづき治安管理処罰を科す。犯罪を構成した場合には法にもとづき刑事責任を追及する。

第7章 附則

第89条 本法は2019年1月1日より施行する。

■筆者プロフィール:如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大学教養学部基礎科学科卒。日本では数学とその他の科学分野を勉強し、その後は北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。中国については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結局は得」が信条。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。

Facebookはこちら
※フォローの際はメッセージ付きでお願いいたします。

ブログはこちら

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携