<コラム>新型肺炎下の春節、過ごし方にも変化

吉田陽介    2020年1月30日(木) 23時10分

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春節といえば、大晦日には家族で「年夜飯」を食べ、「春節聨歓晩会」を見て年越しし、親戚回りをするというものだったが、今年はその過ごし方も変わっている。写真は新型肺炎が発生した湖北省武漢市。

春節といえば、旧暦の大晦日には家族みんなで「年夜飯」を食べ、中国版紅白歌合戦といわれる「春節聨歓晩会」を見て年越しし、翌日から親戚回りをするというものだったが、今年の春節は新型コロナウイルス肺炎の爆発的流行の影響をもろに受けたため、中国人の春節の過ごし方も変わっている。

中国のインターネット上では「家族の集まりを中止せよ」という声が続々

冒頭でも書いたように、旧暦の大晦日は家族みんなで「年夜飯」を食べる習慣があるが、親戚を招いて食事すると後片付けや諸々の作業が大変なので、最近はレストランで食べる傾向にある。有名レストランになると、予約は半年前、1年前というのがざらだ。ただ、レストランは人が多く集まるところなので、感染のリスクが高い。集まる家庭が多いと、それだけリスクが増し、新型肺炎の制圧が遅くなる。そのためか、1月23日に北京、湖北省などが春節の大型イベントを中止するにともない、インターネット上でも家族・親戚の集まりを中止すべきかと議論されるようになった。中国の国営メディア中央テレビ局の微博(ウェイボー)が、「家族の集まりをなるべくキャンセルしよう」という呼びかけを発し、多くのユーザーがそれを転載した。

また、ネット上には、17年前にSARSの治療にも当たった呼吸器専門家鍾南山氏の次のような呼びかけも掲載された。

「感染拡大の解決で最も早く、最もコストが低いやり方は、全中国人民が家で二週間隔離することです。(略)全中国人民に春節は家で過ごし、親戚や友人宅への訪問を控えることを強く提案します。それは人情がなくなったというのではなく、何よりも命が大切です。(略)盲目的な自信を捨てて、自分と家族を大切にし、自分と家族に対し責任を持たなくてはなりません。家族の集まりを中止してください。家でじっとしているのが、社会に最も貢献することなのです。」

鐘氏のこの「全中国人民が家で二週間隔離」という趣旨の呼びかけは、後に中国の公式メディアがニセモノとして否定した。ただ鐘氏も春節の集まりについての呼びかけを行ったが、「友人・親戚訪問、春節の集まりをなるべく減らし、人の密集しているところへはなるべく行かないように」といったもので、はっきり中止せよとは言っていない。その後、公式メディアも集まりを絶対にやめろとはいわないが、減らすようにという呼びかけを行っている。

家庭によっては、たくさんの親戚が集まることもあり、中には感染がひどい地域に行ったことがある人がいないという保証がないので、この呼びかけは理にかなったものだ。恐らく春節の集まりを強行したい年長者を説得するために、一部のネットユーザーが作ったことも考えられる。このニセモノの呼びかけは、ほかの微博にも転載されており、ネットユーザーの共感を生んだことは間違いない。

「面倒なことが減ってよかった」喜ぶ若者、しぶしぶ従う高齢者

「家族・親戚の集まりを中止すべきか」を議論するBBSで、多くのネットユーザーは「家族の集まりを中止すべきだ」と言うコメントを発している。

「両親を説得しているんだが、なかなか」とか、「両親はまったく耳を貸さなかった」「(年長者に)言っても無駄だ。彼らは(集まり)は人の情の常だから絶対に集まらなければならないと言う」「年長者たちの自分の家は大丈夫という考えが理解できない」という、自分たちは集まりをやめたほうがいいと言ったが年長者に聞き入れてもらえなかったという声もあった。



■筆者プロフィール:吉田陽介 1976年7月1日生まれ。福井県出身。2001年に福井県立大学大学院卒業後、北京に渡り、中国人民大学で中国語を一年学習。2002年から2006年まで同学国際関係学院博士課程で学ぶ。卒業後、日本語教師として北京の大学や語学学校で教鞭をとり、2012年から2019年まで中国共産党の翻訳機関である中央編訳局で党の指導者の著作などの翻訳に従事する。2019年9月より、フリーライターとして活動。主に中国の政治や社会、中国人の習慣などについての評論を発表。代表作に「中国の『代行サービス』仰天事情、ゴミ分別・肥満・彼女追っかけまで代行?」、「中国でも『おひとりさま消費』が過熱、若者が“愛”を信じなくなった理由」などがある。

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