日本の「がん探知犬」育成に華人が貢献―李爽 株式会社ドッグラボ専務/一般社団法人医親会理事

日本華僑報    2020年1月16日(木) 16時0分

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犬の嗅覚は人間の100万倍以上と言われ、探索救助犬、麻薬探知犬、盲導犬などとして人々の生活をサポートしている。今日では医学界にも活躍の場を広げ、多くの「がん探知犬」が誕生している。

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潜伏期における検出は「がん探知犬」にしかできません。しかも、精度はほぼ100%です。検査の精度を期すために、検査センターでは一つの検体の再検査を6回から12回行います。

▼日本の多くの医療機関と提携

――「がん探知犬」の育成が最初に行われたのはどの国でしょうか。また、日本ではいつ始まったのでしょうか。その課程で最も苦労した点を教えていただけますか。

李爽:「がん探知犬」は偶然見つかりました。1989年、著名な医学雑誌『ランセット』が、イギリス・ロンドンで、皮膚がんが早期に発見された事例について報告しました。それによると、ロンドンに住むある女性医師が足に膨らみのあるホクロを見つけ、皮膚科で検査した結果、悪性ではないということでした。ところが、彼女が飼っていたコリー犬が、いつも彼女の足元にうずくまってホクロの臭いを嗅いでは落ち着かない様子でした。犬の異常な様子を察知して精密検査を行ったところ、初期の皮膚がんと診断されたのです。発見が早かったため転移はありませんでした。


日本では2000年から始まりました。多くのドッグトレーナーがこの分野に取り組む中で、最終的に佐藤悠二先生の名前が知られるようになりました。佐藤先生は1947年、東京生まれ。1989年に千葉県に犬の訓練センターを設立し、10年間で数多くの水難救助犬を育成し、2005年から「がん探知犬」の育成事業に乗り出しました。

最も苦労したのは、如何にして「がん探知犬」の能力を人々に、特に医療機関や医師の先生方に受け入れていただき、信用してもらうことでした。最終的に、日本医師会から認可をいただき、多くの病院と提携することができました。悪性腫瘍かどうかの判断を仰ぐため、患者の呼気を送って来る病院の医師もいました。


――日本社会で「がん探知犬」は広く認知され応用されています。日本でメディカルツーリズムが大きく推進されている今日、中国からの観光客や在日華人にも体験できるチャンスはありますか。

李爽:あります。日本のテレビ報道によると、多くの在日華人にも知られているようです。中国からの観光客から問い合わせがあって、実際に検査を受けたというケースもありました。これまでで数百人にのぼります。検体を多く収集することで、「がん探知犬」の研究に役立てることができます。さらに、提携している日本の多くの病院に事例を提供することもできます。

▼「がん探知犬」の社会的利益を重視

――先生は天津のご出身で、来日して29年になられます。他の分野でも成功を収めておられますが、「がん探知犬」育成事業に乗り出したきっかけは何だったのですか。

李爽:主な理由は二つあります。まずは、友人の遺志です。私には日本人の親友がいました。私と同年代で、小児科医でした。彼は毎年健康診断を受け、血液検査の数値が高く出ていたのですが、ずっと原因がわかりませんでした。PET-CT検査の原理はこうです。体内にブドウ糖に近い成分の検査薬を注射し、ブドウ糖を多く取り込んでいる細胞を探し、がんを発見します。しかし、友人のがんはブドウ糖とは無関係だったために見つからなかったのです。がんと分かった時には、すでに全身の臓器に転移していました。友人が佐藤先生を私に紹介したのです。私が「がん探知犬」育成事業に参画し、がんをより早期により確実に発見して欲しいというのが、彼の遺志でした。

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