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中国マスクバブル崩壊の一部始終、「ぼろもうけ」から「大損」までたった半月―中国メディア

配信日時:2020年6月9日(火) 0時20分
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中国メディアの澎湃新聞は7日、「狂気のマスク:ぼろもうけから大損まで、たった半月」と題する記事を掲載。中国国内のマスクバブル崩壊を伝えた。資料写真。

中国メディアの澎湃新聞は7日、「狂気のマスク:ぼろもうけから大損まで、たった半月」と題する記事を掲載。中国国内のマスクバブル崩壊を伝えた。

新型コロナウイルスが流行する中、中国山東省済寧市でマスク工場の操業を始めた王さん(34)は、「天から地に落ちる」まで半月もかからなかったという。王さんは4月中旬にマスク生産を開始。わずか10日で2件の大口の受注があり、30~40万元(450万~600万円)の利益があった。王さんは当時について「マスク製造機が金山に見えた」と語った。

■突然のコロナ流行で狂った計画

2012年に済寧市でパートナーと不織布バッグの工場を始めた王さん。16年からは海外からも受注し、年商600万元(約9000万円)ほどになった。新型コロナウイルスの流行前には、貯めた60万元(約900万円)で気に入った中古の家の手付金を支払った。しかし、コロナの流行で計画が狂った。

操業を停止していた工場は3月下旬に再開した。当時は外国で感染が拡大しており、海外からの注文は全くなかった。国内でも展示会やイベントなどが軒並み中止になり、需要はなかった。王さんは「ストレスがすごかった。注文がなければ従業員は出て行ってしまう。改めて募集して教育するのはコストがかかる」と振り返った。

■意を決しマスク市場へ

王さんたちがマスク市場参入を決めた主な理由は、先に参入した同業者の「数百万元(数千万円)稼いだ」という成功体験だった。もともと海外との取引があったことも有利にはたらくと感じた。

4月7日に営業許可を取得し、10日には4セットの中古のマスク製造機を調達。生産を始めた。海外との取引の経験から品質の重要性は理解しており、中国国内とEUでの認証も取得した。直後、イタリアから110万枚を受注した。

当時はマスク1枚当たりの製造コストは9毛(約14円)、販売価格は1元3~4毛(約21円)だった。利益は先方と折半のため、1枚当たりの儲けは2~3毛(約4円)だったという。先方が急いでいたため、2日間、不眠不休で工場を稼働し発送した。税関を通過、品質検査も無事合格した。2日で400万円ほどを稼ぎ、王さんは「狂気を感じていた」という。

■あっという間に引いた需要

勢いに乗った王さんたちは、中古で購入した製造機を売り、200万元(約3000万円)を投じて新しく大型のN95マスク(米労働安全衛生研究所のN95規格をクリアしたマスク)製造機を購入した。無菌室への改築費用なども合わせると、その時点ですでに300万元(約4500万円)あまりを投資していたという。その後、30万枚の受注があった。「このままなら一括で家が買える」と喜んだのもつかの間、事態は急転した。

中国でコロナの流行が収まってきてから、個人や企業の手元にマスクが行きわたるようになり需要が大きく減少し始めた。王さんの工場では、国内からの数百、数千程度の需要はあったものの、4月末を境に大口の注文はなくなった。

焦った王さんは、家族や親戚、知人らにマスクを売りこんでほしいと頼んだが、効果は「微々たるもの」だった。地方で防疫の指揮を執る党幹部は、話を聞くなり「マスクの在庫なら大量にある」と返答したという。

■マスク市場新規参入、9割がコスト回収できず?

中国の調査会社・天眼査によると、今年1月1日から5月31日までに中国で新たに登録されたマスク関連企業は7万802社に上り、前年同期比で1255.84%増だった。4月までは登録社数が増加し続けていたが、5月に入って減少に転じた。

また、中国中央テレビ(CCTV)によると、今年3~4月に中国が輸出したマスクは、昨年の世界の総生産量の3倍に当たる278億枚だった。4月24日の1日だけで、10億6000万枚が輸出されたという。

王さんの工場には引き続き小口の注文はあったものの、投資を回収することは「不可能」なレベルだった。

業界関係者は、「コロナ流行が深刻な時期は市場への参入は非常に大変で、マスク製造機は入手困難。価格も高騰した。購入しても、納入は半月かひと月後だった。3月中旬から下旬に生産を始められたのなら早い方だ」とし、「コロナ流行が収まってから市場に参入した業者の9割はコストを回収できないだろう。N95に手を出さなかったならまだ良いが、手を出したら100万元(約1500万円)の損失も不思議ではない」と語ったという。

■売らなかった製造機、今後は…

マスク製造機の価格はすでに大きく値崩れし、買い手がつきにくい状態になった。王さんはパートナーと相談した結果、機械は売らずに残しておくことにした。現在は不織布バッグの需要が徐々に戻りつつあり、そちらに重点を移すが、マスク生産も「副業」として続けることにした。周辺に正規にマスクを製造している企業が少ないこと、発展途上国の需要はまだある程度見込めることが理由だという。

一方で、マスク製造機が「鉄くず」になる前に売り払った人は大きな損失を免れたようだ。コロナ禍で「マスク製造機は紙幣印刷機」「マスクが大勢の億万長者を生み出した」といったうわさが流れたというが、業界関係者は「中国人はもうかることを口外しない。それに、国難でもうけていると批判されることを恐れている」と語った。

王さんは「今後のコロナ流行がどうなるかは誰にも分からない。様子を見ながらやるしかない」と話したという。(翻訳・編集/北田

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