<コラム>ニュース中国語事始め=新型肺炎関連の報道で見かける単語や表現

如月隼人    2020年1月28日(火) 20時40分

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湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎ですが、中国では<新型冠状病毒感染的肺炎>と呼ばれています。写真は武漢。

例えば1月26日の発表文を見ると、<2020年1月25日0-24時>といった対象期間を示す表現があります。日本の記事ならば「1月25日午前0時から26日午前0時」のように書くのが一般的です。中国で用いられる<2020年1月25日0-24時>は、日付などの書き方として論理的にはおかしいとも言えますが、1月25日の24時間内の出来事についての記述と、直感的かつ簡潔に伝えるためには適しているとも言えます。「1月26日午前0時時点まで」と示したいならば<截至1月25日24時 jie2zhi4 1 yue4 25 ri4 24 shi2>と書けます。

発表文中には<新増確診病例 xin1 zeng1 que4zhen3 bing4li4>という表現があります。<新増>は「新たに増加」、<確診>は「診断が確定」です。つまり、この部分は「新たに増えた診断確定の病例」です。日本では「新たに688人の感染が確認された」といった報道文が一般的ですが、中国では病人数ではなく病気の事例、つまり<病例>として表現することが一般的です。したがって、<688例 688 li4>のように数えます。報道文も多くの場合、病人数ではなく<病例>の数として紹介しています。

感染の疑いがもたれている人について、日本の記事でよく使われる「疑い例」に対応する中国語表現は<疑似病例 yi2si4 bing4li4>です。日本の記事では「疑い例が1309人」といった書き方も多く、「『例』を数える単位が『人』でよいのか」という疑問も感じてしまうのですが、中国語では<病例>として扱い<1309例>のように数えるので、矛盾は生じません。

■新型肺炎を法定伝染病に指定、「ペスト」並みの警戒を指示

「流行病の発生状況」は<疫情 yi4qing2>と、日本語に比べて極めて短く表現します。中国政府は社会に大きな影響を与える可能性がある伝染病を<法定伝染病>として、発生した場合には医療機関に報告や患者の隔離を義務付ける制度を設けています。<国家衛生健康委員会>は公式サイトで毎月の<法定伝染病疫情 fa3ding4 chuan2ran3bing4 yi4qing2>を発表しています(発表が大幅に遅れる場合もありますが)。<法定伝染病>は深刻さにより、<甲類 jia3lei4><乙類 yi3lei4><丙類 bing3lei4>に分類されています。

<甲類法定伝染病>としては現在、<鼠疫 shu3yi4>(ペスト)と<霍乱 huo4luan4>(コレラ)の2種が指定されています。その次のランクである<乙類>のリストにも、<艾滋病 ai4zi1bing4>(エイズ)、<肺結核 fei4jie2he2>、<狂犬病 kuang2quan3bing4>など、かなり深刻な伝染病が並んでいます。

国家衛生健康委員会は1月20日付で、新型コロナウイルスによる肺炎を<乙類法定伝染病>とすることを発表しました。ただし、予防や感染抑止の措置については<甲類>の基準を適用するとしました。同伝染病について、長期的に見ればペストほどには深刻な病気ではないが、当面は最も厳重な対応が必要との姿勢を示したものと理解してよいでしょう。

●ピンインの表記について:本コラムでは中国語を< >の中に、日本語の常用漢字の字体で表示しています。ピンインについては、ローマ字表記の直後に声調を算用数字で添えます。軽声は0とします。 u の上に2つの点を添えるピンインには v を用います(例:・東西 dong1xi0、・婦女 fu4nv3)

■筆者プロフィール:如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大学教養学部基礎科学科卒。日本では数学とその他の科学分野を勉強し、その後は北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。中国については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結局は得」が信条。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。

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