<羅針盤>世界で遭遇した「危機一髪」体験=高齢ドライバー暴走事故を憂う―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2019年6月9日(日) 8時0分
世界で遭遇した「危機一髪」体験=「高齢ドライバー暴走事故」を憂う
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世の中何が起きるか分からない。1カ月ほど前、87歳男性の暴走運転によって、母親と3歳の幼い娘が突然失われ、大きな衝撃をうけた。危険は突然やってくるもの。筆者も海外で多くの「危機一髪」に遭遇した。
世の中何が起きるか分からない。1カ月ほど前、87歳男性の暴走運転によって、母親と3歳の幼い娘が突然失われ、大きな衝撃をうけた。その後も、この種の重大な交通事故が頻発し、多くの死傷者が出ている。

警察統計によると、高齢ドライバー(75歳以上)による死亡事故は2018年に460件と、前年に比べて42件も増加したという。筆者は若いころ自動車マニアで余暇にスピードと爽快さを楽しんだものだが、仕事に追われるようになってやめた。日常の交通手段としてやむにやまれず運転している高齢者も多いだろう。

海外でも、危機は突然やってくる。日本の駐在員や出張者、渡航観光客が交通事故や事件に遭遇し、死傷するケースが後を絶たない。この種のニュースを見聞きするたびにいたたまれなくなる。

私もかつて海外の取引先開拓のため諸国を飛び回っていた。すると多くの経験をする。今でも生きているのが不思議に思えることも多い。

フランクフルト空港で搭乗航空機が着地と同時にパンク。ジグザグしながらやっとストップ。滑走路に蛇行したカーブの跡が滑走路に残り、肝を冷やした。ロンドンーパリ間では雷に打たれ「ドカン」という凄い音が轟いた。着陸して機外に出ると先端のカバーが無く、計器類がまる見えだった。

シカゴの一流ホテルでは眠っている間に盗みに入られて金銭をそっくり取られたこともある。命を奪われなくてよかったと胸をなでおろしたものである。

出迎えの社員が運転する車が、アメリカのハイウエーを逆進入し、前方から大型トレーラーが迫ってきた。ああこれでこの世ともおさらばという瞬間、見事にかわしてくれ、一命をとりとめた。慌てて車を路肩に止め、タイヤから煙をはきながら蛇行して遠ざかる姿に手を合わせて感謝。一瞬垣間見た運転手の凄い形相が今でも瞼に焼き付いている。等々枚挙にいとまがない。
 
このように長年にわたり、私以上に多くの危険な経験や心細い思いを抱きながら、日本のビジネスマンは開拓の努力をし、やっと今日の地歩を固めてきたのである。グローバル化が進展する中、企業の海外進出はさらに活発化すると思われるが、各企業は安全・安心には万全を尽くしていただきたい。

これだけ死に損なうとそろそろ運も尽きるのではと心配になるが、「運も実力のうち」と開き直っている。このように長年にわたり私以上に多くの危険な経験をしながら日本のビジネスマンは開拓の努力をしてきた。ただ敬服するばかりである。
<羅針盤篇42>


■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。
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