日本人は「恩知らず、鬼畜、信用できない」と考えていた私が、日本に行ってみたくなった理由―中国人学生

日本僑報社    2019年4月14日(日) 6時40分

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語学を学ぶ目的は人それぞれで、明確にそれが定まっている人もいれば、なんとなくという人もいるだろう。南陽理工学院で日本語を学ぶ鍾子龍さんは、日本人の先生との出会いで「なぜ日本語を学ぶのか」を真剣に考えるようになったという。資料写真。

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語学を学ぶ目的は人それぞれで、明確にそれが定まっている人もいれば、なんとなくという人もいるだろう。南陽理工学院で日本語を学ぶ鍾子龍さんは、日本人の先生との出会いで「なぜ日本語を学ぶのか」を真剣に考えるようになったという。以下は、鍾さんの作文。

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去年の日本人の中国に対する親近感は19%足らず、日本から中国への観光客も減っていると聞きました。一方、中国人に「日本人をどう思うか」と尋ねれば、「恩知らず、鬼畜。友達になっても建前で物をいうから信用できない」と、答える人が少なからずいるのも事実です。実は、私もその一人でした。

中学生時代、ネットで、あるジャーナリストが日本を否定的に述べた『日本はどんな国』というサイトに出会いました。それには「冷血」「疎外」「いじめ」などの語彙が並び、日本を悪国と断定していました。私は、それを鵜呑みにして偏見を持つようになったのです。

ある日、日本に旅行され、帰国後「日本人の印象は」と聞かれた私の高校の先生が「固定観念で人を判断するのは愚かです。どんな国の人でも、実際に会って、知って、感じることが大切です」と、答えられました。私は、そのように先生に言わしめた日本に、是非行きたいと考えるようになりました。

私が大学で日本語を専攻したのは、その思いが益々強くなっていたからです。大学で出会った日本人の教師の方々は、私がそれまで抱いてきた日本人のイメージとはかけ離れていました。「こんにちはは“你好”、さようならは“再見”、また会いましょう。中国語の挨拶はとっても素敵ね」。日本人の先生が授業中そう言われたので気を利かした私は、「先生、また会いましょうといいたければ、“再見”の前に今度会う時を入れます」と言いました。

「え、どんなふうに?」「例えば…、“明天見”で明日また会おう」「へえ、では、『明日の授業で必ずまた会おうね!』は?」。そこで、私は「アっ」と言葉を詰まらせました。なぜなら、その頃、授業をさぼりがちだったからです。そんな私に、クラスは大爆笑。

その日本人の先生は、60代の長い海外経験を持つ方で、学生たちの学習のモチベーションを上げようと、教科書の他、色々な話をされます。先生は、2012年の反日デモの吹き荒れる中、なぜ南陽理工学院に赴任したのかの答えとして、日本のテレビ番組を見せてくださいました。それは、南陽市の農民一家が、記憶喪失の日本兵をさまざまな困難に耐え50年間保護し続け、我が学院の関係者の協力で帰国させたという感動的なドキュメントでした。

また、日中国交正常化のために周恩来総理をはじめ両国の人々がどれ程尽力されたかなど、実体験を織り交ぜながらの話は、どれも初めて知ることばかりでした。

そして「日本語を学ぶのは何のためか、どうか少しでも考えてください」と言われました。それは、日本語学習の目的が日本語能力試験合格のみになっていた私にとって衝撃でした。日中間には忘れてならない不幸な歴史があります。しかし、それを繰り返さないために自分に何ができるかを考えたことはありませんでした。私は現在、日本語学科の学習委員長として、1年生に日本文化について講演したり、日本のニュースを中国語にして発表するなどの活動をしていますが、後輩たちに大切なこととして、真の人間交流は思い込みや誤解を払拭してこそ始まるのだと訴えていきたいと思います。(編集/北田

※本文は、第十四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2018年)より、鍾子龍さん(南陽理工学院)の作品「日本語を学ぶのは何のため」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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中国人の日本語作文コンクール受賞作品集はコチラ
http://duan.jp/item/267.html

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