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<直言!日本と世界の未来>米中経済摩擦が日本企業を直撃=2月末までの交渉合意を期待―立石信雄オムロン元会長

配信日時:2019年1月27日(日) 5時0分
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米中の貿易摩擦による影響が、日本企業にも波及してきたことを懸念している。世界の大半の国にとって最大の貿易相手国は中国であり、日本も直撃されている。世界的な企業の業績の悪化を懸念せざるを得ない。写真は世界経済フォーラム(ダボス会議)。

米中の貿易摩擦による影響が、日本企業にも波及してきたことを懸念している。世界の大半の国にとって最大の貿易相手国は中国であり、日本企業も直撃されている。日本の2018年の貿易収支は1兆2033億円の赤字と3年ぶりの赤字となった。日本からの中国向け輸出が急減したためで、関連企業の業績の悪化を懸念せざるを得ない。

2018年12月の貿易統計速報によると、輸出は前年同月比3.8%減の7兆240億円だった。米中貿易戦争による中国経済の減速の影響が顕在化し、中国向けの輸出が7%減の1兆4026億円に落ち込んだ。

トランプ大統領による対中関税引き上げなどの保護主義的な政策と中国の報復措置は、世界経済を翻弄している。18年の中国経済成長率は前年比0.2%減の6.6%と減速、中国企業の輸入が縮小した。この結果、中国向けの生産設備や電子部品の輸出に頼る日本企業が打撃を受け、昨年12月の中国向け輸出は、半導体等製造装置が前年同月比34.3%減、携帯電話の部品などの通信機が67.1%減と激減した。

米国のトランプ大統領の「気紛れなツイッター発言」で状況が二転三転するケースが多いのには辟易する。企業経営者は「経済活動の原理原則とは別の次元の話に翻弄されており、先行きもっと悪くなったら、リーマンショックに近いことになっていくのではないか」と警戒している。

1月下旬に開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、世界の経営者の多くから世界経済の先行きを警戒する声が相次いだという。米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題など、政治リスクへの警戒が特に強いようだ。

私が注目したのは、コンサルティング大手のPwCがダボスで発表した世界の最高経営責任者(CEO)約1380人を対象にした意識調査。それによると、「今後12カ月で世界経済が減速する」と回答したのは29%。1年前の5%から急増した。脅威の内容については「政策の不透明さ」や「貿易摩擦」などが列挙されている。

日本工作機械工業会が発表した昨年12月の中国からの受注金額は、前年同期比56.4%減の150億円と、10カ月連続の前年割れとなった。半導体や自動車向けなど産業機械全般で受注が落ち込んでおり、昨年後半から実体経済にも支障が出ているのは間違いないようだ。

今年の世界経済にとって大きなリスク要因は何と言っても米中経済摩擦である。かつての米ソ冷戦時代と異なり、米中間には貿易、投資、サプライチェーン(供給連鎖)などで相互依存が緊密化している。その他の国の経済も先進国から新興国まで影響は甚大である。

国際通貨基金(IMF)は21日に世界経済見通しを改定し、2019年の成長率予測を3.5%と18年10月時点から0.2ポイント下方修正した。米国発の貿易戦争や中国経済の減速が世界的に波及し、欧州や産油国の成長率が下振れした。

底流で続く米中対立は次代の覇権争いの様相を呈し、厳しい米中関係が続くと見る識者も多い。トランプ政権内では強硬派と協調派のせめぎ合いが継続することになろう。米国はじめ世界景気に陰りが見え始めている中、さらに米中貿易摩擦が長期化すれば経済が混乱するのは必至だ。このままでは日本をはじめ世界中大きなダメージを被ってしまう。

トランプ氏と習近平国家主席は2018年12月1日の首脳会談で、90日間の期限を設けて交渉を続け、その間は税率の引き上げを見送ることなどで合意した。中国側はその後、首脳の共通認識に従うとして、米国への対抗措置を相次いで緩和している。米中の協議は断続的に続けられ「進展」しているようだ。両国の交渉が期限の2月末までにまとめられることを期待したい。

<直言篇78>

■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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