<コラム>中国がW杯招致に本腰を入れたら、日本の「あの人たち」を爆買いするかも

浦上 早苗    2018年7月13日(金) 22時50分

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中国はこの20年、あらゆる分野で大きな成長を遂げ、国際的な発言力を持つようになった。その中で、中国に比べて日本の方が急成長していると断言できる、数少ないものの一つがサッカーだ。写真はサッカーワールドカップ・ロシア大会。

そして今大会は、その熱狂ぶりを世界も知ることになった。コロンビア戦は、選手よりも試合よりも、会場を埋める中国企業の広告が気になって仕方がなかった。試合後のインタビューでも、西野監督や長谷部選手の背後に設置されたパネルに、中国企業のロゴが並ぶ。一般的な日本人は「漢字=中国企業」としか認識できないかもしれないが、アルファベットの企業広告の中にも、相当な数の中国企業が混じっていた。ちなみに「蒙牛」はスーパーでしばしば特売の対象になる乳製品ブランドで、同じく中国生活が長かった夫は、蒙牛の広告が大きく映し出される度に、「蒙牛!蒙牛!特価!特価!」と、売り場の店員のお決まりの言葉を連呼していた。

現地報道によると、国際サッカー連盟(FIFA)のスポンサー17社のうち、中国企業が過去最多の7社を占めた。日本でも「自国が出ていないのに…」と、話題になっていたが、この20年間の中国の経済・企業の成長と、なかなか進歩しないサッカーのコントラストが可視化され、中国の人々も複雑だったかもしれない。

中国人は日本サッカーの躍進をどう見ているのだろうか。報道を見ると、素直に称賛する記事が多く、「日本に学ぶべきこと」などの記事をよく見る。「大迫、本田を生んだ部活という育成システム」など、日本メディアの解説記事とは全く趣が違う視点も多い。

サッカーに限らず、多くの中国人に共通するのは、強い愛国心を持ちながらも、「いいものはいい」と素直に受け止め、自分の生活や企業に取り入れていくことだ。新しいものに対して「本当に大丈夫なの?」と懐疑心を抱きがちな日本人とはだいぶ違う。

そして、「いいものはいい」と認め、世界各地であらゆるものを買いつくす中国は、サッカーの指導者や選手も、強豪国から爆買いしている。ユースチームであっても、指導陣はブラジル、ポルトガル、フランス、日本…と多国籍だ。

習近平国家主席はサッカー好きとして知られ、「サッカー強国」も国策として打ち出している。2017年にはFIFAに対し、中国にW杯を招致したいとの希望も直接伝えたという。それでも中国のサッカーはなかなか強くならず、国民の間ではフラストレーションとあきらめが交錯している。

プロリーグに外国人を投入して、国内を盛り上げることはできても、各国代表が戦うW杯となると、有望な中国人選手の育成が不可欠で、中国メディアが日本の部活に着目しているのも、その問題意識の表れなのだろう。ブラック部活、教員の負荷、アメフト問題…と、日本ではマイナス面が噴出している運動系部活だが、中国がW杯招致に本腰を入れ始めたら、日本の部活指導者も、爆買いの対象になるかもしれない。

■筆者プロフィール:浦上早苗

大卒後、地方新聞社に12年半勤務。国費留学生として中国・大連に留学し、少数民族中心の大学で日本語講師に。並行して、中国語、英語のメディア・ニュース翻訳に従事。日本人役としての映画出演やマナー講師の経験も持つ。

■筆者プロフィール:浦上 早苗

1974年生まれ、福岡市出身。早稲田大学政治経済学部卒業、九州大学大学院経済学府修了。大卒後、地方新聞社に12年半勤務。その後息子を連れ、国費留学生として大連に博士課程留学…するも、修了の見通しが立たず、少数民族中心の大学で日本語講師に。並行して、中国語、英語のニュース翻訳に従事。頼まれて映画に日本人役として出たり、マナー講師をしてみたり、中国人社会の中で、「日本人ならできるだろ」という無茶な依頼に、怒ったりあきれたりしながら付き合っています。マスコミ業界の片隅に身を置いている経験から、日米中のマスから見た中国社会と、私の小さな目から見たそれの違いを少しでもお伝えできれば幸いです。

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