米中の貿易赤字はどこから?利益の黒字は米国に―中国メディア

人民網日本語版    2018年3月29日(木) 15時30分

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米国のトランプ大統領は22日、大統領令に署名し、米通商代表部が発表した「通商法301条」の調査報告書に基づき、関連部門に対中制裁措置を取るよう指示を出した。資料写真。

米国トランプ大統領は22日、大統領令に署名し、米通商代表部(USTR)が発表した「通商法301条」の調査報告書に基づき、関連部門に対中制裁措置を取るよう指示を出した。米国がこのようなやり方をする重要な原因の1つは、これによって米中間の貿易赤字を削減したいからだとの見方が出ている。米国のまとめた統計では対中貿易赤字が1000億ドル(約10兆5700億円)レベルに達するが、多くの専門家が米側の統計データについて「正確さを欠き高く見積もられすぎている」との見方を示す。

▽米国の対中輸出に何が影響したか?

国務院発展研究センターの隆国強副センター長は、「貿易の競争力とは根本的には産業の競争力のことだ。米中の二国間貿易がアンバランスである重要な原因は中国市場における米国製品の競争力の低さにある。米中の間では、輸出にせよ輸入にせよ、すべて『市場が決定する』のであり、両国の企業と消費者が自主的に選択した結果が今の現状だ。レート水準が変わらないとすれば、中国は労働集約型製品の分野で黒字になるが、資本技術集約型製品、農産品、サービス貿易の分野ではいつも赤字だ。このことは競争力の強い産業は、黒字も自然と多くなることをよく説明している。米国が米中間の赤字問題を解決したいなら、中国の対米輸出の力をそぐところから始めるのではなく、米国企業自身の製品の競争力を高める努力をすべきだ」と述べた。

中国と比較すると、米国には最も輸出競争力に富んだ分野が2つある。1つは農業だ。米国は自然の恵みが非常に豊かで、労働生産性も高い。もう1つはハイテク産業だ。ただこの分野で米国は輸出を制限しており、特に対中輸出を厳しく制限している。

商務部の鍾山部長は、「米国の貿易不均衡は米国のハイテク技術の対中輸出制限と関係がある。米研究機関の報告によると、米国の対中輸出制限が緩和されれば、対中貿易赤字は35%ほど削減される」との見方を示す。

▽米国の対中輸入はなぜあんなに多い?

グローバル化を背景として、中国は世界の工場になり、米国を含む各国の企業が中国で生産を行い、生産後に中国から米国へ製品を輸出するようになった。このモデルでは、多くの製品が中国の生産統計データに反映される付加価値をもち得ないとしても、対外貿易統計では中国の対外貿易黒字に算入される。

また、米国は中国に対してだけでなく、グローバル貿易において長期にわたり赤字を抱えている。エール大学シニアフェローのスティーブン・ローチ氏は、「米国は100数カ国に対して貿易赤字だ。米国経済はサービス業が主体で、貯蓄が少なく、消費が多く、自国での生産だけでは国内の消費ニーズを満たせず、消費財を大量に輸入する必要がある。貿易赤字は実質的には米国が他国の余剰の貯蓄を利用して、自国の生産能力を上回る消費水準を維持していることにほかならない」との見方を示す。

▽米中貿易赤字で、米国は本当に損をしているのか?

専門家によると、「事実として、米国は中国から低コストの労働集約型製品を大量に輸入することで、米国国民の消費コストを大幅に引き下げ、『消費の余剰』を増大させ、実際に米国の消費者の福祉を向上させており、マクロ的にも米国がインフレを抑制する上でプラスになっている」という。

商務部国際貿易経済協力研究院国際市場研究所の白明副所長は、「貿易の赤字と利益の赤字は別々のものであり、米中経済貿易協力において、米国は受益者であり、米国の消費者が享受するメリットは目に見えるし、手で触れることもできるものだ」と述べる。

商務部が発表した「米中経済貿易関係に関する研究報告」によると、グローバルバリューチェーンの中で、貿易の黒字は中国に生じているが、利益の黒字は米国にあり、全体として米中双方は相互利益・ウィンウィンの関係にある。中国側の統計では、2017年の中国の貨物貿易の黒字のうち57%は外資系企業によるもので、59%は加工貿易によっていた。中国は加工貿易の中からわずかな加工賃を受け取るだけだが、米国は設計、部品の提供、営業販売などの各段階で巨額の利益を得ているという。

専門家は「米中貿易赤字が生まれた原因は複雑で、両国の経済発展水準や産業構造と関係がある。貿易赤字は一日にして成ったものではなく、強制的措置で一気に解決することなどできない」と指摘する。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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