<コラム>中国「ポスト習近平」政権を占う、結果は秋の共産党大会で判明

如月隼人    2017年7月19日(水) 21時20分

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中国共産党は今年(2017年)秋、5年に1度の全国代表大会(党大会)を開催する。この党大会で、「ポスト習近平」となる次期政権担当者が決まる可能性が極めて高い。写真は中国共産党および中国政府の中枢がある中南海。

張氏の中央委員会委員就任は2002年と比較的早いが、政治家というよりも宇宙関連の技術や関連産業における責任ある立場が反映されたものだった。政界入りしてからは1年後に省長就任という異例のスピード出世を見せた。さらに河北省長時代の2016年に習近平国家主席のセルビア、ポーランド、ウズベキスタン歴訪に随行したことも、地方政府の関係者としては極めて異例として注目された。

◆予測が難しい人事、習総書記が「オレがルール」と考えればすべてが違ってくる

中国共産党の秋の人事の予想が難しい理由は、これまでの「慣例」が変更されるとの見方が出ていることだ。

まず、習近平総書記の考えで常務委員会の人数が5人に減らされるとの説がある。常務委員会の人数に明文化された規則があるわけではない。1980年代には5、6人のことが多かった。江沢民政権時の1992年からは7人、02年からの胡錦涛政権では9人に増え、2012年発足の習近平政権で7人になった。

常務委員会が仮に5人体制になるならば、胡錦涛系の人物としては50年代生まれで22年からの「ポスト習近平」に残ることが難しい汪洋氏を常務委員として、残りは子飼いである陳敏爾氏や張慶偉氏を常務委員にする方法などが考えられる。そうすれば、常務委員内で「習近平派」は3人となり、「胡錦涛派」は李克強氏と汪洋氏の2人になるので多数派を占めることができる。また、「権力レース」にまだ残っているとも言える胡春華氏も、今年秋の党大会時に常務委員に就任できなければ、2022年に総書記や首相に就任することはほぼ絶望となる。

また、常務委員会における李克強首相の序列が現在の第2位を保てるかどうかも不明だ。胡錦涛政権時には全国人民代表大会(全人代)常務委員会委員長だった呉邦国氏が温家宝首相より1つ上の序列第2位だった前例もある。形式的な側面が強いのだが、中国の憲法では全人代が、行政権をも上回る国家の最高権力機関と位置付けられており、首相の党内序列を3位に落としてもさほど不自然ではない。

さらに「68歳定年制」も、維持されるかどうか不明。そもそも「68歳定年」が「慣例」とされたのは2002年の党大会時だった。この時には曽慶紅常務委員(国家副主席)が、対立していた李瑞環常務委員を排除するために、それまで70歳だった「定年」を引き下げたとされる。曽常務委員は「68歳定年」を一時的措置にする心づもりだったが強引なやり方が恨まれ、次の2007年の党大会で、自分自身が68歳に達していたことを理由に引退に追い込まれたと見られている。

つまり「68歳定年制」の採用には当時の権力闘争以外にはっきりとした理由はなく、年齢が再び70歳に引き上げられてもおかしくない。その場合、習近平総書記の片腕として「腐敗撲滅」に辣腕を振るってきた王岐山常務委員(1948年生まれ、共産党中央紀律検査委員会書記)が秋の党大会で留任する可能性も出てくる。

さらに「70歳定年制」が復活すれば、2022年の党大会時に69歳である習近平総書記が3期目を務める可能性すらでてくる。なお王常務委員については最近になり、以前に比べてずいぶん痩せている写真が発表されており、健康状態についてはやや気になるところだ。

内実については不明ではあるが、習近平政権は胡錦涛時代とは打って変わって強権を発動しつづけてきた。習総書記が「ルールを作るのはオレ」との腹を固めれば、秋の党大会で「サプライズだらけの人事」が発表される可能性も否定できない。

■筆者プロフィール:如月隼人

日本では数学とその他の科学分野を勉強したが、何を考えたか北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。

■筆者プロフィール:如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大学教養学部基礎科学科卒。日本では数学とその他の科学分野を勉強し、その後は北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。中国については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結局は得」が信条。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。

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