<コラム>香港の民主と自決を主張する若者が日本人に向け熱弁、20歳にして国際的影響力も

如月隼人    2017年6月16日(金) 14時40分

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東京大学駒場キャンパスで14日、「香港返還20周年・民主のゆくえ」と題するイベントが開催された。写真は香港。

黄氏は、習近平政権になってから、中国は東南アジアにおける影響力を強めていると指摘。2015年にマレーシアの大学に招待されたが、入国が認められなかったという。16年10月にタイを訪れた際には警察官などに取り囲まれ、身柄を拘束された。旅券も没収された。黄氏は「本当に怖かった」と述べた。

拘束時間は12時間ほどだったが、銅鑼湾書店事件ではタイで拉致された人もいたからだ。タイのプラユット首相は同件について「中国の要請に応じた」と述べた。

問題はまだある。例えば表現と報道の自由だ。黄氏は、電子商取引を手掛ける中国の大企業、アリババ集団が香港最大の英字紙である「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」を買収した件を問題視。ちなみに、アリババ集団の創業者であり会長である馬雲ジャック・マー)氏は、習近平中国国家主席と親しい関係にあるとされる。

黄氏も周氏も、香港のメディアは中国資本の影響を受ける場合が多くなり、ほとんどが親中派にコントロールされていると主張。周氏によると、今回の来日も親中派の新聞に批判された。ただし逆に「批判されたということは、正しいことをやっているとの証拠」と思えた。周氏らによると中国の意向に抵抗するジャーナリストもいるという。

中国は香港返還に際して、「50年間は社会制度を変えない」と宣言した。いわゆる「1国2制度」だ。黄氏は、その期限である2047年までまだ30年あるのに、香港の現状は「すでに『1国1.5制度』になってしまった」と表現した。

■自らの信念を徹底するために新党を結成、2047年以降も視野

香港における民主や自決を求める運動に対しては、支持しているのは若者だけとの見方も根強い。デモシストを結成した理由にはまず、議席を獲得して、民主自決は広く支持されていると証明したいとの考えがあった。その上で、議会での活動を通じて、公正な社会、若者が自らの努力で地位を高めることのできる社会を目指したいと願っている。

既存の民主派政党に加わらなかったのは、自分らの考えを代表する政治勢力とは考えられないからだ。親中派に協力したり非民主的な法案に賛成する場合があるなどで、納得できないという。

香港では本土派と呼ばれる政治勢力があり、分裂状態にあるが政党も結成している。「本土派」とは「香港人にとって香港こそが本土であり、大陸は本土でない」と主張し、分離独立を目指す傾向が強い。

黄氏らは本土派に対しても批判的だ。一般の中国人に対して敵対的な姿勢を取る場合があるからだ。黄氏らは自らを「自決派」と称している。問題があるのはあくまでも中国当局と主張するが、ことさらに独立を主張するわけではない。目標は2047年以降も香港市民自らが、自らの未来を決めることのできる社会を実現させることだ。具体的には現在も、さまざまな問題で住民投票を行う制度のないことを問題視している。

デモシストは議会活動以外にも街頭運動や国際的な連携を重視している。街頭運動では「雨傘運動」についての反省もある。運動の後期になり背景の分からない人が参加してきて混乱も発生したからだ。黄氏は、「暴力的な行為がいったん発生すれば、コントロールが困難」と指摘。今後は街頭行動について「大原則」を定める必要があるとの考えを示した。

香港は7月1日に、中国への返還20周年を迎える。習近平国家主席も香港で開催される記念行事に出席するとされる。デモシストとしては抗議活動をする考えだ。非暴力的な不服従を通して、返還20周年は祝福すべきではないと主張する考えだ。

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