<コラム>国民の生活より核開発の北朝鮮、その想像し難いほどの「したたかさ」

木口 政樹    2017年6月15日(木) 19時30分

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南の道(ド)について書いて終わりにしようと思ったが、本来は南から北まで含め一つの国なので、北朝鮮の道についても簡単にスケッチしてこの稿をまとめようと思う。資料写真。

900年代の爆発によって大帝国であった渤海が滅亡したとも言われており、その時の火山灰は今でも北海道から採取されるという。全天が真っ暗になるほどの巨大な爆発であったと言われている。いつになるか分からないが、近いうちにまた爆発するはずだ。もしも今爆発すれば、北朝鮮という国は自動的に崩壊してしまうだろう。何の武力の必要もなしに。

この白頭山、檀君(タングン)の生誕地として韓民族にとっては聖なる山であり精神的支柱ともいえる山であるが、その多くの部分を中国に売り渡し、中国と北朝鮮の比率が5対3という割合であるというから、韓国人が腹を立てるのもうなずけるというものだ。南北が統一しても、8分の3しか楽しめないじゃないかというわけだ。金に困ってのことだとは推察するけど、民族の霊山をそんな簡単に売り飛ばしてもいいの?と筆者は第三者ながら気がもめるところだ。

あの霊水・天池も、天池本人は存ぜぬところであろうが、ほぼ中心線が国境となっており、此岸は北朝鮮、彼岸は中国となっている。もちろん天池の上に線が引かれているわけではないけれど。

北の核について言及しよう。韓国、日本、米国などからの援助の金を使って核開発をやってきたとされるが、それだけ核をなんとしても早く完成させようとしていたことが分かる。幹部以外のすべての民衆は、食べるものもなく苦しみにあえいでいるとき、北の中枢は核開発に余念がなかったのである。ある意味それは理解できないこともない。核さえあれば米や韓の強力な武器もなんら怖くないわけで。これまで何度、核を口実に会談を開催し援助を取り付けてきたことか。「これこれしかじかの援助をくれるなら核はやめる」という言い回しで。

米も韓も同じ口車に何度乗せられたことか。「今度こそは本当だろう」と誰しもが思うような言い方を北はする。でも約束が守られたことはない。理由は簡単だ。北が核を放棄する考えなど初めから全くないからである。北が核を放棄することはイコール北の体制を放棄することである。北の核放棄はあり得ないことなのである。

核実験、もちろんしてもらっては困るけど、「北よ、核実験をやるでない」と言える国は、実はどこにもない。国際法上は違反しているのかもしれないが、米国も中国もロシアも、過去におびただしい核実験をやってこの地球を放射能汚染させてきた。その汚染度は、想像を絶するものらしいけど、どこのマスコミもそれを報道することはない。大国あるいは権力のせいと言っていいかもしれない。パワーの側に不利になることは、放射能に限らず表面に現れてこないようだ。どこかでなんらかのバイアスがかけられているからであろう。

北はここのところをよく知っているから、誰がなんと言おうと常に「屁のかっぱ」なのである。つべこべ言うやつがいれば、「おまえだってやってるくせに、なんでおれにだけやるなと言うんだよ。そんなことをいえる義理かよ」というわけだ。北の肝の据わり方、あるいはしたたかさは、私のような小物がどうして想像などできようか。その腹の黒さと言えばいいのか、度量の大きさと言えばいいのか、駆け引きのうまさと言えばいいのか、ちょっと表現しかねるけれど、それは、底なし沼の深さを計測するよりももっと難しいワザであろう。核あっての北。これからもきっと核保有を続けるだろう。

北が時々やる核実験だが、これだけはやめてほしいものだ。それでなくてさえ大気といわず海といわず放射能汚染が深刻なわけだから。これ以上、極東のこの狭い地域に放射能をばらまくことはやめてもらいたい。

■筆者プロフィール:木口政樹

イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大学校教授(2002年〜現在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。

■筆者プロフィール:木口 政樹

イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大学校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓国』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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