<コラム>中国「軍用機の認識パターン」は解放軍成立当初から米国風?

如月隼人    2017年3月17日(金) 14時0分

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調べものをしていて、気になり始めたことがある。軍用機の命名法だ。国によってずいぶん異なるのだ。資料写真。

さて、中国の軍用機だが、現在に至るまで大部分がソ連(ロシア)の軍用機のコピーまたは改良版であることはよく知られている。しかし機体名については「自国独自」だ。まず、戦闘機は「殲(殲轟とする場合もある)」、爆撃機なら「轟」、攻撃機は「強」、輸送機は「運」、練習機は「教練」の文字を置き、番号を続ける。殲−20、運−9といった具合だ。

ちなみに殲、轟、強、運、教練のローマ字表記はJian、Hong、Qiang、Yun、Jiaolianなので、中国語圏以外ではJ−20、Y−9のように書かれるのが一般的だ。「教練」の場合には「JL」とされる。

考えてみれば中国の軍用機命名法は米軍と発想がほぼ同じだ。名称にまず、機体の機能または用法を反映させている。

中華人民共和国は1949年の建国当初から米国とは対立しており、翌50年に勃発した朝鮮戦争では実際に戦った。地上の戦闘だけでなく戦闘機同士の空中戦も展開された。ソ連から供与されたMiG−15を中国人パイロットが操縦して米軍戦闘機を撃墜した事例も少なくなかった。

当時の中国が、軍用機の命名方法を決めるにあたって全否定の対象だった米国の方式に学んだとは考えにくい。とすれば、自分らにもっともしっくりくる方式を採用したことになる。ものごとを分類して命名する作業では、対象物を認識する上で何を重視するかという発想が直接に反映される。認識パターンが示されるわけだ。実用面や機能をまずは重視する点で、軍用機の命名法には中国人の発想が米国人にかなり近いことが反映されているとも言えそうだ。

日本の場合、陸軍は「年号」+「機種」と、まずは「順番」を重視している。「一般名詞」に切り替えた海軍は、実に詩的な制式機名になったが、それでも機種ごとに1文字を共通させるなどで秩序感も保とうとしている。順番重視、あるいは美的感覚と秩序の両立を目指している点で、これも日本人の発想を反映しているように思えるのだが、どうだろう。(3月14日寄稿)

■筆者プロフィール:如月隼人

日本では数学とその他の科学分野を勉強したが、何を考えたか北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。

■筆者プロフィール:如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大学教養学部基礎科学科卒。日本では数学とその他の科学分野を勉強し、その後は北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。中国については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結局は得」が信条。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。

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