「30万人の中国人が殺された」=そんな話を聞くばかりで、日本人に一度も会ったことがない人は多い―中国人学生

日本僑報社    2016年9月3日(土) 7時30分

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実際に日本人と接したことのある中国人はまだ少ない。中国人民大学の郭可純さんは、先入観や偏見を捨てて、相手の言葉に耳を傾けることが日中関係に重要だとつづっている。資料写真。

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9月3日は中国では抗日戦勝記念日だ。70周年に当たる昨年は、大規模な記念行事が行われたことでも記憶に新しい。中国ではテレビのニュースやドラマで繰り返し戦争に関する情報を流しており、日本人に悪いイメージを抱いている人が大勢いる。一方で、実際に日本人と接したことのある中国人はまだ少ない。中国人民大学の郭可純さんは、これからの日中関係に重要なことについて、以下のように作文につづっている。

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「30万人の中国人が殺された」。南京大虐殺記念館を見学したとき、あちこちにこんなスローガンが揚げられていて、しんと静まっていた。戦争が終わり70年が経つ。現在、私たち青年は、日中問題について自分の目で見ることより、テレビのニュースや前の世代の回想、ドラマの中の銃声と泣き声などを通して、間接的に聞くことのほうが多い。そのため、日本人に一度も会ったことのない中国の青年の中には、若い頃から「日本人は悪人だ」というイメージを持っている人もいる。

幸いなことに、私の大学の専門は日本語で、多くの日本人と付き合う中で、生の意義深い声を耳にする機会に恵まれた。2015年1月、私は日本大使館の日中友好成人式に参加した。ゲストは矢野浩二さん。彼は中国のあるテレビ番組の司会者として、いつも流暢な中国語で私たちを笑わせてくれるが、この日は日本語で話し始めた。日本人なのに日本語で話すことに新鮮な違和感があってみんな笑った。彼を始め、数多くの日本人が、全精力を傾けて自分の声で発信し、日中のよりよい関係を築こうとしていることを再認識する機会になった。

先学期から、私はインターネットで日本語キャスターというアルバイトを始めた。これは日本人向けのホームページで、ある話題について話したり歌ったり、視聴者と交流したりする番組を生放送する仕事だ。最初は日本人の視聴者は中国人のキャスターを認めてくれないのではないかなと不安だったが、実際にやってみて、視聴者の方々の親切さに感動した。彼らはいつも一生懸命応援してくれて、「うんうん、そうなの」と相づちを打ったり、「かわいいね」と褒めてくれたりしながら聞いてくれた。そして、放送が終わった時には「楽しい時間ありがとうございました」「日中友好の架け橋ですね!」とねぎらってくれたこともたびたびあった。

このような経験から、私は自分の声を通じて、日本の方々に中国の大学生の活力や生の姿を伝えたり、日中友好の思いを言葉にしたりして、民間交流に少しでも貢献できるように頑張っていこうと決心した。

私の心には、これまでに付き合ってきた日本人の友達のさまざまな楽しげな声が響いている。初めて日本人留学生と相互学習した時、日本語と中国語とを織り交ぜ、身振り手振りでコミュニケーションした時の笑い声、北京のメイド喫茶でアルバイトをしていた日本人が、「中国人のオタクを育てたい!」とお客さんに大きな声で伝えた願い、学校の日中交流会で「マジカルバナナ」というゲームをやっているとき、日本人の奈帆ちゃんが「素晴らしいといったら、中国」と言った後、みんなが上げた歓声など、すべて心に焼き付いている。これらの声がお互いに共鳴し合い、私の胸の中に一つの楽章を作っている。

近年、冷え込んだ日中関係の影響か、両国の青年の間に嫌悪や攻撃、デモの声などが絶えず飛び交っているのも事実である。しかし、それは両国の一人ひとりがお互いの心の声を聞こうとしないからではないだろうか。相手の本音を聞かずに、自分の立場をすべてだと思い込み、先入観や偏見に満ちた声をあげる人はあまりにも多い。その結果、「日本人は最悪だ」「中国は嫌だ」といった言葉を深く考えずに口にしているように思う。もしみんなが私のように友好の声に耳を傾ける機会があれば、きっと相手を深く理解し、共通点を見つけ、日中関係を改めて考え直せるのではないだろうか。(編集/北田

※本文は、第十一回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「なんでそうなるの?中国の若者は日本のココが理解できない」(段躍中編、日本僑報社、2015年)より、郭可純さん(中国人民大学)の作品「声」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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