2015年の東証株価、4年連続上昇も後半に失速=中国変調・アベノミクス行き詰まり背景、16年も軟調か―大納会終値1万9033円

八牧浩行    2015年12月30日(水) 15時37分

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30日の東京株式市場大納会(取引最終日)の日経平均株価は前年末に比べ1万9033円で終了した。年前半こそ順調に値を上げたが、後半に失速した。中国株式の下落をきっかけとした世界経済減速懸念が足を引っ張った。写真は東京証券取引所。

2015年12月30日の東京株式市場大納会(取引最終日)の日経平均株価は前年末に比べ1万9033円で終了した。昨年末比1582円高で、4年連続の上昇だが、上げ幅は鈍化した。年前半こそ順調に値を上げたが、後半に失速した。中国株式の下落をきっかけとした世界経済減速懸念が足を引っ張った。16年の見通しについて、市場関係者の間では、強弱様々な見方が交錯しているが、軟調な地合いが続くとの予想も根強い。

2015年の日経平均株価の年間最安値は1月14日に付けた1万6795円。最高値は6月24日の2万0868円。IT(情報技術)バブル時の高値2万0833円(2000年4月12日)を上回って、1996年12月以来約18年半ぶりの水準となった。

ところが上海総合指数が6月12日に終値では7年ぶりとなる高値5166を付けた後に下落に転じ、7月8日には3507と高値を32%下回る水準まで下がった。さらに8月11日には中国人民銀行が人民元相場を切り下げたため市場が混乱。米利上げ観測や石油価格下落も弱材料となった。

日本国内の消費支出や設備投資の減退に伴うGDP成長率低迷も東京市場を直撃した。日経平均株価は海外投資家などから売りも出回り、9月29日には1万6930円と年初以来の水準まで落ち込んだ。12月1日にはいったん2万円を回復するが、年末にかけて再び下落基調となった。

2016年の見通しについては、市場関係者の見方は強弱が交錯する。米国経済が堅調に推移し、中国経済が安定すれば、世界経済を活気づかせ、原油価格も回復するとの期待から、株式相場が上昇基調をたどると見る向きがある。一方で、(1)原油価格の低迷が続けば石油など資源株がさらに下落、(2)米国の利上げ回数が抑制され円高が進む可能性がある、(3)日本企業の業績が伸びず株価に割安感がない―などの理由から悲観的な見方も根強い。

◆「金融緩和補完措置」も空振り

安倍政権の経済政策、アベノミクスの行き詰まりも悲観論の根拠になっている。アベノミクスは政策を総動員して円安に誘導し株価を人為的に吊り上げてきたが、そのいずれも剥げ落ちつつあるのだ。

安倍政権が発足した2012年12月以来、東証株価が上昇してきたが、その特徴は“官製相場”の様相が濃かったこと。(1)積極的な公共投資、(2)日銀の異次元緩和と上場投資信託(ETF)買い入れ、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式購入比率拡大に伴う大量買い出動―などが相場上昇につながったためだ。

日銀が「バズーカ異次元金融緩和」に向けた国債買い入れと株価押し上げのためETF買い入れに投じた資金は膨大である。日銀が実施している超金融緩和策は、(1)資金供給量を年間80兆円まで拡大。中長期国債の買い入れペースも年80兆円とし、平均残存期間も、年7〜10年程度に最大3年程度延長する、(2)上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の保有残高をこれまでの3倍に増やす―などというもの。

日銀によるETF買い入れは株式購入と同義語。日銀保有のETFは推定時価が8兆6000億円。2000年代前半の銀行保有株買い取りも含めると保有時価は10兆円を超える。日本株の2%弱を保有する計算で東証株価を押し上げる原動力となってきた。余力資金は3兆円といわれるが、日銀は買ったまま売らないため市場で流通する株が減少、価格形成が歪む恐れもある。一方で、日銀が将来「出口」戦略を余儀なくされ、売りに転じれば株価の下押し要因となってしまう。

こうした中、日銀は12月18日、「金融緩和補完措置」はETFを買い入れる枠を年3000億円新設すると発表した。発表直後には日銀のETF買いが加速するとの見方から一時買い材料となったがすぐに失速。日銀がかつて買い入れた株式の売却に伴う市場への悪影響を吸収するのが主目的で、いわば「窮余の策」との認識が浸透すると、大量の失望売りに見舞われた。相場の混乱が投資家心理を急速に冷やした格好だ。

◆年金基金活用にも制約

GPIFは世界最大の政府系ファンドで、総額約140兆円。国民の年金資金を原資とし、従来は国債中心に運用していたが、昨年10月末、運用ポートフォリオ(資産構成割合)を変更。国債の運用比率を下げ、国内株式の割合を全体の12%から25%まで拡大した。これにより新たに18兆円の東京株式市場への流入が可能となった。国家公務員共済などの共済基金も同様に株運用の比率を高め、政府系のゆうちょ銀行も株価を購入した。ところがGPIF運用資産の国内株比率は既にこの上限に近い水準に達している模様だ。

これら公的資金の買い余力は総計で十数兆円に達するといわれていたが、シンクタンクの試算によると既に底を突きつつある。元本が保証されない株式というリスクマネーは株価が急落した場合、“虎の子”の年金基金に穴を開け、最終的に国民にツケが回る。実際、年金基金は今夏以降の株価下落で7兆円余りの損失が出たとされる。

一方、円相場も1ドル=120円前後で推移。これ以上の円安は期待できそうもない。国際通貨基金(IMF)は7月下旬に発表した対日年次報告の中で、「構造改革を伴わない追加的な量的緩和は、国内需要を委縮させるだけでなく、円安への過剰依存をもたらし兼ねない」とけん制している。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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