拡大
人体というモチーフを通じてプリミティブな生命への礼賛を表現する画家の王楠。民間芸術への憧憬や絵の具との戯れを通じて身につけた、まるで素描のような筆致は、むき出しの生命を体現せんとしているかのようだ。
(1 / 20 枚)
「人体は記号だと思っている。その記号を使って、プリミティブな生命への礼賛を表現している」。女性とは思えないようなダイナミックな筆致で、力強い人体像などを描く画家の王楠(ワン・ナン)。そのインスピレーションの源は、朴訥ながらに原始の生命力みなぎる民間芸術であり、その表現手法の源は、絵の具との絶え間ない戯れを通じて身につけた筆致のボキャブラリーであるという。
【その他の写真】
王楠の作品は、むしろ素描に近いと思わせるほどスピード感溢れるものである。まるで急流のような筆づかい、はじける瞬発力。描画に絵筆を用いることにさえ、こだわっていないようだ。チューブから直接練り出したと思われる生の色彩、ぼってりとした厚みは、むき出しの生命を体現せんとしているかのようである。(文/山上仁奈)
●王楠(ワン・ナン)
女流画家。1979年生まれ、天津出身。2009年、天津美術学院油彩画学部(修士課程)卒業、現在に至る。代表作に「トーテム」「生命状態」「人体」など。
写真提供:匯泰国際文化発展有限公司(中国・天津)
※週末美術館では、中華圏のアーティストを中心に日本や世界各地の写真作品、美術作品、書道作品など様々なジャンルの作品をご紹介していきます。