中国が地球周回軌道上でマウスの実験、「宇宙での人の生殖」も視野―香港メディア

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中国は先ごろ打ち上げた有人宇宙船の神舟21号で、実験用のマウスも宇宙ステーションに送り込んだ。将来の「宇宙での人の生存と生殖」も視野に入れたものという。香港メディアの亜洲週刊が伝えた。

中国は北京時間10月31日午後11時44分(日本時間11月1日午前0時44分)、長征2号F遥21運搬ロケットを用いて神舟21号有人宇宙船を打ち上げた。神舟21号は北京時間11月1日午前4時58分(日本時間同日午前5時58分)に宇宙ステーションの天宮とのドッキングを完了した。神舟21号の搭乗員は3人で、神舟20号で天宮に行き滞在していた宇宙飛行士3人と再会した。

神舟21号の打ち上げは中国の宇宙ステーションの応用と発展段階に入ってからの6回目の有人飛行であり、プロジェクトの開始以来37回目の打ち上げだった。中国はこれまでに、28人の宇宙飛行士を延べ44回にわたり宇宙に送り出した。実施した船外活動は24回で、累計で400日以上を地球周回軌道で過ごした飛行士もいる。

神舟21号の搭乗員は、天宮滞在中に27項目の実験や研究を行う。対象分野は宇宙生命科学とバイオテクノロジー、宇宙医学、宇宙素材科学、微小重力流体物理と燃焼など多岐にわたる。

また、雄2匹、雌2匹の計4匹の実験用のマウスも天宮に持ち込まれた。中国がマウスを含む齧歯(げっし)類を宇宙に運んだのは初めてだ。地球周回軌道上で飼育し、無重力や密閉などの条件がマウスの行動パターンに与える影響を重点的に研究するという。4匹はいずれも地上に帰還させ、科学研究を継続することで、宇宙の環境における多くの器官のストレスへの対応と適応の法則を探る計画だ。

実験動物としてのマウスには、人の遺伝子との共通性が高く、体が小さく、繁殖周期が短く、遺伝子編集が容易という利点がある。現状においては、生命体の宇宙での生理や病理、さらに成長、発育、繁殖の研究を行う理想的な対象だ。宇宙ステーションでのマウスを対象にした研究は、人類が将来、宇宙で長期にわたり生存し繁殖することに重大な意義を持つという。

中国は宇宙ステーションを利用した生物関連の実験にも力を入れている。例えば、農作物の種を繰り返し宇宙ステーションに運んでいる。ステーション内では宇宙放射線や微小重力の影響で突然変異が生じやすいので、地上に持ち帰ってから優秀な種を選ぶことで、品種改良を加速できるからだ。すでに実用化され大量に栽培されている品種もある。

また、神舟18号は野生型ゼブラフィッシュ3匹と遺伝子ノックアウト型ゼブラフィッシュ3匹、さらに6グラムの金魚藻で構築した水生生態系を天宮に持ち込んだ。ゼブラフィッシュは遺伝子の人との共通部分が87%もある。このことで、実験結果の多くが人についても適用でき、実験生物として有用だ。中国はその他にも、線虫、ショウジョウバエ、プラナリアを宇宙ステーションに持ち込んできた。

生命を形成する重要な物質であるアミノ酸には、光学異性体と呼ばれる構成する原子や結合は同じだが、形状が互いに鏡に映したような関係の分子がある。光学異性体の分子は左手型、右手型の2種類に分類できるが、アミノ酸化学的に合成した場合には左手型と右手型が同じ割合で出現するが、生命体が合成し利用できるアミノ酸は基本的に左手型だ。生命がなぜ左手型のアミノ酸に偏って利用するのかは、まだ解明されていない。

寧波大学の呉翊楽研究員は、神舟21号は「生命とその進化の大きな謎」を探るための「キラリティー(鏡像異性)装置」も天宮に運んだと説明した。

生命を形成する重要な物質であるアミノ酸には「光学異性体」と呼ばれる、構成する原子や結合は同じだが、形状が互いに鏡に映したような関係の分子がある。光学異性体の分子は左手型、右手型の2種類に分類できるが、アミノ酸を化学的に合成した場合には左手型と右手型が同じ割合で出現するが、生命体が合成し利用できるアミノ酸は基本的に左手型だ。生命がなぜ左手型のアミノ酸に偏って利用するのかは、まだ解明されていない。

研究員は「この考え(生命のアミノ酸の左手型と右手型の利用が偏る理由を判明する考え)は大体10年前からあったのですが、地上では十分な条件で実験を行うことができませんでした」と説明した。キラリティー装置は光学異性体が存在する分子について、左手型か右手型を判別できる装置だ。宇宙ステーション内という宇宙放射線や微小重力という環境下で研究することで、研究の新たな進展を期待することができる。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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