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31日、中国のポータルサイト・捜狐に、中国アニメ「『ある日、お姫さまになってしまった件について』はいかにして世界を魅了したか」と題した記事が掲載された。写真はある日、お姫さまになってしまった件について
2025年10月31日、中国のポータルサイト・捜狐に、中国制作アニメ「『ある日、お姫さまになってしまった件について』はいかにして世界を魅了したか」と題した記事が掲載された。
「ある日、お姫さまになってしまった件について」は、Plutus氏(原作)、Spoon氏(作画)による韓国の漫画が原作。魔法の国・オベリア帝国に生まれた皇女アタナシアは、自分の未来を夢で見ることができる不思議な力を持っていたが、ある日18歳の誕生日に父・皇帝クロードにより追放される運命すらも予知してしまう。悲劇を回避するため、彼女は小さな身体で未来を変える決意を固め、自らの運命に立ち向かう。
記事は、「そんな彼女の姿が世界中のアニメファンの心をつかんだ。中国の動画配信サービス・愛奇芸(iQIYI)がアニメ化した同作は、KADOKAWAを通じて世界へ配信され、圧倒的な成果を得た。また、米国のストリーミングサービス・Crunchyrollでは配信開始からわずか2日で五つ星中4.9という高得点を獲得した。これは、中国制作アニメの海外進出が過去の『低価格販売』や『露出目的の輸出』といった段階を脱し、『高品質・高価値』の新たな段階へ突入したことを意味している」と説明した。
そして、「同作は、中国のアニメ制作会社・重慶彩色鉛筆動漫設計有限責任公司との共同制作によるもので、皇女アタナシアと皇帝クロードの複雑で繊細な親子関係を主軸に、運命にあらがい成長していく少女の姿を描いている。また、宮廷ドラマ、衣装チェンジ、魔法などの要素を巧みに融合させ、繊細な感情描写と舞台演出級の音楽構成によって女性向けアニメの表現領域を大きく広げることに成功した」と言及した。
また、「愛奇芸は同作の美しい欧風の作画と皇女アタナシアが自らの運命を変えるという物語、そして親子関係を主軸にした成長ドラマに大きな可能性を感じたのだろう。アニメ制作チームによってキャラクター同士の日常的な交流や微妙な関係の変化を丁寧に描かれたほか、映像美学にもこだわり、冷暖色で皇女と皇帝の空間を分け、輪郭と色彩の違いを使って異なる地域を明確に区別し、徹底した世界観の構築が行われた」と述べた。
さらに、「特に象徴的な『宝石眼』は技術的探求を重ね、最終的に3Dと手描きを組み合わせて描かれた。これにより、クリアでありながらも生き生きとした視覚効果が実現され、キャラクターの内面を映す窓のような表現に仕上がっている。さらに、皇女アタナシアの衣装が頻繁に替わるのも同作の大きな見どころである。成長段階や年齢ごとにデザインを変化させ、視覚的な魅力だけでなく物語の象徴的要素として機能させている」と論じた。
加えて、「音楽制作にも並外れたこだわりが見られる。各キャラクターにテーマ曲を設け、物語の展開やキャラクターの心境変化に応じて編曲や変奏が行われている。特筆すべきは、ブダペスト芸術交響楽団と協働した60人規模のオーケストラによる実演録音である。ヴァイオリン、フルート、ピッコロ、クラリネット、オーボエ、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバ、ハープ、ピアノなど多様な楽器編成による40分に及ぶ交響曲は、視聴者がより深く物語に引き込まれる体験を実現した」と評した。
そして、「同作は中国制作の女性向けアニメを海外へ同時展開する初の試みとなった。日本語版がdアニメストア、U-NEXT、アニメ放題などで配信され、さらにCrunchyrollや台湾の木棉花系の公式YouTubeチャンネルでも配信されてグローバルな視聴環境が整えられると、海外のファンからは、精緻に描かれた『宝石眼』など細部の再現度や、キャラクターたちの演技力が高く評価された。音楽と映像の融合を絶賛する声も多く『湖畔の柳などの描写を見ただけで、中国の制作チームの職人技だと分かる』とコメントする視聴者もいた。制作過程では、愛奇芸の制作チームが日本語版制作の工程について複数の提案を行ったことも評価され、国際的な制作競争力を証明する結果となった」とした。
その上で、「同作の成功は、愛奇芸が長年アニメ分野で積み重ねてきた体系的な取り組みの成果である。愛奇芸はファンタジーや武術、現代劇など多彩なジャンルで作品を展開し、特に女性向けアニメで独自の強みを築いてきた。『蒼蘭訣〜エターナル・ラブ〜』や『成何体統』の成功を通じて、女性ユーザー層を拡大しながら制作ノウハウを蓄積している。女性ユーザーは題材に寛容な一方で、品質への要求が高い。愛奇芸はこうしたニーズに応えるため、女性の視点や多様なキャラクター像を重視した制作体制を整備。運命に抗い成長する皇女アタナシアの姿はその象徴と言えるだろう。また、現代女性の高い美意識に応えるべく、各作品で独自の美学を追求し、際立ったビジュアル表現を実現している」と強調した。
記事は、「女性向けアニメが短命になりがちな課題に対し、愛奇芸はシリーズ化、実写との連動、作品の多角展開などを通じて、長期的に運営できる仕組みを構築した。同作は『蒼蘭訣〜エターナル・ラブ〜』や『成何体統』に続く愛奇芸の女性向けアニメ戦略の集大成であり、ユーザー理解を基盤とし、品質を中心に据え、体系的運営によって成果を上げてきた証しである」とし、「今後も愛奇芸が多様なジャンルの創作を深化させることで、さらに多くの高品質なアニメが世界舞台で輝くことが期待される」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)
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