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21日、独ドイチェ・ヴェレは、中国がレアアース輸出規制を強化したことで、西側諸国の自動車産業はさらなる危機に直面していることを報じた。写真はドイツ。
2025年10月21日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、中国がレアアース輸出規制を強化したことで、西側諸国の自動車産業はさらなる危機に直面していることを報じた。
記事は、中国政府が10月初旬に5種類の重希土類原材料に対し輸出許可制を導入したと紹介。今年4月に続く規制強化であり、レアアース業界に2度目の衝撃を与えるとともに、サプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにしたと伝えた。
そして、ドイツの金属粉末貿易商NMDのナディーン・ラジェナー氏が「状況は非常に緊迫している」と述べ、中国以外の供給源への問い合わせが急増していると明かしたことに言及。ラジェナー氏によると、スウェーデンなどにはレアアース資源があるものの、採掘・精製能力が不足しており、特に重希土類の精製能力は中国が世界の99.8%を占めるため、代替供給源は極めて困難だと伝えている。
また、中国政府の規制強化は許可申請の処理遅延や審査要件の厳格化を招き、許可証の発行が遅れているとも指摘。その結果、今年半ば以降にネオジムなどの軽希土類価格は約2倍に高騰し、重希土類の入手がほぼ不可能になったと伝えたほか、軍事転用可能な製品の中国からの輸出は事実上停止しているとの声もあるとした。
記事は、レアアース供給の減少は、世界経済に広範かつ深刻な影響を与え、特に大量にレアアース材料を使用する電気自動車(EV)へのダメージは大きいと紹介。自動車業界はレアアースを使用しないエンジンの開発など、レアアース依存度を低減する努力を続けているものの完全に回避することは現状困難であり、北米トヨタのライアン・グリム氏が「中国は2か月以内に自動車産業全体を停止させることができる」と述べ、その脆弱性を強調したことを紹介した。
記事はその上で、日本が10年代より中国からの原材料依存度を低減する戦略を成功裏に策定し、模範となっていると紹介。米国もこれに追随し、米国政府の支援を受ける英国の鉱業グループPensanaがアンゴラでレアアース鉱山開発を進め、27年には採掘を開始する予定だと伝えた。
一方で「欧州は出遅れている」とした上で、ドイツのレアアース取引企業Tradiumのギーゼ氏が「企業がこの分野に参入するためのインセンティブが少なすぎる」と指摘し、政府による奨励政策が不足していることが企業によるレアアース産業参入が活発化しない大きな要因になっているとの見方を示したことを報じた。(編集・翻訳/川尻)
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