映画「ひゃくえむ。」、アニメ化で理解に苦しむ改変―台湾メディア

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4日、台湾のポータルサイト・vocusに「映画『ひゃくえむ。』はアニメ化のために何を犠牲にすればよかったのか」と題したレビュー記事が掲載された。

2025年10月4日、台湾のポータルサイト・vocusに「映画『ひゃくえむ。』はアニメ化のために何を犠牲にすればよかったのか」と題したレビュー記事が掲載された。

記事はまず、「原作漫画を読んだことがなく、ただ原作者の魚豊氏やその代表作『チ。―地球の運動について―』の評価を聞いて劇場に足を運んだ観客であれば、同作には失望と困惑を覚えるだろう。なぜなら同作は原作者が持つあの思索的で哲学的な深みが一切なく、むしろ物語が非常に浅く粗雑に描かれているからだ。まず指摘せねばならないのは、同作が漫画で最も魅力的だった場面をほぼすべて改変している点。例えば小学生編で主人公のトガシと小宮が初めて対決する名場面で、あの『脚が折れるほど走る』劇的な瞬間は、映画で大きく弱められてしまった」述べた。

続けて、「さらに高校編で、部内で小宮がいじめられ、それを実力で跳ね返す痛快な展開が完全に削除された。極め付きは、トガシが高校時代にアメフト部の不良に立ち向かい、陸上部の落ちこぼれを率いて栄光を取り戻すというメインストーリーが丸ごとカットされている。その代わりに『部の再興のために校外のリレー大会に出場する』という単純な話に置き換えられてしまった。なぜ原作者が完成させた名シーンを無視し、わざわざ退屈な新キャラクターや不要な挿話を加えたのか。これほどまでに原作を軽視し、原作の魅力を理解していないなら、そもそもなぜこの漫画を映画化しようと思ったのか理解に苦しむ。こんな改変をしておきながら『面白くなる』と信じていたのなら、その自信の根拠を問いたい」と批判した。

また、「岩井澤健治監督はナレーションという表現手法を軽視しているようだ。映画化する以上、画とせりふだけで物語を語るべきだと考えたのだろう。しかしその結果、原作で丁寧に描かれていた登場人物の葛藤や成長の過程はすべて簡略化されてしまった。例えば小学生時代のトガシが『どうせ自分は足が速いだけだ』という考えから『走ることで何かを変えられる』と信じるようになるまでの変化、社会人になってからの『惰性で生きる』『自信を取り戻す』『現実に打ちのめされる』といった豊かな心の変化が、映画ではたった一つの表情や数行のせりふで済まされている」と言及した。

さらに、「さらにひどいのは、登場人物の複雑な心理描写や熱い展開がすべて削ぎ落とされた結果、『登場人物が冷静に名言を口にする』場面しか残っていないように見えることだ。作品全体を通して、走る場面以外では、登場人物が壁にぶつかったり敵と対峙(たいじ)したりするたびに、突然立ち止まって無表情のまま中二病のようなせりふを言い合うだけという印象を受ける。その唐突さは痛々しく、説教臭さばかりが際立っている。登場人物の変化が描かれないまま『結論的な名言』だけを連発する構成は、作品全体を浅く幼稚に見せてしまっている」と指摘した。

一方、「同作の長所をあえて挙げるなら、まず監督の映像センスだ。レースシーンでは手持ちカメラの揺れやリズミカルな編集、ジャズ調の音楽が見事にかみ合い、疾走感と緊張感を的確に演出している。また、実写映像をトレースするロトスコープ技法を多用している点も特徴的だ。多少の違和感はあるものの、動きのリアリティーが強まり、線の揺らぎや変形が抑圧された心理をうまく表現している。背景や小道具に水彩画やペン画など異なる質感を取り入れた点も表現的な試みとして高く評価できる。主要キャラクターが破綻していない範囲では、十分に前衛的で大胆な芸術的挑戦だろう。ただ、それだけの技術と芸術性、資金力を持つ制作チームがなぜこのような改編を選んだのか。単なる失敗というより、もはや悪意すら感じてしまう」とした。

そして、「魚豊氏はことごとく不運に見舞われている。代表作『チ。―地球の運動について―』はアニメ大手のマッドハウスが制作したにもかかわらず、完成品は画面が暗すぎて何も見えない場面や逆に明るすぎて観客の目が痛くなる場面があり、人物の造形も崩れ、ほとんど毎カットごとに違う容貌で描かれていた。壮大な天文学史詩の作品は、こうして二流の低予算テレビアニメに成り下がった。今回の『ひゃくえむ。』は、制作チームの作画技術に問題はなかったが、単調で低予算の日本式文芸作品にされてしまった。魚豊氏は漫画界の新星であるにもかかわらず、3作品中2作品が映像化で台無しにされている現状は、彼の半ばファンである私にとっても本当に悔しい限りだ」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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