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中国のポータルサイト・百度(バイドゥ)に7日、「日本人がまたノーベル賞、25年間に20個受賞、中国の科学者はまだどれほど待たねばならないか」との評論記事が掲載された。
中国のポータルサイト・百度(バイドゥ)に7日、「日本人がまたノーベル賞、25年間に20個受賞、中国の科学者はまだどれほど待たねばならないか」との評論記事が掲載された。
記事は、2025年のノーベル生理学・医学賞の受賞者に大阪大特任教授の坂口志文氏(74)ら3人が選ばれたことを紹介。受賞理由は「末梢性免疫寛容に関する発見」で、坂口氏は1995年に免疫細胞の活動を制御する制御性T細胞を発見したことを伝えた。
そして、「2001年、日本が『50年で30個のノーベル賞を目指す』と宣言した時、多くの人は夢物語だと笑った。ところが、わずか24年でその目標の3分の2をすでに達成してしまった」と強調。「中国ではこれまで文学賞を受賞した莫言(モー・イエン)氏と、生理学・医学賞を受賞した屠呦呦(トゥ・ヨウヨウ)氏の2人だけ。(日本との)差は確かに大きく、なぜ日本ではこうもノーベル賞受賞ラッシュが続くのかと、思わず考えさせられる」と述べた。
その上で、「滋賀県のごく普通の家庭に生まれた坂口氏は、京都大学医学部を卒業した後に高給を得る(医者の)道を選ばず、黙々と研究を続け、1995年に制御性T細胞を発見した」と言及。2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩氏が「クラゲはどのように光るのか」を解き明かすために長年研究を続けたこと、02年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏がニュートリノの研究に長年尽力したことを挙げ、「彼らの目には『短期間で成果を出す』といった発想は最初から存在しないのだ」と論じた。
記事は興味深い点として、「日本の研究環境が比較的じっくりと研究できるものになっている」と指摘。「中国では日本に比べて研究プロジェクトの期間が短く、申請書作成や評価対応にも多くの時間が割かれるため、腰を据えて研究に取り組む余裕がない」と論じた。また、「研究職」の社会的評価は高くはなく、「研究しても金にならない」と考える親が多いこと、若者も自分の興味を突き詰めるより「就職の先行き」を基準に専攻を選ぶことが多いことを挙げ、「こうした(日中の)意識の差は認めざるを得ない」とした。
また、さらに顕著な違いとして教育に言及し、「日本の子どもたちは小学校の頃から正解に縛られない教育を受けている。放課後は補習ではなく天文クラブや生物クラブに参加する。ある小学校では児童に田んぼで稲が発芽して成熟するまでの全過程を観察させている。自然への好奇心を育てるためだ。一方で、中国の子どもたちは放課後は塾で猛勉強。テストにおける理系科目の点数は決して低いわけではないが、受験用の教育が子どもたちの探究心をすり減らしている」と論じた。
このほか、「日本は何百年もかけて教育を蓄積してきた。江戸時代にはすでに、日本の男性識字率は70%を超え、当時のロンドンやパリよりもはるかに高かったそうだ。今では食育まで取り入れられ、幼いころから『必要な分だけ食べ、食べ残しは恥ずかしいこと』と教えられる。こうした規律や細部への敬意が、やがて科学研究における厳密さと誠実さへとつながるのである」と続けた。
記事は一方で、「私たちも過度に悲観する必要はない」と訴える。「近年の中国の科学研究の進歩は明らかで、論文数や特許件数ではすでに日本を上回っている。量子技術や宇宙ステーションといった分野では世界をリードしている」とし、「ノーベル賞というのは酒造りのようなもので時間が必要だ。坂口氏の研究が(ノーベル賞として)評価されるまで30年を要したように、今の中国の基礎研究への投資も、その成果が現れるのは20年、30年先になるかもしれない」と述べた。
そして、「中国が本当に学ぶべきなのは『科学のための科学』という純粋な姿勢だ。もし中国の科学者たちが日本の研究者のように、『クラゲはなぜ光るのか知りたい』という純粋な探求心で研究に向き合えるようになった時、ノーベル賞はおのずと中国にも訪れるだろう」と結んだ。(翻訳・編集/北田)
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