革新的製品を生み出し愛されるソニー、資産の切り崩しで延命する姿は見たくない―中国メディア

Record China    2014年10月24日(金) 9時11分

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21日、業績が悪化の一途をたどっているソニーが中国市場から撤退するとの噂が広がっている。写真はソニーの中国広告。

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2014年10月21日、業績が悪化の一途をたどっているソニーが中国市場から撤退するとの噂が広がっている。ソニーはこれに「大きな驚きと戸惑いを感じている」とし、重要な成長と利潤貢献の市場という中国の戦略的位置付けは変わらず、社内の各業務で確保され増強されていると反論した。中国経済網が伝えた。

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業界内では、ソニーが中国市場から撤退するとすれば、同社にとっては歴史の分かれ道となり、世界の家電市場から同社が姿を消す前触れとなるかもしれないとの見方がなされている。

▼資産売却も損失を止められず

ソニーが中国市場からの撤退を計画しているとの噂はここしばらく、様々な場所でささやかれていた。ソニーは今月15日、この「撤退説」について声明を発表し、これを明確に否定した。だが長年の赤字をソニーはすでに持ちこたえられなくなっており、赤字額は今年、21億ドル(約2200億円)に拡大するとされる。ソニーの発表によると、2013年の純損失は1284億円で、2014年には最大で2300億円に達する見込みだ。

中国市場からの撤退の意思はないというソニーだが、市場シェアの低下は事実である。家電業界ウォッチャーの劉歩塵(リウ・ブーチェン)氏は、「ソニーの中国市場での衰退は、産業全体の大きな背景と密接にかかわっている。中国の家電ブランドが伸びてきたことで、ソニーブランドの強みは少しずつ失われている。中国市場でのソニーには、サービス不足やイノベーション不足といった短所があった」と指摘する。

家電市場を見渡すと、日本や欧州からやって来た多くの海外ブランドが少しずつ中国市場から撤退し始めていることがわかる。松下とソニー、シーメンスの3社の中国市場のシェアは合計10%に満たない。

「ソニーや松下などの日本企業の業績低下は、円高や高齢化、労働力コストの高さなどに起因している。競争の激しい消費家電業では、イノベーション意識の欠けた企業は生き残れない」と、中国家電マーケティング委員会の洪仕[文武](ホン・シービン)副理事長は指摘する。

ソニー経営者となった平井一夫氏は就任後、固定資産を業績に変えることによってソニーの赤字からの脱出をはかった。「ソニーはここ数年、ビルの売却、工場や生産ラインの停止、業務の大幅な外注などに取り組んできた。損失の泥沼から脱却するためには競争力の強化が必要だが、ソニーは現状でこれを達成できていない。ソニーは、重点市場や重要分野からの撤退を選択するしかなくなっている」と、産業経済ウォッチャーの梁振鵬(リアン・ジェンポン)氏は語る。

▼携帯業務が「手始め」に?

業界筋では、もし中国市場から撤退するなら、手始めは携帯電話となるとの見方がある。携帯業務を家電市場から分離し、中国市場からの完全な撤退へとつなげていくという見方だ。

モバイル業務の市場と競争環境には大きな変化が起きており、ソニーは発展計画の失敗を認めている。ソニーは今年7月、スマートフォンの通年売上台数の見込みを5000万台から4300万台に引き下げた。

「巨大な中国市場でソニーの携帯業務はずっと際立った成果を上げられずにいた。ソニーが中国市場から撤退させる業務があるとすれば、携帯業務は最有力候補となる。ソニーはAppleのようにスマートフォンが救いの星となることを望んでいたが、ソニーのスマホは世界市場では目立った業績を上げられていない」と梁振鵬氏は指摘する。

▼世界の家電市場からの撤退も

ソニーを損失の泥沼に引き入れたのは、同社がかつて核心業務として誇っていた家電製品である。ソニーのテレビ業務は2012年、9年連続の赤字となる696億円の損失を計上した。携帯電話業務の損失は972億円だった。ゲーム機とカメラ業務の貢献もわずかで、全体を支える力にはならなかった。

家電製品はすでにソニーの負担になっていた。ソニーの損失は過去10年で合計80億ドル(約8600億円)近くにのぼるが、この局面はなかなか転換できずにいる。同じ外資の家電メーカーであるフィリップスは最近、80年の歴史を持つ家電業務からの撤退を決めている。そして医療設備と照明製品専門への転向をはかっている。

注意すべきなのは、PC業務を売却したのに続き、ソニーが、同社のシンボルでもあったテレビ業務の分離という重要な決定を行ったことである。今年年初、ソニーはテレビ業務を分離して完全子会社として運営することを決定した。ソニーのこの措置は、テレビ関連資産の売却の伏線となる可能性がある。

梁振鵬氏は、「ソニーは、ブランドの代表であったテレビ業務を分離し、子会社を設立しようとしている。その重要なねらいの一つは、財務上の独立採算にあり、良い買い手が見つかれば売却しようとの意図も垣間見える」と語る。

現在のソニーに、家電産業の花型だった面影はない。人々が見たいと思っているのは革新という遺伝子を発揮したソニーであり、資産を切り崩して何とか生存を維持しているソニーではない。(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/武藤)

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