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日中友好会館・後楽寮の設立40周年記念式典がこのほど東京・飯田橋の同会館で開催された。
日中友好会館・後楽寮の設立40周年記念式典がこのほど東京・飯田橋の同会館で開催され、日中両国の政府関係者、有識者、友好団体、後楽寮生、後楽寮生OB・OGなど約150人が出席した。後楽寮寮生委員会が主催し、日中両国の発展と平和友好に向け留学生交流の重要性を確認した。
日中友好会館後楽寮は1935年に設立された中国人留学生の学生寮を起源とし、1985年に現在の後楽寮が設立され、今年で40周年の記念すべき節目を迎えるのを機に記念式典を開催した。
公益財団法人日中友好会館は1953年に設立された「財団法人善隣学生会館」が前身で、1983年に「財団法人日中友好会館」に改称。後楽寮は中国人留学生・研究者の寄宿舎として1962年に開設され、1985年に現在の建物が建設され、新たな一歩を踏み出した。居室は203室あり、共同生活をしている。これまで中国各地からの留学生は約5500人以上に達し、中国人留学生のよりどころとなってきた。
記念式典の冒頭、日中友好会館の小川正史理事長は「世界情勢が混とんとする中で、日中両国の平和と発展と、世界平和に寄与するものと確信している。幾多の人材が勉学し、多くの分野で活躍している。先人たちの努力とご支援の賜物と感謝したい」と謝辞を述べた。
呉江浩駐日中国大使は「中日関係は戦略的互恵関係に基づいて安定的に発展するものと確信している」と述べた上で、「若い世代の交流・相互理解に果たしている後楽領の役割は大きい」とエールを送った。
吉田智久美・日本外務省アジア対太平洋局中国・モンゴル第一課地域調整官は、「後楽寮は日中友好の重要なプラットホームであり、さらなる発展を期待する」と祝意を述べた。
野田毅・日中協会会長(元衆院議員・自治大臣・経済企画庁長官)は、「後楽寮が設立された40年前は中国も寮生も貧しかった。中国は奇跡的な発展を遂げ、米国と並ぶ超大国に発展した」と指摘した上で、「後楽寮の皆さんは未来に向け相互信頼を育み、日中友好の懸け橋として明るい未来を切り開いていただきたい」と期待した。
後楽寮生OBを代表して汪先思・順天堂大学教授は「中国の出身地も通学する大学も異なる寮生が学生時代に共同生活し学業に励み日本全国を視察したのはかけがえのない体験だった」と述懐。後楽寮の一層の発展と日中の平和を呼びかけた。
最後に、後楽寮代表が「多くの方々のおかげでわれわれ若い世代が勉学し、視野を広げることが可能になっている。今後も両国の発展と平和友好に貢献していきたい」と抱負を語った。
これを受けて現役寮生が壇上で「時の流れに身をまかせ」(テレサ・テン)など合唱曲を披露。万雷の拍手を浴びていた。
留学生による相互交流は、多様な文化や価値観に触れて視野が広がり語学力やコミュニケーション能力が向上するといった個人レベルのメリットに加え、国際的な人的ネットワークの構築や異文化理解の促進に貢献。異文化を学ぶ中で自国の文化を再発見し、多文化共生社会の担い手となることにもつながる。
中国も世界中から留学生を集めており、有力大学は留学生受け入れに力を入れている。筆者は多くの中国の大学で留学生の実態を取材した。上海外国語大学ではアジア、アフリカ、中南米などの各国から来た多くの留学生が勉学に励んでいた。日本人も清華大学や北京大学などに留学しており、東京大学は北京大学近くに拠点を設け、留学生をフォローしていた。
一方、日本でも中国人留学生が累増。東京大、京都大、筑波大、早稲田大、慶応大など有力大の学部・大学院では中国人留学生のウエイトが高まっている。
日中友好会館は2016年度より毎年のように「日中植林・植樹国際連帯事業」を実施。その一環として、清華大学学生代表団(団長:史宗愷 清華大学校務委員会 副主任一行100人)を2024年9月に日本に招聘。中国の清華大学に所属する大学生・大学院生で構成され、日本滞在中、植樹活動、環境・防災に関するセミナー、関連施設の視察などを行い、参加者の環境・防災意識の啓発を図った。大学訪問と交流を通じて、日本の大学生や市民との親睦を深めるとともに、日本の経済、科学技術、社会、歴史、文化などが体験できるような施設や大阪市、和歌山市を訪問した。
英国や米国でも世界各国の留学生を受け入れており、今の天皇・皇后陛下は浩宮さま時代に英オックスフォード大に留学している。
筆者は陛下の同大学留学時代(1980年代前半)にロンドン特派員として、浩宮さまを担当。たびたび同大学に訪ねて取材したほか、英国王室との交流やヨーロッパ王族を訪ねる旅行や登山にも同行した。浩宮さまは世界の多くの若者と交流し、協調と平和友好の精神を学ばれた。欧州各地を旅行し、多くの民族との交流を通じて多様性を尊重すべきであることも改めて認識された。以来40年、今天皇陛下として平和主義と民族多様性重視のお考えを示され、国民から広く敬愛されている。
米国でもハーバード大やスタンフォード大学に中国人留学生が多く在籍している。シリコンバレーなどのIT企業で活躍、米経済を下支えしている。
若い世代の相互交流は世界平和と発展につながり有用だ。後楽寮が40年間で輩出した中国留学生は中国各地や世界中で活躍。その多くが日本の理解者になっている。
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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