三星堆遺跡の研究成果発表、3000年前の出土品から新たな発見と新たな謎―中国

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四川省徳陽市内で開催された「2025三星堆フォーラム」で三星堆遺跡での最近の研究成果が披露された。「新たな発見」があった一方、「新たな謎」にも直面している状態という。

27日から28日にかけて四川省徳陽市内で開催された「2025三星堆フォーラム」では、三星堆遺跡での最近の研究成果が披露された。「新たな発見」があった一方、「新たな謎」にも直面している状態という。中国メディアの封面新聞が伝えた。

三星堆遺跡があるのは徳陽市広漢県内で、現地では紀元前2800年ごろ-紀元前1100年ごろまでの間に大規模な建築群などが存在したことが分かっている。都市あるいは都市に似た社会構造を持っていた可能性があり、しかも、他地域から孤立していたわけではなく、長江文明圏において政治・宗教・経済の中心的役割を果たしていた可能性があるとの指摘もある。

発見のきっかけは1929年に農民が溝を掘っていた際に、玉器、祭祀用の石板、王笏を含む数百点の翡翠の工芸品を発見したことだった。本格的な発掘調査が始まったのは1980年代で、各種の貴重な玉器、金器、青銅器等が出土したことで、中国政府は88年1月、三星堆遺跡を全国重点文物保護単位(全国重点文化財保護施設)に指定した。三星堆の遺跡とその文化は、約5000年前から約3000年前ごろに栄えた古蜀文化に属すとされ、その存在は、黄河文明を偏重していた中国古代史観を修正するきっかけの一つにもなった。

「2025三星堆フォーラム」では、三星堆博物館副館長も務める四川省文物考古研究院三星堆遺跡作業所の冉宏林所長が、四川省省文物考古研究院と北京大学による共同研究の結果、炭素14年代測定により、三星堆遺跡の3号、4号、6号、8号祭祀坑の埋蔵年代が95.4%の確率で紀元前1201年から紀元前1012年の間であることが示されたと発表した。この年代は現在の河南省を中心とした殷王朝の後期に相当する。

三星堆遺跡ではこれまで、一つの器物が故意にばらばらにされたと思われる状態で祭祀孔(祭祀用の穴の跡)で発見された事例が多い。冉所長によると、1号、2号、3号、4号、7号、8号の祭祀坑では、接合が可能なことから元は一つだったと考えられる器物が、別の祭祀坑で見つかっているので、これらの祭祀坑は同一時期に使われていたと判断できる。

冉所長はこの成果について、祀坑の年代を明らかにし、遺跡の精密な年代構造を構築するための重要な根拠となると説明した。

「2025三星堆フォーラム」で、中国国家博物館と四川省文物考古研究院の研究員を務める馬燕如氏は、三星堆遺跡からの金製の出土品についての最新の研究成果を発表した。

馬研究員は2021年から三星堆からの金製の出土品の修復作業を主導している。現在までに修復された金製出土品の総重量は1.5キロを超え、未修復のものが約0.5キロなので、合計では約2キロに達するという。

馬研究員は、この総量は驚くべきものと紹介し、さらに「三星堆における金の使用量と多様な形状は、同時期の文化遺産の中では他に類を見ないものであり、まさに『天下無双』と言える」と説明した。

これほどまでに大量の金製品が存在したということなら、金の供給源にも関心が持たれる。馬研究員はまず、三星堆で出土した金製品に使われた金は、比較的安定した鉱山資源から得られたものだろうとの見方を示した。

しかし、三星堆で使われた大量の金の出所は、新たな謎として残されることになった。馬研究員は、金製出土品の修復作業はまだ完了しておらず、信頼性のある客観的なデータに基づいた推定ができないので、金の供給源は特定できないと説明した。ただし、すでに修復された金製出土品の成分分析からは、これらの金が比較的安定した自然の砂金から得られた可能性が示唆されているという。

三星堆で出土した仮面、鳥形の飾り、魚形の飾りなどの金製製品は主に金の薄い板を使って作られている。職人は打ち延ばし、裁断、透かし彫りなどの技法で成形し、表面には刻線や彫刻を施して装飾を加えている。金銀の柔軟性と延展性を最大限に活用して、包み込みや象嵌の装飾を完成させており、溶接の痕跡は見られない。馬研究員によると、「これらの技法は古蜀の人々が金銀の物理的特性を完全に理解していたことを示している」「(三星堆の金製品の板状加工技術は)比類なきものだ」と称賛した。

馬研究員は古代三星堆の人々が板状の金の加工を多用した理由について、比較的習得しやすく、材料が限られている状況でも、より多くの金製品をつくることができるとの考えを示した。

馬研究員はさらに「私の見解では、古蜀の人々、特に三星堆の人々は金製品の利用と崇拝について、同時期の他の文化よりも先進的だった。三星堆の金の仮面や金のマスクの使用状況から見ても、それらは人のためではなく、神への崇拝と結びついていたと考えられる」と説明した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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