【観察眼】アジアの寛容生かす道へ

CRI online    
facebook X mail url copy

拡大

演説の中で石破首相は、日本が戦後に国際社会へ復帰できたのは「アジアの人々の寛容の精神」によるものだと語った。

先日、まもなく退陣する石破茂首相が、国連総会で一般討論演説を行い、「歴史に真正面から向き合うことなくして、明るい未来は拓けない」として、「戦争の惨禍を繰り返さないと改めて心に刻むことを誓った」と述べた。一見すると、歴史への反省に満ちた発言のようだが、しかし、最も語られるべき二つのキーワード――「侵略」と「謝罪」を避けていた。加害者としての戦争責任を曖昧にしているのだ。

演説の中で石破首相は、日本が戦後に国際社会へ復帰できたのは「アジアの人々の寛容の精神」によるものだと語った。これは確かに歴史的事実である。たとえば中国を例にすれば、戦後、中国は日本に対する巨額の戦争賠償請求権を放棄した。それは、私たちは常に、日本の軍国主義による罪行と日本国民とを区別し、歴史的憎悪を日本の民衆に転嫁しなかったからだ。こうした寛容こそが、戦後日本の復興の条件をつくり出したといえる。

アジアの寛容は、平和への願いに基づくものであり、歴史を正視することへの基本的な期待にほかならない。それは決して、歴史の忘却を許すものではない。「中日共同声明」は、「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」と白紙黒字で約束している。1993年の河野談話は、日本政府が「慰安婦」強制徴用に関与したことを認め、1995年の村山談話では、「侵略がアジア諸国に多大の苦痛を与えた」と明言した。まさにこうした歴史を直視する瞬間こそが、日本に隣国の信頼をもたらし、国際的な尊敬を勝ち得てきたのである。

しかし現在、日本では右翼勢力が教科書を改ざんし、南京大虐殺を否認している。一部政治家は毎年、A級戦犯が合祀された靖国神社に参拜している。東史郎氏が7回にわたり中国を訪れ謝罪したことで右翼から訴訟を起こされ、山添拓参議院議員は731部隊の真実を明らかにしたことで罵倒を浴びた。中国の抗戦勝利80周年記念式典に出席した鳩山由紀夫元首相は、右翼勢力から激しいネット攻撃を受けてしまった。さらに、日本の在外公館が複数国に対し、中国の抗戦勝利記念行事に参加しないよう呼びかけたという事実もある。日本国内での極右の台頭と良識派の苦境が、アジアの寛容を少しずつ消耗させている。

いま世界における日本の立場は、実際のところ極めて微妙である。中国からすれば、一衣帯水の両国民が末永く仲良くしていけることを常に願っている。しかし米国は一貫して日本を「駒」や「道具」と見なし、一部の日本の政策決定者はむしろ自ら進んで米国の東アジア戦略における「実行ツール」に成り下がろうとしている。このような姿勢は極めて危険であり、日本の未来を不確実なものにしている。

日本人には、原爆の痛みが深く刻まれている。その傷は、本来ならば侵略戦争の被害者であるアジア諸国の傷を理解する共感のかけ橋となるべきであったはずだ。結局の所、日本が真にアジアに立脚するために必要なのは、歴史的事実を都合良く忘れることではなく、検証に耐えうる歴史的良心を示すことなのである。アジアの寛容をただ消費するのではなく、それに応え、誠意によって信頼を取り戻すことが重要だ。

戦後80年という歴史的節目に、日本の指導者が真に責任ある言葉を発し、現代日本を軍国主義と完全に決別させることを心から願う。それは日本国民と日本そのものにとって有益であるだけでなく、東アジアひいてはアジア太平洋地域の平和と安定を守る上でも積極的な意義を持つ。もちろん、そのためには日本の政治家や国民が、知恵と勇気、そして先見性が問われる。(提供/CRI

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。

noteに華流エンタメ情報を配信中!詳しくはこちら


   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携