行列ができない地下鉄駅を実現へ、上海で安全と時短を両立する「スマートサービス」が始動

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上海メトロ龍陽路駅で乗り越し時の運賃精算や子連れで利用時の無料通行手続きを係員に頼らず完了できるデバイスの運用が始まった。

上海メトロ龍陽路駅で乗り越し時の運賃精算や子連れで利用時の無料通行手続きを係員に頼らず完了できるデバイスの運用が始まった。改札口横の専用レーンを使った通過時間が平均3.5分から1.2分に短縮された。駅側も現場の人的リソースをより必要な場面へ振り向けることが可能になった。

精算業務にスマート対応

龍陽路駅11号口に設置されたスマートサービスセンターは二つの大型画面を備えた端末で、乗車券の券面確認、駅内案内、イレギュラー対応の機能を1台に集約した。乗り越し時の精算、各種無料乗車証(40種類超)の認識、きっぷの紛失・破損時の対応という駅内で発生しがちな三つの行列原因を解決するソリューションだ。

自動精算機能では、乗車コードや交通カードをデバイスにかざすと不足額を即時表示し、非接触決済でゲートの解錠まで一気通貫に処理する。無料運賃の対象者(身長1.3メートル未満の児童など)はデバイスの所定場所に証明書を置けば良く、必要に応じてオペレーターが遠隔で承認する。

行列を減らして安全性向上

この駅内業務のアップデートは、親子連れや高齢者にとって実益が大きい。上海メトロでは身長1.3メートル以下の子どもの運賃が無料になるが、通行するにはこれまで係員を探して専用レーンを開けてもらう必要があった。それが今後は端末前で手続きが完結する。改札を一緒に通る際にドアに挟まれたり、転倒したりするリスクも大きく軽減する。

コンサートや展示会などのイベントが開催され、多くの人が駅に殺到する際には、先に入場、出口で精算という運用が可能になる。行列をつくらないシステムの構築は安全確保のための投資であり、混雑時の利用者誘導の際も係員に余力を生むメリットがある。係員は本当に助けが必要な人に速やかなサポートを行うことが可能になるわけだ。

自動化で人を難所に寄せる

このシステムの正式運用が始まった龍陽路駅は地下鉄2・7・16・18号線とマグレブ(リニア)が乗り入れるハブ駅で、1日当たりの利用者数は平均25万人を超える。従来の窓口には運賃、乗換、施設案内といった作業が集中し、ピーク時には説明待ちの乗客で長い行列ができていた。

1日当たり70~80件が端末での処理にシフトした。定例業務が自動化されたことで現場工数は6割以上削減できる見込みだ。人員の削減ではなく再配置を狙うという点に目を向けるべきだろう。端末が定例業務を担うことで、係員は複雑事案の対応や安全誘導に専念できるようになる。

検索からVR、乗継動線まで

このように龍陽路駅では、「使いやすさ(UX)×運用(遠隔体制)×混雑耐性(BCP)」の三位一体での改革が行われた。多機能案内端末やVRの実景ナビも稼働している。トイレやエレベーター、最寄りの出口、展示会場(新国際博覧中心)への歩行ルートが可視化され、駅利用者が直面する「どこへ行けばよいか」という迷いが大幅に減少することになった。

高齢者や障害のある人が利用しやすいように端末の画面デザインも工夫された。フォントサイズ、音声案内、コントラスト、呼び出しボタンの見つけやすさが最適化された。誰一人取り残さず手を差し伸べていくデジタル化がコンセプトに置かれている。

運賃、証明、イレギュラー対応をその場で完了させ、行列の発生を未然に断つ龍陽路駅のスマートサービス。行列ができない地下鉄駅を都市のスタンダードに変えていけるかどうかの大きな試金石と見なされている。入場時セキュリティーチェックでの行列解消にも期待したいところだ。一方、龍陽駅におけるマグレブとの乗継動線については少しハードルが高そうだ。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)

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