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2日、中国のQ&Aサイト・知乎に「『光が死んだ夏』が豆瓣で8.7点、次なる神作となるのか?」と題したコラムが掲載された。写真は光が死んだ夏。
2025年9月2日、中国のQ&Aサイト・知乎に「『光が死んだ夏』が豆瓣で8.7点、次なる神作となるのか?」と題したコラムが掲載された。
コラムはまず、「日本のアニメ作品における夏は、祭り、花火、好きな人の赤い頬など、さまざまな要素が彩りを添え、きらびやかな旋律を奏でるが、時に夏は、田舎、民俗、日常に潜む違和感や変容など、サスペンスやホラーの舞台ともなる。そこで本記事では、これらの要素を備え、多くの読者から『隠れた名作』と称される作品『光が死んだ夏』を紹介する」とした。
続けて、「同作が『隠れた名作』と呼ばれるのは、夏、サスペンスホラー、民俗怪談といった題材に加え、BLという比較的珍しい視点を選んだからだろう。しかし、厳密には『隠れた』とは言えない。というのも、同作は連載開始当初から広く話題を集めた作品だからである。原作者・モクモクれん氏は新人漫画家でありながら、この商業連載デビュー作で独自の感性と画力を存分に示した」と論じた。
また、「同作は『次にくるマンガ大賞2022』にて、Webマンガ部門総合11位と特別賞を受賞し、翌年には『このマンガがすごい!2023』オトコ編で藤本タツキ氏の『さよなら絵梨』を抑えて1位を獲得。藤本氏の三連覇を阻止し、累計発行部数は300万部を突破した。その後、制作会社・CygamesPicturesと竹下良平監督によってアニメ化され、今年7月よりNetflixで配信が開始された」と説明した。
しかし、「視聴者が増えるにつれ、それぞれの好みによる解釈の違いが生まれると、評価は次第に複雑化した。中国のアニメ関連サイト・Bangumiでは10点満点中7.0点と平凡、米国のアニメ関連サイト・MyAnimeListでは10点満点中8.2点と良好、そしてより大衆的なユーザー層を持つ中国のドラマ・映画口コミサイトの豆瓣(douban)では10点満点中8.7点と高評価を記録。これにより『神作か否か』をめぐる論争が生まれたのである」と述べた。
コラムは、「物語の舞台は蒸し暑い夏の日。セミやカエルの鳴き声が絶え間なく響く中、学校帰りに自転車を押して帰る2人の少年はベンチに腰掛け、アイスを食べながら談笑していた。しかし、辻中佳紀(つじなかよしき)は友人の忌堂光(いんどうひかる)に向かって『お前やっぱ光ちゃうやろ』と恐ろしい一言を放つ。次の瞬間、目の前の光は『なんでや。完璧に模倣したはずやのに』とろう人形のように溶け出した」と言及した。
続けて、「佳紀は、すでに山中で光の死体を目撃していたのである。正体を暴かれた光は佳紀を殺さず、秘密を守ってほしいと懇願した。佳紀は迷いながらも、たとえ偽物でもそばにいてほしいと日常を続ける。しかし、村では不可解な死が続発し、やがて『ノウヌキ様』という恐ろしい民俗信仰の闇へと繋がっていく」とした。
そして、「上記で描写したわずかな場面からも同作の魅力を直感的に感じ取ることができる。原作漫画では、少年たちや怪異の描写、日常のずれた環境などが巧みに描かれ、身震いするほど冷たく不気味な空気を生み出している。さらに効果音や擬音語が、聴覚的な想像力を喚起し、異様な気配が迫る緊張感を与えていた」と論じた。
また、「アニメでは、この恐怖演出を踏襲しつつ、水墨画の技法を応用して皮膚から生命を宿した流体が染み出すように描くなど、原作の不気味さと衝撃をさらに強調している。また第1話の老婆・松浦を中心とした場面では、俯瞰(ふかん)やゆがんだカメラワークで四方から迫る圧迫感を視聴者に伝え、映像ならではの光と影の表現によって、夏の蒸し暑さや朦朧とした雰囲気も巧みに描かれていた」と評した。
さらに、「日常音を変調することで効果音と映像を一体化させ、突然の大きな音や不気味なBGMに頼らず、微妙な恐怖感を生み出している。子どもたちの不完全な歌声や怪物への鈍い衝撃音、住人の声のずれを組み合わせることで、日常と異常の断絶を強調する演出も見られた」とした。
一方、「こうした演出は高評価を得ているものの、物語構成には批判も多い。特に前半は2人の男性主人公の関係描写に尺を割きすぎて、サスペンスやストーリーのテンポが遅いとの指摘があった。逆にBL目的の視聴者からは恋愛描写が少ないとの不満が出た。同じく批判的な立場の読者でありながら、反対の評価が出るのは、同作が市販されている多くのBL作品やホラー作品とは少し異なるからだろう」と述べた。
その上で、「同作は単なるBL作品ではなく、クィア物語として読むべきである。佳紀は、村という抑圧的な環境で孤立する性少数者であり、怪異となった光との関係は、社会に受け入れられない他者同士の鏡像関係を描いている。佳紀は本物の光への思いを抱えながらも、偽物の光を受け入れ、村の偏見の中で唯一の居場所となる。しかし両者の関係は常に危うく破滅が常に隣り合わせにある状況は、物語に緊張感をもたらしている」と強調した。
また、「物語は佳紀と光の関係を軸に『日常編』『謎解き編』『穴閉じ編』の3部構成で展開されており、未完結の現段階で『日常編』の描写が無駄かどうかを判断するのは早計である。物語の複雑な心理描写や危うい関係性は、支持者にとって唯一無二の魅力であり、二次創作や想像の余地も豊富である。たとえ叙事の進行やペースに批判があったとしても、それは物語の深さと精緻さ故のことだ」と擁護した。
そして、「結局、『光が死んだ夏』が神作かどうかは、完璧さではなく独自性にかかっている。むしろ不完全さが、作品をより人間的でリアルに感じさせ、登場人物の葛藤や人間らしさを際立たせている。新人漫画家によるデビュー作でここまで到達したこと自体が驚異的であり、われわれの役割は、原作者の筆致を追いながら、物語がどのような結末を迎えるのかを見届けることなのだ」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)
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