「鬼滅の刃」無限城編、猗窩座の悲劇が映す大正ロマンの影とは―台湾メディア

Record China    
facebook X mail url copy

拡大

30日、台湾のポータルサイト・vocusに、劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来のレビュー記事が掲載された。写真は鬼滅の刃。

2025年8月30日、台湾のポータルサイト・vocusに、劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来のレビュー記事が掲載された。

記事はまず、「今年の夏、吾峠呼世晴氏の『鬼滅の刃』を原作とする劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来(以下、『鬼滅の刃』無限城編)が台湾で公開され、わずか10日間で興行収入4億台湾ドル(約19億2000万円)を突破し、台湾映画史上最もヒットした日本映画の第3位となった。同作は主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)が鬼殺隊士とともに、鬼の王・鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)および十二鬼月の一人である上弦の参・猗窩座(あかざ)を討伐する物語を描いている。『鬼滅の刃』無限城編とは一体どのような劇場版アニメであるのか。そこからどのような歴史的側面を垣間見ることができるのか。その背後に隠された秘密を探ってみる」と述べた。

続けて、「劇場版は、テレビアニメ版と同様に制作会社・ufotableが担当した。ufotableは華麗で精緻な作画と重厚で深みのあるストーリー展開に定評があり、アニメ業界で高い名声を誇っている。同作でもまたufotableの持ち味が引き継がれ、吾峠氏の細やかで厚みのある語りの力が加わることで、両者の強みが融合し、華麗な映像表現を通じて、人と鬼、善と悪、光と闇が交錯する幻想的な世界を際立たせている。しかし、目を引く映像表現の背後で、『鬼滅の刃』無限城編が描くのは、大正時代の主流であった『文明開化』史観の下で見落とされがちな庶民の悲しい物語であった」と言及した。

記事は、「大正時代(1912~26年)は日本史上わずか14年ではあるが、明治時代(1867~1912年)の西洋化の流れが引き継がれ、文学や芸術においても特異な成果を生み出したため、歴史上『大正ロマン』とも呼ばれている。主流の日本史観では、明治・大正時代は『富国強兵』を基盤とする大国的な新しい思想や文化の発展に満ちた華やかな時代として描かれるが、その背後では、時代の波に抗えない数多くの庶民が階級格差や貧富の不均衡の犠牲となっていた」と説明した。

その上で、「猗窩座の悲劇の物語は、日本の主流的な近現代史において見落とされてきた『庶民史』の視点そのものを映し出している。かつて人間であった狛治(はくじ)は、江戸(現・東京)に住む貧しい青年であり、病床の父を支えるために盗みを働き、刑に服する。出獄後、父の自殺を知り悲憤に駆られるが、道場主・慶蔵(けいぞう)と出会い、その娘・恋雪(こゆき)に恋をする。しかし、師と婚約者は対立する道場の者たちによって命を奪われ、悲しみに打ちひしがれた彼は最終的に鬼へと転じた。近年、日本の学界でも明治・大正時代の歴史的意義を再評価し、その影となった部分を批判的に見直す動きが出てきている」と論じた。

また、「『鬼滅の刃』無限城編は、『人生で最も大切な価値は何か』を繰り返し問い掛けている。『鬼滅の刃』シリーズ全体を通じて描かれるのは、鬼たちもかつては人間であり、それぞれ異なる理由から鬼となったという事実である。生き延びるため、他者から押し付けられた役割のため、あるいは『強さ』を求めるあまり道を踏み外した者もいた。鬼の悪行は批判されるべきだが、その堕落は同時に人間の道徳と欲望の葛藤を映し出している。目の前に利益を差し出され、その代償として人としての良心を捨てねばならない時、果たして自分の初心を貫けるのか。深淵に堕ちてしまったとしても、猗窩座のようにかつての自分を取り戻すことができるのだろうか」と問い掛けた。

そして、「総じて『鬼滅の刃』無限城編は、『鬼滅の刃』シリーズの精神を受け継いだ誠実な続編であると考える。同作では、人間性の複雑さや葛藤、時代の大きな流れに抗えない人々の無力さが描かれ、さらに善と悪のせめぎ合いにおける人間の矛盾を多角的に考えさせられる要素がある。そしてufotableの演出によって、原作が観客に伝えようとした核心的な理念がさらに昇華されている。筆者は『鬼滅の刃』の熱心な古参ファンというわけではないが、『鬼滅の刃』無限城編は非常に成功したアニメ化作品だと評価する」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

noteに華流エンタメ情報を配信中!詳しくはこちら


   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携