少子化進む韓国の消滅を防ぐ唯一の方法は「パパの育児」=韓国ネットは賛否

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写真はソウル。25日、韓国・MBCは「『パパの育児』が韓国消滅を防ぐ唯一の策である理由」と題した記事を掲載

2025年8月25日、韓国・MBCは「『パパの育児』が韓国消滅を防ぐ唯一の策である理由」と題した記事を掲載した。

韓国の合計特殊出生率は昨年、0.75人を記録した。韓国人女性100人が生涯に産む子どもが75人ということだが、男女200人が75人(37.5%)の子孫を残すということでもある。一世代ごとに人口が3分の1に減っていく。韓国女性政策研究院の調べによると、韓国人男性の出産の意向は2.09人なのに対し女性は1.58人にすぎず、主要国の中でも最低だという。女性が子どもを産みたがらない国・韓国だが、30~40代の夫婦の60%が共働きの国でもある。

育休取得経験のある全羅北道・全州(チョンジュ)の公務員の男性は、出産・育児をしている女性は孤独を感じているだろうと話す。配偶者が出勤すれば子どもと2人きりで家に残され、社会は動いているのに自分だけが立ち止まっているように感じる。それこそが、父親が育児休暇の取得をためらう理由でもあると、記事は指摘している。「中小企業なので育児休暇を使うと居場所がなくなりそう」「昇進がかかっているのに、育児休暇など取れない」と男性は休暇取得をためらうが、こうした不利益が女性には当然視されてきた。

統計庁によると、2024年の雇用率は71.3%で、韓国の30代女性は10人に7人が働いている。国家統計研究院調べでは、1980年代生まれ以降の女性は大卒率が男性を超えた。それでも働くママの現実は逼迫(ひっぱく)しているという。

韓国は男性のほうが給料が高いため、父親が休まず働くほうが合理的かもしれない。韓国の男女給料格差は31.2%(2022年)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国で最も格差が大きい。OECD平均は12.1%。ガラスの天井指数も13年連続で最下位圏(英エコノミスト)となっている。これは単なる女性の能力不足のせいではない。

淑明女子大経済学部のパク・ユンス教授(労働経済学博士)によると、女性が出産を経て経験する賃金の下落は「母親ペナルティ」と呼ばれる。育児は母親の役割だと考える人が多い社会ほど、母親ペナルティが高い傾向がある。女性が事実上、育児を専門的に担当する社会構造のせいで、韓国の男女賃金格差は世界最高水準に達した。育児に重点を置けば、仕事に影響が出る。企業側としては女性の採用、昇進を好まなくなり、それを見てきた女性たちは「子どもを産んではいけない」と思うようになる。

中でもなぜ韓国の出生率が特に低いのか。「女性が男性より(特に出産後)家庭に集中する社会構造のせいで男女賃金格差が発生した」という研究でノーベル経済学賞を受賞したクラウディア・ゴールディン氏は、MBCとの電子メールでのインタビューでこう指摘している。「韓国は家父長的な伝統が強いうえに、戦争で経済成長が他国より遅く始まった。さらに農村からソウルへの移住が非常に多く、伝統的な価値観を持ったまま、人々が都市に集まっている」。西欧の先進国は経済成長と都市化が相対的にゆっくり進み、「性の平等」という価値が安定的に定着したが、韓国は家父長的な伝統と新たな価値が衝突し、なかなか平等な育児に進めず、女性が出産を忌避する風潮が現れたとしている。

少子高齢化社会委員会常任委員を務めた人口問題専門家のチェ・スルギ氏(KDI国際政策大学院教授)は、「父親の育児休暇義務化」を持論とする。自分が共同の養育者だということ、育児は「他人事」ではなく「自分事」だという認識を、出産直後から明確にする必要があると述べる。子どもを「産むこと」は女性にしかできないが、夫婦という新たな役割の習得は男女ともが該当する。父親の育児は母親を「手伝う」ことではない。

実際に夫が育休を取り育児に専念してくれたという女性は、「育児をする夫のおかげで、下の子の出産を考えることができた」と話す。反対に、夫は地方出張が多く、平日はほぼ「ワンオペ」だという女性は、2人目をもうけることを断念したと話す。記事は「パパの育児が少子化脱出の代案だという理由がここにある」としている。

育児休暇取得者のうち男性の割合は36.4%で、かなり上がっている。一方、父親になった男性のうち、子どもが産まれた年に育休を取った人の割合は7.4%にとどまる(育休は満8歳まで取得可能)。育休(または育児期の時短勤務)を取る男性は変わっている、昇進をあきらめた人だ、と見なす会的雰囲気が依然としてある。

韓国の今年の少子化対策予算は中央・地方自治体合わせて約28兆6000億ウォン(約3兆385億円)。全予算の4%水準で、「消滅を心配する国にしては少なすぎる」と記事は指摘。「だからといってマッチング事業などの予算を増やすのではなく、働くママの汗と涙を拭くこと、子どもを産みたいと思わせることに予算を使うべきであり、その答えはパパの育児だ」と結んでいる。

この記事に、韓国のネットユーザーからは「私も育児で昇進を諦めた。育児中のママは昇進できない、仕事を任せてもらえないという構造でなくなってほしい。男女問わず、育児を理由に差別されない社会になれば出生率は上がると思う」「育休とか国の支援も大事だけど、わが子に対する夫の態度が、出生率を上げると思う。2人の子どもなのに、育児はママ1人任せという夫の態度が問題だ」「パパの育児、賛成。男性も育児に参与する社会的合意、環境が整うといい」「男だからという理由で軍隊に行き、結婚のために新居を用意し、金を稼がねばならないのに、子育てまでしろって?」「結局、住宅価格と私教育のせいじゃないの?。パパの育休とかじゃなく」などのコメントが寄せられている。(翻訳・編集/麻江)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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