<日本人が見た中国>広州で落とした財布とパスポートが無事に返ってきた…中国らしいその真相とは!

Record China    2014年10月18日(土) 2時10分

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広州の繁華街で全財産とパスポートを落としたのに、それがそっくりそのまま戻ってきた。それを奇跡と喜ぶ私に、地元広州人が教えてくれた。広州人は気づいていたと。財布を拾うのは中国では危険行為なのだ。

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とうとうやってしまった。まさか自分がパスポートと財布をいれたポーチをまるごと落とすとは…。地下鉄に乗るときになって、初めてショルダーバッグの中にポーチがないことに気づいた。最後に財布を出したのは、果物屋でライチを買った時。それから軽く15分は過ぎてしまった。その財布には今日、両替したばかりの全財産が入っていた。落としたのは夕方の買い物客が多い通りだから、今頃、歩いてきた道を戻っても100%ないだろう。それでも走って戻ると、路上に私のポーチが見えてきた。

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ふるえる手でポーチを開けると、パスポートも現金数千元も無事。まさか、こんなことが広州であるとは!奇跡としか思えない。と、この話を広州在住の日本人や広州っ子に話すと誰もが、「あり得ん!奇跡!」、「そんな話、中国で聞いたことない」と言うのだ。そりゃそうだろう。広州と言えば、内陸から出てきた都会に不慣れな中国人をだまそうとする詐欺師がうようよしているところだ、と内陸の中国人は思っている。確かに中国で実際に起きた事件を紹介する中央電視台の番組を見ていても、広州駅周辺はよく出てくる。私が財布を落としたのは地下鉄長寿駅のそばで広州駅周辺ではなかったが、広州と言えば、ぼやぼやしてられないところなのだ。奇跡を喜ぶ私に一人の広州人の男性が言った。「奇跡じゃないよ。広州人は気づいていた」。

6年ほど前、私が上海のバスターミナルに向かって歩いていた時、怪しい話を持ち掛けられたことがある。中国のバスターミナルや駅周辺は怪しい人が多い。その日も見知らぬ男性が私の右側にやってきて「切符はもう買ったのか?」などと話かけてくる。「もう、買った」と短く返し、歩いていると、気が付けば私の左側にも男性がいた。その時、前を歩いていた人が分厚い財布を、コロンと落とした。パンパンに膨らんだ財布の横からは赤い色が見える。つまり全部100元紙幣。私と両隣の男性ふたりは顔を見合わせた。右側の男性が言った。「あの道にいって、3人で分けようぜ」。「落とした人に教えてあげなきゃ」と私。「おまえ、バカか!さあ、あの道に行こうぜ」。私たち3人は知り合いではない。それなら拾った人が、財布を持って走って逃げれば、全部自分のものだ。それを分けようというのは相当怪しい。みんなグルなのだ。

財布を拾うのは中国では危険な行為なのだ。最近では経済的に恵まれない人が正直に拾った財布を警察に届けても、持ち主から「もっと入っていた」と言われ、逆にお金を払わされるという事件も起きている。人通りが多い通りに落ちている財布なんて、拾おうものなら、その瞬間に誰か現れて、どんな言いがかりをつけられるかわからない。広州人は、そんなことに関わるよりも無視した。これが「広州人は気づいていた」と言った男性の理由だ。

この意見は正解だろう。何はともあれ、私は広州人の用心深さに感謝しなくては!

■筆者プロフィール:浜井幸子(はまい・さちこ)

1966年神戸市生まれ。19才の時、初めての海外旅行で行った中国の魅力にはまり、90年代の中国をバックパック旅行する。その後、中国やアジアの食を中心に書くライターとして活動中。著書に「中国おもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」など。

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