【観察眼】チベット自治区60年、非現実的と言われた話が現実に

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平均寿命の倍増、これは奇跡ではなく、中国チベット自治区設立から60年の間に実現した変化の一つだ。

チベット族のドルマさんが1950年代に生まれた当時、チベット住民の平均寿命はわずか35.5歳だった。今、その曾孫の世代は平均72.5歳まで生きられるとされている。

平均寿命の倍増——これは奇跡ではなく、中国チベット自治区設立から60年の間に実現した変化の一つだ。背景には医療衛生サービスの飛躍的な改善がある。現在、チベットには全域をカバーする医療ネットワークが整備され、7200カ所を超える医療機関と5万人以上の医療従事者を抱え、遠隔医療サービスも農村部の診療所にまで行き届いている。それにより、巨大脳動脈瘤や小児白血病など治療が特に難しい400種類余りの病気は自治区内の病院で、急性心筋梗塞や外傷性脳出血など治療難度が中等レベルとされる2000種類余りの病気は市内や地区内の病院で、風邪など一般的な疾患は近くの病院や診療所で治療を受けられるようになった。

教育もまた大きく変化した。60年前、住民の95%が、読み書きができない人だったが、自治区設立後、政府は教育を最優先課題と位置づけ、資源の拡充に力を注いだ。1985年からは、義務教育段階の農民・牧畜民の子どもと都市部の生活困難な家庭の子どもに対して食事や宿泊費、学費を政府が負担する制度を実施。2012年には、全国で先駆け、幼稚園から高校までの15年間の無償教育の実施が始まった。こうした優遇政策により、チベットの教育水準は着実に向上し、2024年末の時点で、就学前教育の普及率や義務教育の修了率、高校や大学への進学率といった主要指標はいずれも全国平均に並ぶか上回るまでになっている。

インフラ整備も飛躍的に進展した。60年前、チベットには舗装道路すらなく、ある外国人技術者は「チベット高原の凍土に道路を造るのは非現実的で馬鹿げた話だ」と断じたほどだった。しかし、今やチベットでは道路・鉄道・航空を組み合わせた総合的な交通網が形成されている。チベットの道路総延長は、2024年末時点で12万4900キロ、鉄道の総営業距離は1359キロ、航空路線は国内・国際あわせて183本に上っている。2021年、チベット自治区の主要都市、ラサとニンティを結ぶ鉄道が開通すると、ニンティで農業を営むツレンドルジェさんは高速鉄道でマツタケをラサに売りに行くようになった。ツレンドルジェさんは、「以前はラサに行くのに山を越えるなど何日もかかなければならなかったが、今はニンティで朝採ったマツタケを午後にはラサの市場で売れる。鮮度が保てる分、以前より1キロ当たり100元(約2070円)ほど高く売れるようになった」と話した。

経済の面でも大きな進展が見られる。自治区設立以来、政府は中央財政からの特別補助金や重点プロジェクトへの投資、全国的な支援策などの措置を次々と導入し、チベット経済の発展を加速させてきた。2019年には、自治区内の74県、62万8000人が貧困から脱却。2024年の域内総生産は1965年の155倍となる2765億元(約5兆7000億円)に達した。域内総生産が1000億元(約2兆700円)台に達するまでに50年かかったが、その後2000億元(約4兆1000億円)まではわずか6年で達成し、現在は3000億元(約6兆2000億円)台を目指している。また、2024年の一人当たり可処分所得は、都市部で1965年の121倍にあたる5万5444元(約114万7000円)に、農牧民は199倍の2万1578元(約44万6000円)に達している。

社会制度の面でも大きな変化があった。1950年代末まで、チベットでは、三大領主と言われた官僚、貴族、上級僧侶がすべての生産手段を独占しており、住民の95%以上を占めていた農奴や奴隷には一切の自由が保障されていなかった。しかし、1959年のチベット民主改革、そして1965年のチベット自治区設立を経て、民族区域自治制度が厳格に実施された。人々の民主政治への参加意欲も高まり、農奴の子孫が人民代表大会の代表に選出され、人民代表大会制度を通じて国家運営に参加するまでになった。現在、チベット自治区の人民代表大会代表は4万2000人を超え、そのうち9割がチベット族を含む少数民族となっている。

バター茶の香りが街に漂う朝、清潔な制服を着て学校に向かう子どもたち。午後にはスマホを手にヤク肉のジャーキーをライブ配信で販売する牧畜民。そして、夕方には公園でチベットの伝統舞踊を楽しむ高齢者たち。チベット自治区設立から60年。こうした日常の風景こそが、チベットの変化を端的に示している。(提供/CRI

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