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日本、米国、中国の出生率はいずれも人口維持水準を下回る。背景には晩婚化や経済的不安などの共通要因に加え、各国固有の事情がある。写真は上海。
日本、米国、中国の出生率はいずれも人口維持水準を下回る。背景には晩婚化や経済的不安などの共通要因に加え、各国固有の事情がある。中国は育児手当や結婚奨励策を導入するが、「性蕭条」が壁として立ちはだかる。
日本の合計特殊出生率は2024年に1.15となり、出生数は70万人を下回った。中国は22年に1.09を記録し、24~25年は1.0前後に低下する見通しだ。米国は1.6~1.7の範囲で推移し、日中と比べて高い水準にあるが、やはり人口維持に必要とされる約2.07には届かない。出生率の低下は労働力人口の縮小、社会保障の負担増、需要構造の変化を通じて、企業活動と家計双方に長期的影響を及ぼす。
少子化に突入した国々では、晩婚化・晩産化、未婚率の上昇、女性の高学歴化と就業機会の拡大、子育て・教育コストの上昇といった問題が顕著になっている。経済的不確実性が強まる局面では、出産を先送りしたり、断念したりするケースが増えやすい。
日本:
出産年齢層の人口減少、長時間労働、支援制度の不足が影響する。
中国:
15年まで続けられてきた一人っ子政策の影響、都市部の高い住居・教育費が障壁となる。
米国:
経済格差の拡大により若年層の雇用・所得が不安定化し、結婚・出産の時期が遅れる。
こうした中、昨今中国で注目を浴びているキーワードに「性蕭条」がある。人々が性的関心や活動が減少することを指す概念で、日本語では「性不況」と訳されることが多い。性生活頻度の減少、アセクシャル婚の増加、若者の恋愛・結婚への意欲低下といった現象が挙げられる。背景には将来の不安、経済・精神的負担、消費意欲の低下、夫婦間コミュニケーション不足がある。
そこで中国では25年に全国で3歳未満1人当たり年間3600元(約7万2000円)の育児手当を導入し、約2000万世帯を対象とする政策が講じられる運びとなった。地方における試行では、出生数が増加した事例も確認されるという。一方で、支給額の規模や家族政策支出が国際比較で見て低い水準にとどまっていることから、現時点ではその効果は限定的なものにとどまるとの指摘もある。
少子化問題に直結する「少婚化」も顕著だ。中国の24年の婚姻登録数は前年比20.5%減の610万6000組で、過去最低を記録した。25年第2四半期(4~6月)は354万組とやや回復したものの、非婚出産の割合が低い中国では婚姻数の減少が出生数の減少に直結する。結婚費用の軽減や祝い金支給といった奨励策の効果は限定的で、経済、雇用、住居、教育といった生活基盤の改善を含む総合的アプローチが求められる。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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