<日本人の忘れられない中国>留学は「驚き」の連続、隔離施設に向かう道中で衝撃の体験

日本僑報社    
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多くの中国人は、私から見てハイスペックで優しく、勤勉さがあるといったようにどんどんポジティブなイメージにアップデートされていきます。

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「驚き」とはどんな時に抱く感情でしょうか?自分が思っていたことと、実際に起きることが異なっていた時などではないでしょうか。一人一人は自分のポリシーやルールを基準に物事を判断すると思いますがその「当たり前」が崩れた時にどのように振る舞うことになるでしょう?私が中国に留学に来てから良くも悪くも「驚く」ことがたくさんあります。しかし、その一つ一つの経験が私に今までとは異なる思考を授けてくれ、固定概念を打破するための良いスパイスとなるのです。

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私は2022年の11月に初めて中国に来ました。4月に私の在籍する大学に入学したものの、当時は新型コロナウイルスの影響により大学現地に渡航することは叶わず、オンラインで授業を受ける日々が続きました。規制の緩和により中国への渡航が解禁されると、同級生の日本人たちとともに自身初めての海外でもある中国に向かいました。飛行機が着陸し少々曇がかった空を見ながら始めて外国の地を踏んだ、あの時の高揚した気持ちは昨日のことのように思い出されます。

そこからバスに乗って当時の水際対策のための隔離施設に向かう道中で、初めての衝撃を覚えました。入国審査を通過し、スーツケースをバスに詰めてから乗車するまでの間、スタッフと思われる人が特に詳細な指示を何も出さないのです。私としてはPCR検査をどのように行い、どこの隔離施設のホテルに何時間くらいで着くかを知りたかったのですが何も教えられませんでした。当時の私の語学力は日常会話さえ乏しかったのですが、スマートフォンはホテルに着いてから設定しようと思っていたため翻訳アプリも使うことができず、近くにいた中国語を話せる同級生に状況を尋ねてもらいました。しかし、その場にいたスタッフもわからないと言うのです。

その一連の出来事で初めて、日本にいたときのように計画を前もって把握し、その順序に基づいて行動するということは通用しないのだと痛感しました。同時に国を隔てた人間性や考え方、習慣の違いを理解することの新鮮さに衝撃を受けました。その時は大きな不安を感じながらホテルまでの道を渡りましたが、後になってこの考えに基づく習慣は私にとって大きな意味を持つことだと納得しました。私は計画を綿密に練ってそれに基づき行動するタイプでしたが、この一件があってからもう少し心にゆとりを持ち、計画通りにいかなくても前向きに別の方法を考えるようになり、直面する困難を楽しめるようになりました。このことにより、中国で送る留学生活も無駄に考えすぎることなくリラックスした心持ちで過ごすことができました。

また、日々における小さな「驚き」は無数にあります。中国語交流コーナーに参加した時に、共通の議題に対し多くの中国人学生が間髪を入れずに論理だった意見を発言している姿を見て圧倒されました。また、私が交流のある中国人は、私が興味を持つ様々なトピックに対して何にでも話し合える博識さを持ち、そういった分野以外にも私よりも広い範囲の知識を持っていました。高校時代にバドミントン部だったので一緒にバドミントンをする時には、体育館の使い方を教えてくれることから学部のチームの練習に参加させてくれることまで優しく対応してくれました。

私が意識して気づいていないだけで他にも毎日は多くのささやかな「驚き」で満ちており、その一つ一つが私の留学生活を支える好奇心の源となっています。多くの中国人は、私から見てハイスペックで優しく、勤勉さがあるといったようにどんどんポジティブなイメージにアップデートされていきます。そんな彼らと過ごせる時間を、私は事あるごとに夢のようなものだと感じます。

私は現在大学生活の半分を終え、北京に留学できる時間も残りはそう多くないという時期に差し掛かっています。これまでの時間を振り返ると、もちろんうまく行かないことや苦しいと感じることもたくさんありましたが、それ以上に中国での温かいエピソードや自信を持つことができた成功体験が記憶の多くを占めています。それ程までに私に喜びを与えてくれた中国の地、そして中国人の友達たちに私は何の恩を返してあげられるでしょうか?もちろん日本に旅行に連れてきて案内するといったことができればよいでしょうが、そう簡単なことではありません。私は今、日本人の同級生と一緒に大学内で日本語を教える教室を設けようと準備を進めています。

どんな形として実現されるか現在は不透明ですが、多くの中国人学生に「驚き」やワクワクをもたらして、もっと日本を好きになってもらえるような空間を作りたいと思っています。地理的な距離の近さや、文化的な類似点が多いことに日中の関わりがあるという根底はもとより、言語を通して考え方や日本人の奥深さの琴線に触れることができる体験を提供できる場を企画したいです。それこそが私が自らできる日中交流の体現化なのだと信じています。

■原題:「驚き」を持って感じる日中交流

■執筆者プロフィール:川鍋直也(かわなべなおや)大学生

2003年群馬県生まれ。高校3年生の時に、指定校推薦で北京外国語大学への進学の機会があることを知り、入学を志す。現在(執筆時)、3年生在学中。

※本文は、第7回忘れられない中国滞在エピソード「中国で人生初のご近所付合い」(段躍中編、日本僑報社、2024年)より転載したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。


※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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