石破政権が難局を克服、続投の可能性大

凌星光    
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石破首相の広島と長崎での原爆犠牲者への哀悼の辞が評判よく、世論はますます石破内閣有利の方向に傾いている。写真は国会議事堂。

石破政権は衆議院、都議会、参議院の3回の選挙に敗北し、「石破下ろし」の難局に直面することとなった。しかし、世論が良い方向に動き出し、当面政権の維持が可能となったようだ。そこで、7月25日に認めた石破首相への公開状を公開することとした(石破首相には当日郵送したが、続投が不安視されていたため、公開は控えていた)。

なお、公開するに当たって、日本の現政局に対する見方と展望を期待も込めて以下のように述べておきたい。

1.内閣支持率が上昇

下降気味だった世論が支持率上昇に転じた。時事通信の8月の調査によると、石破内閣支持率27.3%(+6.5%)、辞任すべきとは「思わない」が39.9%で、「思う」の36.9%を上回り、自民党支持層では「思わない」が65.9%と圧倒的に多い。

2.「石破下ろし」、拡大困難

石破首相の広島と長崎での原爆犠牲者への哀悼の辞が評判よく、世論はますます石破内閣有利の方向に傾いている。7月28日の議員懇談会と8月8日の議員総会で威勢よく退陣を求めた面々も言葉を控えるようになっているようだ。臨時総裁選を行うための署名集めも不発で終わる可能性が高い。

3.安倍派の裏金問題

「石破下ろし」の急先鋒が旧安倍派であったことが世論を刺激した。すなわち、自民党が世論の支持を失った主要原因は裏金問題と統一教会問題にある。世論が「石破下ろし」に反発し、結果的に石破内閣を助けることとなった。

4.派閥解消の影響

岸田内閣の時に派閥の解消が進められ、麻生派を除いて派閥は存在しなくなった。そのため、石破氏に代わる後継者を定めにくくなった。しかも、総裁兼首相は大きな人事権を握っており、歯向かうことは冷や飯を食うことにつながる。

5.バラバラな野党

自公は少数与党であるため、政権運営は極めて困難であるはずだが、野党がバラバラで統一しにくいため、個別政策での各野党との「取引」が容易となっている。しかも、石破氏は長い間、自民党内野党と言われ、野党との人脈も多い。それがかえって石破氏の有利な立場となっている。

6.超党派の石橋湛山研究会が活性化の可能性

超党派の石橋湛山研究会議員連盟が2023年6月に発足したが、石破氏はその重要メンバーで、共同代表は自民党岩屋毅、立憲民主党篠原孝之、国民民主党古川元久の3氏で、幹事長は自民党古川禎久氏、事務局長は立憲民主党小山展弘氏だ。湛山思想、超党派、石破カラーが期待される。なお、この超党派には公明党と維新も参加している。現在、メンバーは約100人いる。

7.「日米安保」の強化からその普遍化へ

日米安保は中国、ロシア、朝鮮を仮想敵国としており、日米安保強化による対中抑止力強化が強調されてきた。しかし、それを石橋湛山氏の平和思想に基づき、仮想敵国のない「日米中ロ平和同盟」、さらには「東アジア平和同盟」を構築する方向に変えていく可能性がある。

8.「戦略的自主」と地位協定の改定

石橋湛山氏は日本の独立自主を主張していたし、石破氏も自主外交を主張してきた。また、在日米軍に関する「日米地位協定」、すなわち米軍の日本における施設・区域の使用とその地位について、日本の国内法が適用されない現状を改め、日本の主権を強化するよう石破氏は主張してきた。過去10カ月、それを封印していたが、日本の世論は行動に移すよう求めている。

9.8月15日の式辞で語る「反省と教訓」

15日に行われた令和7年度全国戦没者追悼式で、石破茂首相は「進む道を二度と間違えない。あの戦争の反省と教訓を、今改めて深く胸に刻まねばなりません」と、進む道を間違えたこと、それへの反省と教訓を強調した。歴史問題について踏み込んだスピーチをしたい気持ちが伝わる。

10.9月3日の式典参加による雰囲気刷新

私は7月25日の公開状で、首相が訪中し9月3日の式典に参加するよう提案した。田中首相および村山談を引き継ぎ、さらに踏み込んだ言葉を残し、歴史認識問題に終止符を打つのだ。それによって、石橋湛山氏の精神がよみがえり、日中関係は一新し、日米関係も全く新しい段階に入る。

■筆者プロフィール:凌星光

1933年生まれ、福井県立大学名誉教授。1952年一橋大学経済学部、1953年上海財経学院(現大学)国民経済計画学部、1971年河北大学外国語学部教師、1978年中国社会科学院世界経済政治研究所、1990年金沢大学経済学部、1992年福井県立大学経済学部教授などを歴任。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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