「中国版コストコ」モデルに壁、フーマーX会員店が5年で終焉へ

邦人Navi    
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「盒馬(フーマー)X会員店」がわずか5年で全店舗を閉鎖することになった。

中国の小売業界に大きな波紋が広がった。わずか5年で全店舗を閉鎖することになった「盒馬(フーマー)X会員店」。この撤退劇は単なる一企業の盛衰ではなく、業界全体の転換点を象徴している。

模倣の時代」からのスタート

「成功したビジネスモデルを模倣すれば、同じようにもうかるはずだ」――そうした幻想が、市場の現実に打ち砕かれることは少なくない。盒馬X会員店の撤退劇はその最たる証左だ。盒馬X会員店が掲げた「中国版コストコ」という青写真はたった5年で瓦解する運びとなった。背景にあったのは、複雑に絡み合う戦略と市場構造、そして「外来モデルへの過信」だ。

盒馬X会員店の誕生は当初、「第二の成長曲線」として熱狂的に迎えられた。会員制倉庫型スーパーという米国で圧倒的な成功を収めたフォーマットが中国にも通用する、そんな期待があった。しかし、現実は競争の過熱と消費行動の劇的変化がシナリオ通りに進まないことを証明した。

現実に直面する現場

現場を見てみよう。撤退が加速した2024年以降、棚は空になり、客は遠のいた。会員費による囲い込みもコストコやサムズクラブといった外資系巨頭には遠く及ばない。「大容量・低価格」は都市部の狭い住宅とミニマリズムの潮流にはそぐわなかったのだ。消費者はスマートフォン一つで「欲しい時に、欲しい分だけ」を選ぶ。物流インフラの進化は、リアル店舗の優位性を逆に奪っていった。

戦略転換を迫られた経営陣だが、資源を「盒馬鮮生」やNB業態に集約したことで黒字化を達成している。これは「選択と集中」戦略の典型だ。選択されたものと捨て去られたものの運命を分けたのは「消費の現実」だった。

戦略転換の必然と数字のリアル

中国連鎖経営協会のデータは、スーパーの半数以上が24年に売上減少に直面したことを示している。オフラインからオンラインへの急速な転換がその一因だ。

日本の流通業界でも90年代以降、「効率化」「差別化」の名の下に多くの業態が淘汰された。中国でも同じ現象が起きている。模倣の限界と独自性の希求。それが市場の本質だ。

外資モデルの限界と現場適応力

問い直されるべきは「外資モデル」の無批判な輸入だ。グローバルで成功した仕組みがそのまま中国市場で通用するとは限らない。都市構造、消費者心理、生活様式など一つ一つが異なる地平にある。模倣はスタート地点としては有効だが、最後に生き残るのは独自の「現場適応力」を備えた者だけだ。

撤退は「終わり」ではなく「再起」の序章

とはいえ、「盒馬X会員店」の撤退はアリババグループにとって失敗ではない。むしろ、事業モデルを問い直し、再出発する機会とみなしているはずだ。盒馬X会員店が残した教訓は、「市場の変化を直視せよ」という一言に尽きるだろう。イノベーションは模倣の上に築かれる。しかし、模倣だけでは生き残れない。そんな現実に直面しながら、中国の小売業はこれからも進化を続けていく。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)

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