【観察眼】「MAGA税」で本当に「偉大」になるのは誰か

CRI online    2025年8月5日(火) 9時50分
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関税に伴うコスト上昇によって、米国内の販売業者は価格の引き上げを余儀なくされ、結果として米国民の生活コストが上昇している。

トランプ米大統領が、関税というムチを振り回し、「米国を再び偉大に(Make America Great Again=MAGA)」とのスローガンを声高に訴えた際、彼は肝心なことを自国民に伝えなかった――そのムチの痛みを最終的に味わうのは、米国の消費者自身であるということだ。関税に伴うコスト上昇によって、米国内の販売業者は価格の引き上げを余儀なくされ、結果として米国民の生活コストが上昇している。

米CNNが米商務省の統計を引用して伝えたところによると、コンピュータは昨年の米国における主要輸入品目の一つであり、今年6月の同製品の価格は前年同月比でおよそ5%上昇した。また、米イェール大学の予算研究所は、トランプ政権の高率関税政策が継続すれば、コンピュータやその他の電子製品の価格は短期的に18.2%、長期的には7.7%上昇する可能性があると試算している。

衣料品分野における関税の影響もまた顕著だ。短期的に、靴類の価格は40%、衣料品は38%上昇する可能性があり、長期的にも靴は19%、衣料品は17%上昇すると見込まれている。

イェール大学予算研究所は、「米国が輸入品に課す実効関税率は18.3%に達しており、これは1934年以来の最高水準である。これにより、2025年には米家庭1世帯あたりの平均年間支出が2400ドル増加する」との予測を発表している。

これによる米国民の不満など世論の圧力がトランプ政権に向けられることは避けられず、それにより米政府から必ず打ち出されると見られているのが、あの「常套手段」である。

まずは、責任転嫁をする。米政府は、関税措置は貿易相手国の「不公平」に対する「正当防衛」であると主張し、国民の不満を外部に向けようとする傾向がある。しかし、このような愛国主義を装った理由付けは意味を成さないだろう。多くの国民は、空疎なスローガンのために自らの懐を痛めることを望まないためである。

次に、補助金の投入だ。米政府は、貿易摩擦の影響を受けた農家など、特定の業界に巨額の補助金を支給する可能性がある。しかし、これは本質的には納税者全員の負担によって関税の穴を埋めるものであり、財政圧力が強まる中では持続不可能とみられる。

ほかに、関税の適用除外や減税も考えられる。米政府は企業からの申請に応じて一部の品目を関税対象外にしたり、関税品目リストの微調整を行ったりする可能性がある。また、関税の影響を相殺するために他の税制を緩和することも想定される。しかし、こうした措置は、特定企業が自らに有利な条件を求めて政府に働きかける余地を生み出しかねず、腐敗の温床となるおそれもある。

加えて、関税の影響を最も受けるのは、一般の労働者層や中低所得の家庭である。彼らにとって、たとえ減税があったとしても、そのメリットは非常に限られており、日用品の値上がりによる生活コストの増加を相殺するのは難しい。

関税という「剣」が米国の消費者の財布を突き刺した時、米政府が取り出せる対策は上述のように限られており、いずれも根本的な解決には至らない。むしろ、新たな不公平や混乱を生むことにすらなり得る。

米政府は、「関税収入が財政赤字を埋める」と主張しているが、最も多くの負担を強いられるのは、結局のところ消費者なのである。このことに気づく国民も増えつつある。

ネット上では、トランプ政権が導入した一連の関税政策は、本文冒頭にも記したそのスローガンにちなんで「MAGA税」と揶揄されてもいる。現実を見る限り、本当に「偉大」になっているのは、米国ではなく、むしろ関税を負担させられる米国の消費者なのではないだろうか。(提供/CRI

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