「尖閣棚上げ」日中間で暗黙の了解あった=読売新聞も「領土論争の“存在”双方が認める」と報道―研究者の会代表

Record China    2014年10月17日(金) 5時29分

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15日、日中問題に詳しい毛里和子早稲田大名誉教授は東京・銀座の時事通信ホールで講演、尖閣諸島問題について、1970年代の日中国交正常化交渉や日中平和条約締結時に「日中双方の暗黙の了解」があった事実を明らかにした。

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2014年10月15日、「新しい日中関係を考える研究者の会」代表幹事の毛里和子早稲田大名誉教授は東京・銀座の時事通信ホールで「中国の深層底流と日中関係―メディアに期待すること」と題して講演(新聞通信調査会主催)、尖閣諸島問題について、1970年代の日中国交正常化交渉や日中平和条約締結時に「日中双方の暗黙の了解」があった事実を明らかにした。日本が「尖閣諸島の棚上げはない」「領土問題は存在しない」と言いだしたのは1996年だったという。

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毛里氏は、読売新聞が1979年に「日中双方とも領土主権を主張し、現実に論争が“存在”することを認めた上で、この問題を留保し、将来の解決に待つことで日中政府間の了解がついた」と明確に報じていることを紹介した。70年代には多くの新聞が「棚上げで日中暗黙の了解」と伝えている。講演要旨は次の通り。

日中双方は、主権・領土の相互尊重や武力行使の回避を取り決めた日中平和友好条約の精神に立ち戻るべきである。(1)国際ルールと平和的方法による紛争解決、(2)政治や外交上の一つの問題を2国間の経済・文化・市民レベルの領域に広げない冷静な知恵が必要、(3)両国の政府と国民が極端で排他的なナショナリズムを乗り越える―の3点が重要である。

尖閣諸島問題は日中間で紛争になっているが、両国間で「棚上げ」で暗黙があった。1979年5月31日付の読売新聞の社説は次のように主張している。

「日本の開発調査に対して中国が口頭で遺憾の意を表明した。ことをあらだてまいとする中国の姿勢が伺えるが、わが国としてもこの問題を日中の“紛争のタネ”に発展させないよう慎重な対処が必要だ。1972年の日中国交正常化交渉の際も『尖閣に触れないでおこう方式』で処理した。日中双方とも領土主権を主張し、現実に論争が“存在”することを認めながら、この問題を留保し、将来の解決に待つことで日中政府間の了解がついた」。

「これは共同声明や条約上の文書にはなっていないが、政府対政府のれっきとした“約束事”であることは間違いない。約束した以上は、これを順守するのが筋道である。中国・トウ小平は『孫の世代に任せる』という。日本としても領有権はあくまでも主張しながら、時間をかけてじっくり中国側の理解と承認を求めていく姿勢が必要だ」。

「今回の開発調査。あまりこれ見よがしなやり方はどうか。園田外相の言『中国が黙っているのは友情であり、わが国は刺激的、宣伝的な行為は慎むべきだ』。これが日中間の了解事項に沿う素直な姿勢だと思う。もし調査をやるなら日中共同調査を実施すべきだ」。

日本が「棚上げはない」「日中間に領土問題はない」と言い出したのは1996年。日米安保共同宣言の年である。同年に池田行彦外相が「中国との間に領土問題は存在しない」と言い出してからである。(取材・編集/SK)

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