中国で大規模な盗撮事件、当局の冷淡さに女性が「愛国を疑問視」―独メディア

Record China    2025年8月5日(火) 6時30分
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中国で女性を狙った大規模な盗撮事件が明らかになった。当局側は反応を示していない。そのため女性の間に「国家は女性を愛していない。しかし女性には国家を愛せと求める。理不尽だ」との考えが出ているという。

中国では最近になり、女性を狙った大規模な盗撮事件が明らかになった。しかし当局側は反応を示していない。一方で、男性が被害者になった事件について、当局側は敏感に反応した。ドイツメディアのドイチェベレによると、性別により差別されていることを痛感した女性からは、中国政府が国民に対して呼び掛け求める「愛国」に対して冷ややかな感情を持つ女性も出ているという。

最近になって存在が明らかになったのは、「マスクパーク樹洞フォーラム」と呼ばれる中国語のグループで、中国国外で運営される暗号化通信アプリのテレグラム上で違法なサブグループを多数作成し、中国人女性の性的映像、例えば盗撮画像やプライベート写真、性暴力の動画などを拡散・販売していた。また、グループ内では盗撮ようカメラの販売や設置サービスも行われていた。グループには男性ユーザーが少なくとも10万人が参加していた。

プラットフォーム上で拡散された違法な性映像の内容には、撮影者の元恋人、現在の恋人、女性同僚、妻、娘、さらには母親の画像まであり、さまざまな場面で盗撮された見知らぬ女性の画像もあった。投稿されたチャットの言葉は極めてみだらだった。

同様の事件はこれまで繰り返し発生している。一部メディアが報じで世論の怒りを呼んだことはあるが、、現在に至るまで中国当局は事件について公開の場で言及したり、措置を取ったりしていない。

このマスクパーク事件については、中国のSNSである微博(ウェイボー)や小紅書(RED)で、「#10万人超の盗撮グループが発覚」といった関連ワード付きの投稿が相次いだが、検索ランキングに登場した直後にトラフィックが不自然に急減した。そのため、投稿もすぐ削除されるとして、当局側による「抑制」ではないかとの意見も出た。

海外在住の中国人フェミニズム活動家の木木(ムームー)さん(仮名)は、盗撮被害について「自分が撮られているかどうかはまったく分からないんです。でも、私の周りでは既にそういう恐怖が広がっています」「たとえ実際に被害に遭っていなくても、被害に遭った『かもしれない』というだけで、私たちは恐怖の中で生きなければならないのです」と説明した。木木さんは他の海外在住の中国人女性の権利活動家はロンドンで8月16日に、「私のプライバシーはあなたの快楽ではない」をテーマに該当活動を行い、デジタル性暴力への抵抗を呼び掛けるという。

7月初旬には、女性に対するデジタル性暴力に危機感を覚える人の神経を逆なでする事件が発生した。南京市在住の38歳男性が、長年にわたり女性を装って複数の男性と性行為に及び、その様子を隠し撮りしてネット上で販売し利益を得ていたことが発覚したのだ。警察は容疑者をわいせつ物頒布罪の疑いで拘束し、被害者は200人を超えると発表した。多くのネットユーザーは、実際の被害者数は公式発表をはるかに上回ると見ている。いずれにせよ、女性が被害者である事件に比べて、当局の対応の迅速さが目立った。このことで、多くの女性が落胆したという。

7月初旬にはまた、大連工業大学が、「国家の品格と大学の名誉を損なった」という理由で、21歳の服装デザイン学科の女子学生を退学処分にした。この学生はウクライナ人のeスポーツ選手と親密な関係を持ち、その様子が相手によってプライベートなファングループにアップされ、侮辱的なコメントが添えられていた。中国の一部ネットユーザーは、女性の身体と国家の品格を結びつける当局の姿勢に不満を表明した。

木木さんによると、多くの女性が国家と自分の間の「愛の非対称性」に不満を持ち始めている。「国家は女性を愛していない。しかし女性には国家を愛せと求める。それは理不尽だ」との考えという。

木木さんはさらに、中国の女性の怒りと父権主義への疑念は蓄積されており、それはここ最近、中国で相次いで起きた性別をめぐる論争とも関係していると述べた。木木さんは、国家と女性の「愛の非対称性」について、「女性がこの点に気づいたことは、非常に貴重だと思います。愛国主義的な語り方に、もはや洗脳されなくなったからです」と評した。

中国でかつて、フェミニズム系ブロガーとして活動していたマリーネさん(仮名)は、「中国の女性はすでに非常に現代的で、覚醒していて、市民意識も高いのです。なのに、中国の男性と体制全体は、依然として女性の身体を管理しようとする極めて時代遅れな父権的脚本にしがみついています」と論評した。マリーネさんは「性別についての問題の未来が、バラ色になるとは思っていません。中国はいまも東アジアでも名高い『性別地獄』だからです。ただ、それでも女性たちの政治的な熱量には、本当に希望を感じます」とも述べた。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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