拡大
中国メディアの観察者網は、日本政策投資銀行などが出資して設立されたJSファンダリが倒産した件について「日本の半導体はナショナルチームが破産、中国から顧客を奪うのはあまりにも困難」とする記事を発表した。
中国メディアの観察者網はこのほど、日本政策投資銀行(DBJ)などが出資して2022年12月に設立されたJSファンダリが7月に破産を申請した件を取り上げ、「日本の半導体はナショナルチームが破産、中国から顧客を奪うのはあまりにも困難」と題する記事を発表した。
JSファンダリの前身は三洋電機系の半導体製造会社だった。三洋電機の経営不振などにより紆余曲折はあったが、最終的にDBJなどが出資してJSファンダリとして再出発することになった。JSファンダリ設立は老舗半導体メーカーの転換の模範とされた。JSファンダリが製造したパワー半導体は、電子産業チェーンで最も重要な部品の一つであり、主に電力変換や回路制御に用いられ、電気自動車、家電、列車など大型電力機器での用途がある。
しかし、期待されたJSファンダリだが、結局は負債総額161億円で倒産することになった。多くの関係者や専門家は、販売戦略、市場環境、中国の競合相手に対する三重の誤判断があったと指摘した。
まず、JSファンダリは設立以来、収益面で苦戦した。23年下半期には日本国内の電気自動車向けパワー半導体の需要が期待を下回り、経営は厳しい状況に追い込まれた。さらに、JSファンダリは米国のオン・セミコンダクタ―と生産提携を解消したことで、売上高は設立初年度の100億円から24年には26億円に急減した。
JSファンダリは社内統治も混乱していたとされる。例えば、「24年に他の半導体企業から転職した営業担当者が、オン・セミコンダクタ―からの550人の移籍社員の多くは生産管理や資材調達など工場内部業務担当で、営業経験がほとんどなく顧客対応ができず、さらに設立1年後になっても顧客訪問したことがない営業担当も存在したことで驚いた」との話も伝えられている。
JSファンダリが苦戦したもう一つの要因が、中国の同業企業の台頭だった。同社の酒井明彦社長は「日本はロジックチップの小型化競争に遅れましたが、パワー半導体分野では世界をリードしていると信じていました。中国の技術がこれほど追い上げるとは想像しませんでした」と語った。
JSファンダリの唯一の生産拠点だった新潟工場には40年以上の歴史があり、JSファンダリによる経営は老朽化した工場の復活のモデルになると期待された。しかし、国外の競合他社が一般に8インチウエハ生産を採用する中にあって、新潟工場は6インチウエハを使う状況で、生産効率が低く顧客を引きつけられなかった。
酒井社長は24年10月、中国の家電メーカーの地元サプライヤーと契約を試みたが、新型エアコン用の受託製造チップの見積もりが驚くほど低かった。多くの中国企業が同等の品質の製品を生産可能で、しかもウエハ1枚あたりの価格は1万8000円であり、JSファンダリの4万円を大きく下回っていた。
JSファンダリは起死回生策として、日本政府と新潟県からの十億円規模の設備投資補助金という「輸血」を得ることと、台湾の無名の半導体企業との資本提携による「延命」を図った。しかし政府による補助金は実現せず、台湾企業との資本提携の交渉は25年4月に決裂した。これらの結果、JSファンダリは破産を申請せざるをえなくなった。
日本は伝統的チップ、すなわち成熟した技術による集積回路では、全世界の40%以上を製造している。しかしJSファンダリの破産は、成熟した技術だけで企業が生き延びることが難しいことを浮き彫りにした。日本の電子産業はかつて液晶パネルや電池分野で新興勢力を過小評価し苦境に陥った。今では半導体業界も同様の課題に直面している。
JSファンダリの元幹部は、「このままでは、日本に残る老舗半導体メーカーの倒産が、さらに相次ぐだろう」と懸念を示したという。(翻訳・編集/如月隼人)
Record China
2025/8/1
Record China
2025/8/1
Record Korea
2025/8/1
Record China
2025/8/1
Record China
2025/8/1
Record China
2025/8/1