韓国で「労働者の権利拡大」の法律成立へ、外資にも広がる懸念―中国メディア

Record Korea    2025年8月3日(日) 15時0分
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韓国では、「黄色い封筒法案」と呼ばれる労働者の権利を拡大する法改正が注目されている。韓国財界および外資系企業からは懸念の声が出ている。

中国メディアの環球時報は1日、韓国で「黄色い封筒法案」と呼ばれる『労働組合法』第2条および第3条の改正案が問題になっている状況を紹介する記事を発表した。「黄色い封筒法案」は労働者の権利を拡大する内容で、韓国財界および外資系企業から懸念の声が出ている。

「黄色い封筒法案」は、韓国の与党である共に民主党が主導して推進しており、共に民主党側は、長年にわたって存在してきた大企業と中小企業の「二重構造の労働市場」を打破し、非正規雇用の労働者の権利保護を強化することが目的などと説明している。主な内容には、「労働条件に実質的な支配力を持つ契約外の主体」を「雇用主」の定義に追加すること、下請け労働者に団体交渉権を与えること、企業によるストライキで生じた損害賠償訴訟を制限すること、労使交渉に参加していない経営陣への責任追及条項を新設することなどがある。

韓国の既存法では、全般的に見て日本ほど労働者の権利が保障されていないと言える。一方で、「黄色い封筒法案」の、例えば「労働条件に実質的な支配力を持つ契約外の主体を『雇用主』の定義に追加すること」では、派遣労働者の受け入れ企業は、派遣労働者に対して業務を指示する立場なので、雇用主としての責任を問われることになる。また現状では、企業が違法ストライキによって損害を受けた場合、労働者側に損害賠償を請求することが認められており、日本の法制度と比べると、企業側が労働者側に賠償を請求しやすいとされるが、「黄色い封筒法案」が採択されれば、企業による賠償請求はより困難になる。

韓国の産業界はこれに対して深い憂慮を示している。韓国経営者総協会は、自動車、造船、建設、半導体、電池などの主要業界団体と連名で、立法の中止を強く求める共同声明を発表した。声明は、韓国の製造業は多層的な外注協力体制に広く依存しており、法案によって元請企業が連帯責任を負わされることになれば、長期にわたり訴訟や刑事責任のリスクにさらされることになり、企業の正常な意思決定を大きく妨げると主張した。韓国経営者総協会の李東根(イ・ドングン)常勤副会長は、この法案が連鎖的なストライキを引き起こし、既存の産業エコシステムを破壊し、韓国製造業の基盤を動揺させるおそれがあると警告した。

韓国に進出した外資企業の団体も強い懸念を表明した。韓国米国商工会議所のジェームズ・キム会頭は、柔軟な労働制度は韓国が外国資本を呼び込む上での重要な強みだと主張し、「黄色い封筒法案」については「産業界との十分な対話がないまま拙速に進められており」、かえって規制の不確実性を高め、その結果は、米国企業の対韓投資意欲に悪影響を与えるだけだと述べた。

韓国欧州商工会議所もまた、「雇用主」の定義と法的責任の拡大は「曖昧かつ危険」であり、経営者が広く潜在的な違法者とみなされかねないと批判し、「黄色い封筒法案」が成立すれば法的リスクに敏感な外資企業は、韓国から撤退して規制がより明確な他の市場へ転出する可能性があると表明した。

この法案は8月4日にも国会本会議で採決にかけられる見通しで、順調に通過すれば来年2月に施行される。高まる反対の声に対して、韓国大統領府は、法案には6カ月の猶予期間が設けられており、その間に広く意見を集め、施行の詳細について調整すると説明した。韓国政府雇用労働部も専門家チームを設置して実施ガイドラインを策定し、初期段階での混乱を防ぐ方針だ。

韓国政府は一方で、投資を促進するための一連の「優遇政策」も打ち出した。李在明(イ・ジェミョン)大統領は最近になり大手財閥のトップや企業幹部と相次いで会談し、「商法」「刑法」「特別経済犯罪加重処罰法」による「背任罪の三重適用」に関する条項について協議し、規制緩和や撤廃の方向で合意を得た。

ただし韓国メディアの「毎日経済」は、大統領側のこの動きは「黄色い封筒法案」によって経済界に広がる反発を抑えるための「アメ政策」と評した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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