デビュー経済で始まる新常態、中国の「初めて」が生み出す新たな消費エンジン

邦人Navi    2025年8月2日(土) 19時0分
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中国の消費市場で近年注目を集めているキーワードが「デビュー経済」だ。写真は上海のレゴランド。

中国の消費市場で近年注目を集めているキーワードが「首発経済(デビュー経済)」だ。新製品、ブランドの初出店、新体験、新技術、新たなビジネスモデルなどが内需拡大のエンジンとなる。各都市が「初めて」の価値を競っている。

首発経済とは何か?

2024年から現在にかけて、中国の消費市場を語る上で「銀髪経済」「氷雪経済」と並んで耳にする機会が多いのが「首発経済」だ。企業が製品やサービス、ビジネスモデルなどを初めて市場に投入することで成立する経済活動を指す。

そんな国内外ブランドの「初出店」や「初進出」を誘致する動きが中国全土で加速している。また、単なる「初出店」「初進出」だけでなく、新技術の発表や新業態の披露、新たな体験型サービスの提供などを通して、各都市はプレゼンスを高めようとしている。

拡大を裏付けるデータ

上海では25年第1四半期だけでも新規開業が173件に上り、そのうちグローバルおよびアジア初出店が7店舗あるという。政策支援やインフラ整備、文化的融合、技術革新が有機的に結合した結果、首発経済の拡大が数字としても可視化された形だ。

象徴的なイベントとしては、7月5日に開園した上海市金山区のレゴランドが挙げられる。総面積31万8000平方メートル、世界最大規模と鳴り物入りでのデビューだった。また、静安区ではルイ・ヴィトンが高さ30メートルの巨型船をあつらった移動式体験空間「ルイ・ヴィトン号(The Louis)」を展開。アートとファッションを融合させたランドマークとしてSNSでも大きな話題を呼んだ。

各都市の象徴的事例

一方、北京では「グローバル・デビュー・ハブ」の整備が進み、太古里や国貿商城など12カ所が指定地域として開発されている。

また、広州では出国時の税還付サービスの最適化など、海外からの消費者利便性を高める施策を強化している。国際ブランドが広州で「デビュー」を果たすよう積極的に魅力を訴求している。

政策的支援の広がり

地方政府レベルで行われる支援策について見ていくと、北京市では初出店企業に対する補助金や手続きの簡素化が進められ、上海市ではアジア初進出ブランドに最大100万元(約2000万円)の補助金を提供している。成都市は25年までに130件の初出店を誘致する計画を明らかにしたとの報道がある。

直近では7月15日付けで天津市が発表した「首発経済高品質発展のための若干の措置」が注目されている。「短期で誘致、長期に育成」の原則の下、認定基準の整備、ブランド誘致のためのプラットフォーム構築、行政手続きの簡素化、知的財産権の保護、金街・浜海新区などを拠点とした地域別モデルの展開など、16条からなる政策パッケージだ。

持続可能性と今後の課題

もっとも、華やかな初出店の裏側には課題も多い。短期的な話題性や流量獲得に終始するのではなく、いかにしてリピーターやファンを育成していくかが、首発経済を持続可能なモデルとする上での鍵となりそうだ。

中国の都市消費はオンラインとオフラインのハイブリッドへと進化している。首発経済はその試金石として、製品、体験、文化、技術の融合によって都市の魅力と競争力を再定義する動きの中核を担っていくことになる。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。



   

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