「攻殻機動隊」から見る日本アニメにおけるSFの金字塔―中国メディア

Record China    2025年8月2日(土) 23時0分
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31日、中国メディアの新都網に「『攻殻機動隊』から見る日本アニメにおけるSFの金字塔」と題した記事が掲載された。写真は「攻殻機動隊」。

2025年7月31日、中国メディアの新都網に「『攻殻機動隊』から見る日本アニメにおけるSFの金字塔」と題した記事が掲載された。

記事はまず、「劇場版『攻殻機動隊』の中国公開に伴い、その原点とも言えるアニメ作品が改めて注目を集めている。これにより、多くの人が気づいたのは、日本の『二次元』はただ美しい映像と熱血ストーリーばかりの商業エンターテインメントではなく、芸術性や思想性においても高い水準に達した優れた作品が多く存在しているという事実だ」と述べた。

次に「近代に急速な西洋化を経験した日本文化は、巨大な工業機械に対してどこか説明のつかない愛着を抱いている。この感情は第二次世界大戦期の思想によって強化され、やがてアニメにおける巨大兵器への執着として昇華された。この機械崇拝の起点となったのは、1974年に放送された『宇宙戦艦ヤマト』に他ならない。旧日本海軍の戦艦『大和』が宇宙戦艦として復活し、異星からの侵略者の本拠地へと乗り込み、地球を救うという壮大な物語は、昭和世代の心を捉え、大ヒットを記録した。ヤマトの主砲の描写は視聴者の胸を打ち、その後の作品にも大きな影響を与えた」と紹介した。

続けて、「79年に宇宙コロニーと地球との間の独立戦争を描いた『機動戦士ガンダム』が登場する。巨大メカはより擬人化され、『ガンダム』や『ザク』といった鉄の巨人はパイロットの意思をそのまま具現化した存在として描かれていた。ガンダムはそれ以来、絶えることのない人気を誇るシリーズ作品となり、今も新作が制作され続けている。『宇宙戦艦ヤマト』が勝利の象徴であったのに対し、『ガンダム』は戦争の現実に目を向け、戦う両陣営の人々の生活がいかに破壊されていくかを詳細に描き、『正義』だけを美化するような描写は避けている」と説明した。

一方、「こうした機械崇拝に疑問を投げかける作品も登場した。その代表例が『機動警察パトレイバー』だ。同作は警察用ロボットを操縦して治安維持にあたる『特車二課』が描かれているが、巨大ロボの強さを前面に押し出すのではなく、むしろ隊員の平凡な日常と喜怒哀楽に焦点を当てており、庶民的で親しみやすい物語を通じて多くの視聴者の共感を得ることに成功した。このような日本アニメにおける機械崇拝は、やや偏執的な思想的背景があるものの、それこそが『匠の精神』の原動力となり、数多くの精巧で美しいSFメカニックデザインを生み出してきた。米国の超大作映画『アバター』ですら、そのメカデザインには『日本式』とも言える精密な美学が色濃く反映されている」と論じた。

また、「『匠の精神』と並んで日本文化に深く根ざしているのが『憂患意識』だ。『日本沈没』や『ゴジラ』といった作品に代表されるように、破滅や崩壊をテーマとした物語が多い。アニメにおいては、巨匠・宮崎駿監督の文明崩壊後の人類と自然との闘争と共存を描いた叙事詩『風の谷のナウシカ』だ。主人公のナウシカの毅然たる生き方と美しいビジュアルは日本人にとって忘れ得ぬ記憶となった」と評した。

さらに、「90年代に入ると、バブル経済の崩壊とともに、日本社会はかつてないほどの沈滞状態に陥った。その中で登場したのが『新世紀エヴァンゲリオン』だ。同作は宗教的象徴を多く取り入れ、世界の終末を思わせるストーリーを構築した。少年少女は人類を滅ぼそうとする『使徒』と呼ばれる敵と戦いを繰り広げる。映像演出には心理的な暗示がふんだんに盛り込まれ、主人公らの心の葛藤と外界の荒廃が見事に重なり合い、中でもヒロインの綾波レイは前述のナウシカとは対照的に無表情で謎めいた存在として描かれ、新たなヒロイン像として当時の社会的変化を象徴する存在となった」と言及した。

加えて、「21世紀に入ると、冷戦や経済危機の影が薄れ、社会的イデオロギーの対立が新たな葛藤の中心となった。2015年に公開された劇場アニメ『ハーモニー』はまさにそのような作品だ。作中の高度に発展した未来社会は、一見すると美しく調和の取れた世界に見えるが、実際には人間の自我を静かに抑圧するものであり、日本文化に対する警鐘とも言える内容だ。物語の終盤では、人類は完全に自己意識を放棄し、社会全体が一つの意思に溶け込む。大規模な破壊描写こそないものの、現代社会における危機の象徴として非常にリアルな終末を描いている」と述べた。

それから、「電子技術の進展に伴い、人工知能(AI)や人間と機械の関係性をテーマとする作品も増えている。手塚治虫氏の『鉄腕アトム』はその先駆けであり、知能を持つロボットが自我を探し求める姿を描いた名作だ。国際的に知られる『ドラえもん』も、未来から来た知能ロボットとの共生を描いた作品だ。しかし、こうした技術的テーマの思想的核心に迫ると、日本アニメの作風は次第に冷厳なものへと変化していく。『銃夢』では、半分機械の少女ガリィが戦いの中で自我を求める姿を描き、ハリウッドでも実写映画化された。このようなAIと人間の関係を描く作品がある一方、『戦闘妖精・雪風』は、人間とはまったく異なる、感情を持たないAI・雪風を描いている。このAIは極限の戦闘でも人間以上の判断を下せる能力を持ち、その姿は後に囲碁界を驚かせた現実のAI・AlphaGo(アルファ碁)に非常によく似ている」と考察した。

そして、「忘れてはならないのが『攻殻機動隊』だ。同作は漫画、劇場アニメ、テレビアニメ、実写映画と多様な形態で展開されているが、いずれも電脳化された草薙素子が率いる公安9課の活躍を描いている。その中でも押井守氏が監督を務めた劇場アニメ版は長回しや象徴的な映像表現を駆使し、人間と機械の融合が進んだ未来社会を深く掘り下げた。素子が最終的に肉体を捨て、情報の海に身を投じることで、新たな存在へと生まれ変わるという哲学的かつ超越的な展開が描かれている。一方で、実写映画版ではこうした思想的テーマが十分に描ききれず、やや物足りなさが残った。テレビアニメ版はネット文化の拡散や難民問題といった現代的な社会課題を先取りして取り上げており、高い評価を受けている」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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