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中国メディアの南方日報(電子版)はこのほど、中国では20代までの女性の間で、ブラジャーを着用しないことが流行しているとして、その実情を紹介する記事を掲載した。
中国メディアの南方日報(電子版)はこのほど、中国では20代までの女性の間で、ブラジャーを着用しないことが流行しているとして、その実情を紹介する記事を掲載した。
中国では中華民国(1912-49年)初期に、「小馬甲(シャオマージア)」という胸部を覆う小さなチョッキ型の下着が用いられていた。その後に西洋式の下着が伝わり、上海などの大都市の女性が着用するようになった。しかし、70年代後半の改革開放期までは、中国女性の下着は綿製の「小馬甲」や肌着が主で、ブラジャーは着用してもデザインは単純で、機能性も乏しかった。
中国の下着業界は、改革開放と共に急成長期を迎えた。外資ブランドの進出と同時に、国内ブランドも発展した。90年代には愛慕(Aimer、エイマー)のようなブランドがワイヤー入りのブラジャー技術を広く普及させ、製品の進化を促した。
しかし時代の移り変わりとともに、女性はブラジャーの着用による不快感や、「寄せて上げる」という一辺倒な美意識に対して異議を唱えるようになった。近年ではノーブラの風潮が一段と広がり、多くの女性がブラジャーを着けないスタイルに挑戦している。
ネットユーザーの鳩摩小蝦米(ジウモー・シャオシアミー)さんは、自らのノーブラ体験とその「やり方」を具体的に紹介した。たとえば、硬めの生地の服を着るときは何も着けず、柔らかい服のときはニプレスを使って突起が見えるのを防ぐ。彼女はシリコン製ニプレスの価格まで列挙し、「年間を通じて見ればブラより安い」と評した。
彼女は自分が徐々にノーブラ派になっていった心の過程を「以前は、家に帰って最初にすることがブラを外すことでした。特に夏は、蒸れてベタついて暑苦しい。ノンワイヤーは窮屈で不快。夏に帰宅してブラを取ると、体が5キロ軽くなった気がした。なので、いっそ着けないでいようと思いました」と紹介した。
多くの女性がSNSを通じて、ノーブラ派になった状況を紹介した。「ランニングをする時以外には、一年中ブラをつけません」「ノーブラにしてから肩の痛みがなくなり、胸の圧迫感も減りました」「ブラの縁による赤い跡がつかなくなり、皮膚のかゆみや炎症も起きなくなりました」などだ。
また、「自分の普段のコーディネートはゆったりしたシャツやTシャツが中心で、ほとんどの服は乳首が透けにくいです。特にメンズのTシャツやシャツはカバー力が高く、ルーズなプリーツキャミワンピなどもブラの有無が分かりにくいです」などと、ノーブラでも想像していたような不便や恥ずかしさは、実際には起きていないと説明する投稿もある。
これらから分かるように、伝統的なブラジャーの締めつけ感や肩ひものずれ、通気性の悪さなどが、多くの若い女性に不快感を与えている。その結果として、ノーブラにして不快さから解放されることで、より自然な呼吸や身体の自由が得られると感じる人が増えている。
もちろん専門家からは、年齢とともに乳房の脂肪が減少して支える力が弱くなるので、ノーブラでは胸が垂れやすく見た目に影響が出ると指摘する声も出ている。また、運動中にノーブラだと胸の揺れが大きくなり、摩擦による不快感や運動能力の低下にもつながるともされる。
ノーブラの流行が、下着業界に影響を与えている。2024年のエイマーの売上高は前年比7.7%減の31億6300万元(約652億円)だった。同社の同年末の店舗数は1746店で、新規出店154店に対して閉店は238店であり、84店の純減だった。
また、A株の下着セクターで「トップ銘柄」とされる匯潔(フイジエ)の24年の親会社帰属純利益は前年同期比56.54%の大幅減のわずか7904万元(約16億円)だった。同社の主力事業のうちブラジャー部門の売上構成比は46.7%だった。すなわち、ブラジャーだけではもはや十分な利益を出せない状況が見て取れる。
SNSでは、ノーブラで着こなすためのさまざまなアイデアが投稿されている。たとえば、胸元に大きなプリントがあるTシャツや胸元にプリーツのあるワンピースやキャミソール、柄物のシャツなどは、ノーブラでも乳首の突起を目立たせない効果があり、オーバーオールやジャンパースカート、ベストの重ね着も有効という。さらには、胸ポケットがあるシャツにティッシュを詰める、あるいは胸の部分に刺繍ワッペンをつけるなどのテクニックも紹介されている。
ノーブラという新たなスタイルの普及は、女性の体型や服装に対する美的基準の多様化にもつながる。このことには、ファッションだけでなく、社会的価値観や認識の変化にも反映されていくだろう。
時代の大きな流れを見れば、女性たちは、かつての束縛された下着の時代からブラジャーの時代を経て、いまやノーブラの時代へと向かいつつある。この先、本当に「ブラジャー不要の時代」が来るのかどうかは、伝統と現代の思想のせめぎ合いの中で決まるだろう。
とはいえ、個人が公共空間に出る以上、他者の権利や社会的規範との接点は避けられない。個人の自由の追求は、常に無制限というわけにはいかない。だが、世間の受容度や公共政策、個人の自由とのバランスが取れてくれば、「ブラを着けるか否か」も、靴下を履くかどうかと同じように、ごく当たり前の選択肢になるかもしれない。(翻訳・編集/如月隼人)
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