日本の水産物輸入再開、中国の苦しい事情―台湾メディア

Record China    2025年7月28日(月) 7時0分
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25日、台湾メディア・自由時報は、中国政府が日本産水産物の禁輸措置を解除した背景について報じた。

2025年7月25日、台湾メディア・自由時報は、中国政府が日本産水産物の禁輸措置を解除した背景について報じた。

記事は、中国政府が今月に入って日本産水産物の禁輸措置を深夜に「ひっそり」と解禁し、ホタテ、マグロ、イカなど449品目の日本産水産物の輸入を承認して関連手続きが進んでいると紹介。福島、宮城、茨城、千葉、新潟、栃木、埼玉、群馬、長野、東京都の10都県に対する輸入禁止は継続されると伝えた。

そして、中国による禁輸措置は11年の東京電力福島第1原発の処理水海洋放出が背景にあり、処理水放出が国際原子力機関(IAEA)の監視と支持を受ける中で中国が政治的な判断により禁輸措置を取ってきたことで、日中関係緊張の一因になってきたと指摘。それが中国国内で昨年9月から今年5月にかけて日本産水産物禁輸の決定に関与した環境保護派の重要人物に異例の人事異動があり、その後中国側が輸入再開手続きを進めることに同意して一部禁輸解除に至ったことから、市場では禁輸解除の裏に何らかの思惑があるのではないかとの憶測が飛び交っていると伝えた。

一方、中国側の態度の軟化について日本国内では評価が二分しており、水産業界から歓迎の声が聞かれる中で、すでに中国以外の販路を確立している漁業関係者の反応は冷ややかで、むしろ米国関税による影響に強い関心を抱いていると紹介。対中輸出比率が5割を占めていた日本産ホタテが23年8月の処理水放出で中国から禁輸措置を受け、突然販路を失った上で価格の暴落に苛まれた漁業関係者が苦心しながら日本政府と協力して米国や中東、東南アジアなどへの市場進出、加工品輸出などの転換を進めたてきたこと、その後「脱中国化」の販路立て直しに成功して需要が高まり、ホタテを始めとする価格も回復したことを背景に挙げている。

記事はまた、中国国内でも輸入禁止後に日本産のホタテや水産物に対するニーズが根強く、代替地からの輸入品ではまかないきれなかったことを指摘。「京東」など中国のECサイト上では禁輸措置後も「ウニ」「甘エビ」「日本輸入」などのキーワードが数多く検索され、SNS上でも「日本産のウニはどこで買えるのか」といったトピックが頻繁に出現したことを挙げた。さらに、中国の漁業業界も国産のウニやホタテを代替品として売り込もうとしてきたものの品質などの理由から高級市場ではなかなか浸透せず、「アングラ化」した日本産水産物へのニーズを国産品に呼び込めていないことを伝えた。

記事は「アングラ化」した日本産水産物ニーズを満たすため、第三国を経由して輸入をする流れができたとも紹介。禁輸後も広州上海の高級日本料理店で北海道産ホタテや青森産マグロが単に「輸入品」として供されており、業界関係者の間では「迂回輸入」が暗黙の了解になっていたとした。そして、民間業者や大手コールドチェーンなどの「操作」により、香港を経由地としたり、ラベルの上貼りで「原産地」を偽装したりといったプロセスを経て日本産水産物が中国本土に流れ込んでいたことを紹介した。

データによると、香港では23年に1万トンの活魚が輸入され、その約30%が中国へ再輸出されていたという。輸入元は主にインドネシアやタイ、マレーシア、ベトナムなどとなっており、香港や東南アジアの各国が重要な「迂回ルート」になっていたと伝えている。

記事は、日本の水産業輸出について、中国市場を失ったホタテが米国やベトナム、タイなどへの販路を拡大に成功したほか、別の水産物についても中国以外の地域で需要が旺盛になっていることを紹介。その例として「寒ブリ」を挙げ、鹿児島県長島町が「鰤王(ぶりおう)」という養殖ブリブランドを確立して米国への輸出を拡大、年間約20億円の輸出額のうち約7割を米国が占めていると報じた。

今回の輸入解禁を巡っては、日本側による継続的な働きかけが実を結んだというよりも、指導部の状況変化と迂回輸出の横行という要素から中国側が方針転換せざるを得なかった、というのが自由時報の見方のようだ。(編集・翻訳/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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