中国や韓国で広がる熱帯感染症の波、日本も無関係ではいられない

邦人Navi    2025年7月26日(土) 10時0分
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中国の広東省仏山市でチクングニア熱の感染が急増している。一方、韓国ではマラリアの感染者増加で警報が発令される事態に発展した。写真は仏山市内の公園。

中国南部の広東省仏山市でチクングニア熱の感染が急増している。一方、韓国ではマラリアの感染者増加で警報が発令される事態に発展した。これらの感染症は決して他人事ではない。

仏山市で拡大するチクングニア熱

広東省仏山市におけるチクングニア熱の感染確認数は24日時点で累計3645例に達した。新たに450例が報告されており、感染拡大は依然として高水準で推移している。今回の流行は国外からの輸入症例を起点に市中感染へと波及したものだ。

感染者の多くは軽症とされるが、主な症状として高熱、関節痛、皮疹が報告されている。関節の痛みは手首、足首、指、膝、肘、肩など広範囲に及び、慢性化する場合には数カ月から数年にわたり痛みが続くこともある。また、結膜炎や神経系の症状を伴うこともあり、臨床的にはデング熱との鑑別が困難とされている。

チクングニアという名称はアフリカの現地語で「痛みによりかがんで歩く人」を意味する言葉に由来する。潜伏期間は2~12日(通常3~7日)と比較的短く、滞在中や帰国直後に発症する可能性が高いとされている。ヒトからヒトへの直接感染はなく、感染経路はネッタイシマカやヒトスジシマカといった蚊による吸血行動を通じて拡散する。

広東省の衛生当局は「清積水」運動を推進し、家庭や企業に対し「1日1分間の水たまり除去」を呼びかけている。蚊の発生源となる積水をなくすことが感染抑制の第一歩だとされており、住民の自覚と行動が求められている。

韓国ではマラリア内生感染に警報発令

韓国ではマラリア感染が再び注目を集めている。24日時点の統計によると、感染者数は全国で307人に達している。15日の時点で京畿道における感染者が150人に達していたことから、楊州市、高陽市、坡州市、漣川郡に「マラリア警報」が発令されていた。感染が拡大初期にある今、迅速な抑え込みが急務とされている。

マラリア病原体はビバックスマラリア原虫で、主に蚊を介して感染する。韓国政府は「第二次マラリア根絶計画」を進めており、診療の無償化、除隊後の追跡検査、予防対策の強化といった多角的な対応を実施している。

感染症がアジア先進地域で拡大する背景

これまで熱帯病とされてきた感染症が、なぜ中国や韓国のようなアジアの先進地域でも広がりを見せているのか。その大きな要因の一つが地球温暖化だと目されている。

気候の変動により、蚊の生息域が北上し、都市部や郊外でも媒介蚊が定着しやすくなっている。加えて都市化の進行が積水や環境衛生の問題を通じて感染拡大を後押ししている。

チクングニア熱と同様に蚊が媒介するデング熱の脅威も強まっている。両疾患は媒介種が重なるため、同時多発的な感染リスクに備えた統合的な対策が求められている。

渡航者・滞在者が実践すべき予防策

雨季の渡航時は長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を避ける。

有効成分としてピカリジンを含む高性能な虫よけスプレーを使用する。

宿泊施設や自宅には網戸や電撃式蚊取り器などを設置し、室内への蚊の侵入を防ぐ。

発熱や関節痛、発疹などの症状が現れた場合は、すぐに現地医療機関を受診する。

外務省や世界保健機関(WHO)、現地保健当局の最新情報を定期的に確認する習慣をつける。

日頃から予防行動を

広東省と韓国で同時に進行する感染症の拡大は、日本人にとっても無関係ではない。感染のリスクをゼロにはできないが、「知識」と「予防行動」というシンプルな習慣が日常生活における確かな備えとなる。今こそ「自分ごと」として捉えるべき時が来ている。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。



   

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