【観察眼】米国の「脱退癖」再び、国際協調は「ままごと」ではない

CRI online    2025年7月25日(金) 9時30分
facebook X mail url copy

拡大

米国がまたしても国際組織からの脱退を表明した。

米国がまたしても国際組織からの脱退を表明した。

米国務省のタミー・ブルース報道官は7月22日、米国が国連教育科学文化機関(ユネスコ)から脱退することを発表した。この決定は、2023年に同組織に復帰してからわずか2年後の出来事である。米国は、レーガン政権や第1次トランプ政権での「冷戦思考」や「米国第一」の理念に基づいてユネスコから脱退したが、これで3度目となる。この行為は、米国の外交政策が極めて自国の利益を優先すると同時に、多国間主義を踏みにじる行為でもある。

米国とユネスコの関係は、政治的な思想に揺れる脱退と再加盟を繰り返しながら成り立ってきた。1984年、レーガン政権は「腐敗と管理の混乱」を理由に初めてユネスコから脱退。しかし、2003年、ジョージ・W・ブッシュ政権はテロ対策協力の必要性から復帰した。2017年、第1次トランプ政権は「反イスラエル的偏向」を理由に脱退したが、2023年、バイデン政権が米国の国際的なイメージ回復のために再び復帰した。そして今度は、第2次トランプ政権が「米国の利益に反する」との理由で3度目の脱退を表明した。この気まぐれな脱退と復帰の繰り返しは、米国が国際組織を単なる政治利用の道具としか見ていないことを物語っている。教育の公平性や文化遺産の保護といったユネスコが推進するアジェンダが、米国内の政治的見解または地政学的戦略と対立する場合、米国は「脱退」という圧力をかけてきた。国際組織を「操り人形」のように自国の思惑に従わせようとしていると言える。

今回の脱退決定も、「米国第一」理念と多国間主義の原則との激しい衝突によるものだ。トランプ政権は、ユネスコが「社会的・文化的分断を助長している」と非難しているが、実際にはジェンダー平等やマイノリティの権利保護などのユネスコの取り組みが、同政権の「伝統的な価値観」と相容れないだけに過ぎない。また、「ユネスコが持続可能な開発目標(SDGs)に過度に関心を持っている」という批判も、ユネスコがアフリカの教育支援や海洋保護といった国際協調よりも、米国の一方的な制裁や技術封鎖によってその覇権的地位を守っていることの現れである。

さらに警戒すべきは、米国がユネスコを「使い捨て可能なコマ」と見なしている姿勢が、一国主義による国際ルールの軽視につながっている点である。米国は、パリ協定から世界保健機構(WHO)、イラン核合意、国連人権理事会といった国際枠組みにおいても、“離脱”や“脱退”という手段を使い、自国の利益を中心とした国際秩序を再構築しようとしてきた。その結果、国連システムの権威性を低下させるだけでなく、グローバル・ガバナンスを危機的状況へと追い込んでいる。米国が国際的な責任を果たさない場合、開発途上国における教育格差の拡大や文化遺産保護の危機が資金不足によって深刻化し、文明対話の断絶を利用した過激派勢力の台頭も懸念される。

米国のユネスコ脱退決定に対し、国際社会からは強い批判が噴出している。ユネスコのアズレ事務局長は、「この決定は多国間主義の基本原則に反する」と断じた。フランスのマクロン大統領は、自身のSNSアカウントで「ユネスコは、科学、海洋、教育、文化、そして世界遺産の守護者だ」と投稿し、ユネスコへの揺るぎない支持を表明した。中国外交部の郭嘉昆報道官も、米国の「長期にわたる会費滞納と国際組織からの度重なる脱退は責任ある大国のあるべき行為ではない」と指摘し、各国が国連を中心とする国際秩序の維持に具体的な行動で貢献するよう呼びかけた。

米国のこのような近視眼的行為は、全世界の公共の利益を犠牲にしてまで「米国第一」の理念の実現どころか、むしろ自らの国際的信頼の崩壊を加速させるだけだ。気候変動、公衆衛生、人工知能(AI)ガバナンスなど、人類が直面する課題はどれも一国で解決できるものではない。今こそ、ユネスコのような多国間プラットフォームが求められている。グローバルガバナンスは子どもの遊びではない。国際社会もいつまでも米国の身勝手な「ままごと」に付き合い続けることはない。歴史は、多国間協力こそが人類共通の課題に立ち向かう正しい選択であることを証明するだろう。もし米国が今後も「脱退ごっこ」に酔いしれ続けるならば、孤立の道を突き進み、やがて国際社会から見放されることになるだろう。(提供/CRI

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。

noteに華流エンタメ情報を配信中!詳しくはこちら


   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携