ASEAN市場を見据えたAIインテグレーション拠点に、広西のAI発展戦略―中国

人民網日本語版    2025年7月24日(木) 6時30分
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広西チワン族自治区の各業界はいかにAIを導入するかを積極的に模索し、導入と応用の足並みを速めてきた。

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AI技術をさまざまな産業と結びつけ、実用的なソリューションを競うコンペティション「AIFORALLスーパーリーグ」が19日、広西チワン族自治区南寧市で始まった。AIスーパーリーグが広西で開催されることになったのはなぜなのだろうか?人民網が伝えた。

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その伏線は2月8日に広西が春節(旧正月、今年は1月29日)明けに初めて開催した会議ですでに張られていた。同会議では「AI時代に、広西は存在感を示さなければならず、出遅れてはならない」という呼びかけが行われた。

その後、「AI+」や「スマートチップ」、「データモデル」といった新興産業への投資誘致に焦点を合わせた「早春キャンペーン」が展開された。広西は粤港澳大湾区(広州仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市と香港、マカオ両特別行政区によって構成される都市クラスター)や長江デルタ、京津冀(北京・天津・河北)、成都重慶に的を絞り、投資プロジェクトの協議を次々と進めてきた。

その後半年間、広西の各業界はいかにAIを導入するかを積極的に模索し、導入と応用の足並みを速めてきた。

梧州市蒙山県のブルーベリーを栽培するビニールハウスでは、早朝になると、技術者がスマホにインストールされた農業総合スマートシステム「土諦AI」を操作している。画面にはグリーンの曲線が表示されており、ブルーベリーの木の成育状況を1本ごとにチェックすることができる。

また、ベトナムのランソン省カオロック県ドンダン市鎮と国境を接する憑祥市友誼関スマート通関地では、国境を越えるトラックの検査が「分・秒レベル」の速度で実施されており、東南アジア諸国連合(ASEAN)の果物が「秒速」で中国の人々の食卓に届けられている。


五象雲谷AIインテリジェントコンピューティング産業パーク・インテリジェントコンピューティングセンターでは、サーバークラスターが休むことなく高速で計算を行い、さまざまな業界に強大な計算能力とデータサービスが提供されている。

AIスーパーリーグのオープニングセレモニーにおいて、広西はさらに「北京・上海・広州で研究開発+広西でインテグレーション+ASEANで応用」というAI発展の明確な方向性を示した。


それでも、他の発展した地域と比べると、広西のテクノロジーイノベーション能力は際立っているというわけではない。しかし、中国のASEANに向けた開放・協力の最前線であり、窓口である広西は、地理的優位性に特に恵まれており、ASEANと陸続きで、地理的に近く、人的・文化的に親しく、経済・貿易での往来が盛んだ。

中国—ASEAN博覧会や中国—ASEANビジネス・投資サミットといった機会を活用して、広西は経済・貿易、税関・金融といった40以上の分野をカバーする「中国—ASEAN協力メカニズム」を構築し、多くの産業が成果を上げることができるよう促進している。ASEANは25年連続で広西最大の貿易パートナーとなっている。

近年、広西がASEAN諸国とデジタル分野での協力で合意した協定書は30件以上に達している。今年はさらに、ASEAN諸国間としては初となるAI分野でのイノベーション創出協力プラットフォーム「中国—ラオスAIイノベーション協力センター」の構築で合意した。この合意は、中国とラオスの「持続可能で包摂的なデジタルエコシステム構築の推進協力に関する中国—ASEANの共同声明」を受けての行動を代表する成果で、地域において多くの人がAI技術の恩恵を受け、協力してそれを管理していく上で新たなベンチマークとなった。

AI応用の多様なニーズがあるASEANと中国が協力することで、主に「技術による応用シーンの実現、優位性による相互補完とウィンウィン」を期待することができる。その意味で、広西は「中国—ASEAN・AI協力」の最良の窓口だと言える。

自動車メーカー・東風柳州汽車の生産工場では、エンボディドAIのGOVLAが搭載された汎用ロボット「愛宝」がさまざまなタスクを実行している。

「愛宝」を開発したのは広東省深セン市の智平方(深セン)科技だ。同社の創業者の郭彦東(グオ・イエンドン)最高経営責任者(CEO)は、「広西がAIなどに関連する協力プロジェクトの集中拠点を目指しているおかげで、今月、当社もベトナム最大の民間企業とグループレベルでの戦略的協力実施で合意することができた。今後は、広西からASEANへと広がるエンボディドAI発展の新たな章を共に開いていきたい」と語る。

「AIスーパーリーグ」の審査委員会委員長団メンバーを務めるサイバーセキュリティー大手・奇安信集団の斉向東(チー・シアンドン)董事長(中華全国工商業聯合会副主席)は、「広西とASEAN諸国の市場には似通ったAI応用シーンがある。AI関連企業は、広西で成功できれば、ASEAN諸国でも成功できる。優勝者は、自分のソリューションを広西とASEAN諸国の市場で実施できれば、ビジネスで成功するチャンスを10倍、さらには何十倍にも増やしていくことができる」との見方を示す。

今年に入り、広西のASEAN諸国関連のAI分野の発展と成果は特に際立っている。「広西AI産業発展白書(2025年)」によると、ASEANに向けた開放・協力の面で、広西は「中国—ASEAN・AIイノベーション協力センター」の共同建設を加速させており、重点プロジェクト40件の契約を締結している。プロジェクトは大規模言語モデルと「AI+」重点分野をカバーしており、投資額は約80億元(約1600億円)に達している。第一陣として、ASEAN加盟6カ国の企業16社が入居する契約を締結した。

AIスーパーリーグの審査委員会委員長団メンバーを務める南洋理工大学の文勇剛(ウェン・ヨンガン)学長・講座教授(シンガポール国立科学アカデミー会員)は、「広西は各国のニーズにしっかり対応し、長期にわたる協力メカニズムを構築し、特色あるソリューションを実施することで、ASEAN諸国がAI技術応用の重要市場となるよう後押しし、地域のデジタル経済協同発展をバックアップすることができる」との見方を示す。

AIスーパーリーグは広西が「AI+」企業や科学研究者、開発者のイノベーションのために用意した交流の舞台であり、AIと重点産業の深い融合にスポットを当て、イノベーション資源の集積と成果の事業化を促進し、資本とプロジェクトのマッチングを働きかけ、ASEAN市場を見据えたAI新興企業を育成し、AI技術応用の新たなエコシステムを構築するのが狙いだ。

AIスーパーリーグの審査委員会委員長団のメンバーを務める伝播コンテンツ認知全国重点実験室の叶蓁蓁(イエ・ジェンジェン)室長(人民網董事長)は、「ASEAN諸国を対象として、AI包摂、AIFORALLを、手を携えて促進していくべきだ。今回のスーパーリーグが『中国—ASEANのAIを巡る協力』を代表するイベントになると確信している」と語った。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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