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大阪・関西万博でこのほど開催された「寧波デー(寧波日)」では、古い文化は骨董(こっとう)品のとして倉庫で眠っているのではなく、創意工夫が常に追加される「現在進化形」であることが改めて示された。
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「中国は悠久の歴史を持つ国」――。誰でも知っている事実だ。ただ、目の前にある歴史の蓄積を示す実物を見ると、やはり驚嘆せざるをえない。大阪・関西万博の中国パビリオンでこのほど開催された「浙江省ウイーク(浙江週)・寧波デー(寧波日)」では、古い文化は骨董(こっとう)品のように倉庫の片隅で眠っているのではなく、創意工夫が常に追加される「現在進化形」であることが改めて示された。
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寧波に伝わる伝統工芸を表す言葉に「三金一嵌」がある。「三金」とは、朱色の漆を塗った木彫に金箔を施し立体的な彫刻を加える「朱金漆木彫」、金粉や金箔を漆の上に散らして装飾する「泥金彩漆」、金糸や銀糸を使う刺繍の「金銀彩繍」を指す。「一嵌」とは骨や貝、色調の異なる木材などを用いて木の地に装飾模様を嵌(はめ)め込む技法だ。いずれも中国の国の無形文化財に指定されている。重要なことは、装飾性と実用性、文化の深みを兼ね備える「三金一嵌」の作品は「匠の技」により作られ続けており、美術館のケースに収められているだけでなく、実際に求める人がいるということだ。
会場には、緻密な細工が施された「万工の花嫁輿」、現代的なファッションセンスとの相性もよい「十里紅粧」の八角容器、古い寧波の街の賑わいを表現した刺繍などが展示された。「東洋の魔法」を目にした来場者の口からは、「「Amazing(アメイジング=驚いた)」「スゴイ」といった言葉がこぼれ出た。
特に目を引いたのは、絢爛(けんらん)な色彩と独特の風格の「寧波風情図」だった。竜舞をする人、灯籠に書かれた「謎解き」に挑む人、さらに道行く人々の表情までもがはっきりと刺繍されており、寧波旧市街で旧暦1月15日の元宵節を祝う民衆のにぎわいが生き生きと表現された作品だ。
北欧から来たデザイナーのフレヤ・ニールセンさんは、「翻訳は不要です。美への執念や職人技への敬意は、人類共通の言語です」と称賛した。日本人来場者も「寧波の『三金一嵌』は心を静まらせてくれます。美の力を感じました」と賛辞を寄せた。
会場では、デジタル技術により、日本と中国の「古いつながり」に新たな命を吹き込む試みも披露された。長さ14メートルの映像作品の「唐山勝景画稿」だ。原画は日本人画僧の雪舟(1420-1506年、異説あり)の作品だ。雪舟は当時の明に行き3年間にわたって研鑽を続け、現地で接した光景に基づく作品も残している。
寧波は、「海のシルクロードの玄関港」として栄えた街だ。会場には、30分の1のスケールで復元された明代(1368-1644年)から清代(1644-1912年)にかけての船が展示された。船体は高い船尾と多層構造の楼閣、水深の異なる航路に対応する昇降可能な舵など、細部の工夫が見事に再現されており、「海のシルクロード」で活躍した先人の英知が改めて示された。
寧波デーでは、来場者に向けた「ちょっとうれしいサプライズ」もあった。「湯円(タンユエン)」と言う食べ物が提供されたのだ。中国各地には、旧暦1月15日の元宵節などに湯円または元宵(ユアンシャオ)と呼ばれる米粉で作った団子を食べる風習がある。湯円の早い時期の歴史については、「寧波では宋代(960-1279年)にあった」との記録や伝承があるなどで、寧波は「湯円の本場」と見なされている。視覚や聴覚だけでなく、味覚でも寧波を体感していただこうという、心を込めた「おもてなし」だった。(翻訳・編集/如月隼人)
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