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曲阜の市街地から車で約30分、孔子の生誕地・尼山に広がる「尼山聖境」は、儒家文化を国内外に伝える文化・教育・観光の複合施設です。
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曲阜の市街地から車で約30分、孔子の生誕地・尼山に広がる「尼山聖境」は、儒家文化を国内外に伝える文化・教育・観光の複合施設。私がこの地を訪れて学んだことは「自国文化に誇りをもつ教育の大切さ」でした。
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第11回尼山世界文明フォーラムが開催された尼山聖境は、総面積約36平方キロ、2010年代に整備が開始された大型プロジェクトです。この地を訪れるとまず目に入るのが、高さ72メートルの巨大な孔子像。18メートルの台座を含めるとビル30階分に相当します。72という数字は、孔子の高弟「72賢」に由来するもの。単純に高さだけを比べれば日本の牛久大仏(本体高さ100メートル)の方が大きいのですが、階段の下から見上げる威容、山をバックにたたずむ姿は、数字以上の威厳を感じさせます。
中心施設である「大学堂」もまた圧巻。堂内に足を踏み入れると、高い天井と静謐な空間が広がります。まず、私の目を引いたのは、天井に設えられた「藻井(そうせい)」と呼ばれる天井装飾。龍と鳳凰を中心に、天を表す円形、地を表す方形、調和を表す菱形などが組み合わされた美しい意匠には、儒教の思想が映し出され、2018年に一般公開された、まだ新しい空間に荘厳な雰囲気を与えていました。
「仁・義・礼・智・信」の五徳にちなんだ五つの展示室や広い階段、奥行きのある回廊は、歴史とモダン、豪華さとシンプルさを融合させたデザインは、建築そのものが孔子の偉大さと儒教の精神を体感させる仕掛けになっています。
「七十二賢廊」は、孔子の高弟72人をテーマにした回廊。立体の像が孔子の言葉を立体的に解説しています。
大学堂では映像作品や写経体験など、多彩なプログラムを通して、中国の子どもたちが孔子の言葉に触れ、自国の文化や歴史に誇りを持てるような仕掛けが随所に施されていました。
今の中国の若者たちは、厳しい進学や就職の競争など、日本と変わらない、もしくはそれ以上のプレッシャーがある世界に生きています。それでも、「中国はすごい」「世界に誇れる文化がある」と感じること、自分のルーツに自信と自負を持てるような学びの場があることは大きな財産であり、今の日本に欠けていることの一つのようにも思いました。
再び外に出て巨大な孔子像を見上げると、そこには、優しく世界を見守る、慈愛に満ちた表情が浮かんでいました。(提供/CRI・文と写真/鳴海美紀)
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